finalは11月22日、これまでとは異なる新しい物理特性を発見したとして、それを活かしたワイヤレスイヤホン「ZE8000」を12月16日に発売すると発表しました。その「ZE8000」をレビュー用に提供いただき、しばらく使ってみたので簡単に紹介したいと思います。
音質等の話を抜きにすると、ZE8000で目を引くのは何と言ってもその特異な形状でしょう。装着感を高めるために、耳に触れる部分は極力小さくしたかったということで、基板やバッテリーなどは装着部分から独立させています。ステムの部分を合わせると3段構造になっています。
本体の形状にあわせて、イヤピースの形状も独特で耳に当たる(はめる)部分すべてがシリコンで覆われています。このイヤピースは、サイズ違いで5セットが付属しています。
この形状のためなのか、サイズの割に装着感は非常に軽め。一応カナル型に分類されると思いますが、イヤピースを耳道に押し込んで固定するのではなく、シリコンで覆われている1段目が耳を塞いではまる形状なので、圧迫感が少なく耳にしっかりとフィットしてくれます。
3段構造なので耳から飛び出すのではと思いましたが、1段目(シリコンで覆われている部分)は耳に入ってしまうので、意外とすっきりとした印象です。
なお、より装着感を高めるために、カスタムイヤピースの作成サービスも予定されています。本当はカメラで耳を撮影して作成……までやりたかったとのことですが、残念ながら精度の問題でそこまでは出来ないとのことなので、店舗に出向いて耳型を取る必要がありそうです。
そのカスタムイヤピースをはめた状態でも収められるよう、充電ケースはかなり余裕がある作りです。蓋がスライド式というのも珍しい感じです。
イヤホン本体とケースは、シボ加工が施されており、ちょっとしたキズなどは気にならなそうです。
ZE8000は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)も搭載しています。このANCにも独自のアルゴリズムを採用しているとのことで、再生音に影響を与えず、ANC独特の圧迫感も少ないとしています。実際に試した感じでは、たしかに圧迫感は少なめ。圧迫感が苦手でANCを敬遠している人にも良さそうです。
もちろん、外音取り込みモードも搭載しています。外音取り込みには、「ながら聴きモード」と「ボイススルーモード」の2種類があり、あらかじめアプリでどちらを使うかを設定しておきます。ノイズキャンセリングと外音取り込みの切り替えは、左側イヤホンのタップ操作で行えます。
「ながら聴きモード」は、外音と音楽を一緒に聴けるモード。BGM的に音楽を流しつつ、周りの音も気に掛けたいという場合に使います。「ボイススルーモード」は、再生音を小さくし周りの音を聴きやすくするモードです。駅のアナウンスなど、一時的に周囲の音を聴きとりたい場合に使えるモードです。
音量関連でもう一つ面白い機能が、「ボリュームステップ最適化」です。スマートフォンのボリュームは0~100までの間で段階的(iPhoneの場合16段階)に調整できますが、等間隔で切り替わるので「この音だと少し大きいけど、一段下げると物足りない」ということも起こりがち。「ボリュームステップ最適化」では、普段よく聴く音量を設定しておくと、その付近でのボリューム調整が細かくなり、それ以外の部分は変更幅が広くなるという感じになります。
肝心の新しい物理特性に関しては、まだ具体的な内容は明かされていませんが、今後論文などの形で公開していくとのこと。
とりあえず聞いてみた感想としては、低音から高音まで全体的に非常にクリアな音です。ワイヤレスイヤホンは、各メーカーによって低音が強調されていたり、高音が強調されていたり、あるいはボーカルが聴きやすいように中音域が持ち上げられていたりと、なんらかの味付けがされていることがほとんどですが、ZE8000はそんなことがありません。かといって、物足りない平坦な音というわけでもなく、どこを切り取ってもしっかりとした音を感じられます。
finalはこの音のことを、高解像度な「8K SOUND」と表現していますが、確かに解像度が高い音と言われると、その表現がしっくりきます。
素人的には「音がいい」としか表現ができないので、量販店等で視聴できるようになったらぜひ試して欲しいところです。
最後にZE8000の主要スペックを挙げておきます。
- 通信方式:Bluetooth 5.2
- コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
- 連続音楽再生時間:最大5時間/ケース込み最大15時間
- 充電時間:イヤホン本体 約1.5時間/ケース 約2時間
- 防水性能:IPX4
- ノイズキャンセリング搭載