一時期、かなり盛り上がった感のあるスマートフォン用のジンバル。しかし最近ではスマートフォンのカメラ機能が進化しており、強力な光学手振れ補正のほか、AIなどを活用したソフト的な補正も加わり、あまりジンバルを使った撮影は行われなくなってきました。
また、スマートフォンの進化だけではなく、この手の撮影はアクションカムが使われることが主流になってきたのも、スマートフォン用ジンバルが使われなくなってきた理由でしょう。
そんなスマートフォン用ジンバル「Insta360 Flow」を、Insta360が3月に発売しました。Insta360といえば、最近ではInsta360 GO 3などアクションカムでも人気を博していますが、そのアクションカムなどで培ったAI技術を利用した製品になっています。
Insta360がわざわざスマートフォン用ジンバルを作った理由は、ほとんどの人にとって最高のカメラはスマートフォンであり、既存のカメラアインアップではアプローチできないユーザーにアプローチすることを目指しているとのことです。
そのInsta360 Flowをレビュー用に提供いただいたので、どんなことができるのか、しばらく使ってみました。
スマートフォン用ジンバル「Insta360 Flow」
Insta360はスマートフォン用のジンバルで、スマートフォンは付属の磁気クランプを使用して固定します。クランプに固定できるスマートフォンの幅は64~84mm。現在販売されている大抵のスマートフォンには対応できると思います。
収納状態の本体はコンパクト。厚みはありますが、フットプリントはスマートフォンと変わらないサイズ感なのでカバンにさっと忍ばせておけます。なお、専用のキャリングポーチも付属します。
本体を開くと自動で電源が入る仕組み。もちろん、別途電源ボタンもあります。軸は215mmまで伸ばすことができ、自撮り棒としても利用可能。手元の操作部でインカメラとアウトカメラを簡単に切り替えることができます。
背面は透明で内部のバッテリーを確認できる仕様。ちなみに、この部分にはカスタムインサートを挿入して自分好みにカスタマイズも可能です。
バッテリー容量は2900mAhで、連続12時間の録画に対応。スマートフォンへの給電にも対応しています。
撮影は専用アプリ「Insta360」を使用
利用するには、スマートフォン側に専用アプリ「Insta360」が必要です。撮影もこのアプリ上で行います。
スマートフォンのカメラ性能をフルに活かすという意味では、純正のカメラアプリが使えたほうがいいのかもしれませんが、専用アプリを使うことで様々な操作を行うことが可能です。
まず、普通に3軸のジンバルとして使えるのは当たり前ですが、ジンバルとしての基本動作はユーザーの動きに合わせてInsta360 Flowが自動的に調整してくれる「Auto」、よりきめ細かく反応する「フォロー(F)」、チルトをロックし水平方向の動きに追従する「パン・フォロー(PF)」、ジョイスティックでロール軸に沿ってスマートフォンを回転させる「FPV」があります。
このほか、トリガー操作でジンバルの動きをロックできる「ロック」、一時的に高速な追従を可能とする「アクティブプラス」モードが利用できます。
とりあえず、ジンバルの動きに慣れていない間は、オートモードで利用していれば問題はないと思います。
また、AIが被写体を認識してトラッキングを続ける「ディープトラック 3.0」に対応。トラッキングは他の製品でも行えますが、Insta360 Flowは被写体が障害物に隠れたり、一度フレームアウトしてしまっても、再度フレーム内に入るとトラッキングを続けることが可能です。
ディスープトラックは人だけではなく、動物やものを追跡することもできます。
Insta360 Flowの使いどころ
普通に考えて、Insta360 Flowの購入を考えている人は、スマートフォンでアクションカム的な撮影を考えていると思いますが、Insta360 Flowの使い道はそれだけにとどまりません。
まず便利そうな機能が「ライブモード」。Insta360 Flowの撮影には専用アプリを使用しますが、ライブモードにするとZoomやGoogle Chatなどのビデオ会議、あるいはYouTubeでのライブ配信などでも被写体追跡機能を利用できます。
また、通常のスマートフォン用三脚とは違い、スティックで角度の微調整が行えるので、机に設置して講演や発表会を撮影する場合にも便利に使えます。
なお、底面には三脚穴があるので、カメラ用の三脚を使って固定も可能です。
通常のジンバル用途であれば、正直なところアクションカムを購入したほうが使い勝手はいいと思います。ただ、Insta360 Flowは2万円程と比較的安価なので、頻繁には使わないけれども1台は持っておきたいという人にとってはいい選択肢になるはずです。