音響機器メーカーCear(シーイヤー)が、世界初のSnapdragon Sound対応ポータブルスピーカー「Cear pavé」のクラウドファンディングをGREEN FUNDINGで開始しました。
Snapdragon Soundは、Qualcommのワイヤレスオーディオ技術をまとめたプラットフォーム。高音質・低遅延などの特徴があり、従来はイヤホンやヘッドホンでの利用がメインでした。Cear pavéは、そんなSnapdragon Soundに対応する世界初のポータブルスピーカーとなります。
ところで、開発元のCearというメーカー、一般消費者にはあまりなじみにがないメーカーではあります。そんな知らないメーカーが作ったスピーカーはどうなのかと思うかもしれませんが、実は業界内ではかなり名の知れたメーカーのようです。
もともとは共栄エンジニアリングの音響部門として2011年に設立され、2018年にCearとして独立。音響関連で数多くの特許技術を持っており、そのライセンシングや音響ソフトウェアの開発などを行っている企業です。コンシューマー向けに表に出てくることはありませんが、20年以上の歴史を持ち大手企業の製品開発などにも参画している黒子的な企業です。
その技術力は高く、2021年には国内初のQualcomm Snapdragon Soundテクニカルサポートも開始しています。つまり、他の企業に対してSnapdragon Soundの実装をサポートする立場です。
そんなCearの手掛けるpavé、今回のものは実は2世代目。前モデルは2016年にmachi-yaでクラウドファンディングが実施されていました。
第2世代のCear pavéは、Snapdragon Soundもさることながら、大きな特徴となっているのがCear Fieldという独自技術。簡単に言ってしまうと、1台のスピーカーで空間的な3D音響を実現するというもの。
1台のスピーカーと言っても、Cear pavéには左右に2つのスピーカーを搭載しており、この2つのスピーカーで3D音響を作り出します。
実際に聴いてもらわないとなかなかに説明が難しいのですが、本当に音がスピーカーからではなく、なにもない空間から聞こえてくる印象です。ポータブルスピーカーなのにヘッドホンで聴いている感覚というのが近いかもしれません。
もちろん、音源がステレオをサポートしている必要はありますが、Cear pavé側でリアルタイムに信号を処理して立体音響を作っているとのこと。いわゆる空間オーディオのように、音源側での対応は必要はありません。
ただ、現状では立体音響を感じられるポジションはスピーカーの正面のみ。少し正面からずれると立体感がなくなります。
なお、プロトタイプでは非対応でしたが、製品版では複数台を利用しての再生もサポートする予定とのことなので、より立体感が感じられるようになるかもしれません。
Bluetoothスピーカーとしての仕様は、15W×2のスピーカーを搭載しており、対応コーデックはaptX Lossless、LC3、aptX Adaptive、aptX、AAC、SBC。有線接続にも対応しています。また、マイクも4基搭載しているので、通話やオンライン会議などにも使用できます。
バッテリー持ちは約8.5時間、IPX5~6の防水仕様を目指して開発を進めているとのこと。
本体サイズは93×93×93mmで重さは590g未満。Snapdragon Soundを利用するにはデバイス側も対応している必要がありますが、AACにも対応しているのでiPhoneなどでも利用可能。また、Cear FieldはSnapdragon Soundとは関係ないので、接続デバイスにも関係なく利用できます。
GREEN FUNDINGでの価格は、3万1800円から。配送予定は2024年3月以降となっています。