NTTは6月17日、スマートフォンを回転させることで、手足の器用さを定量的に測る手法を開発したと発表しました。スポーツ種別に則したトレーニング効果や、医療や介護分野での運動リハビリによる回復過程の「見える化」、日常生活でのモニタリング等の活用が期待されるとのことです。
これまで、「手を思った通りに動かせる能力」の計測には、一定時間に細い棒を穴に何本入れられるか、あるいは小さなブロックを幾つ運べるかなどの作業効率が評価に使われてきましたが、これらの手法は特殊な器具を使用するため、専門家や研究者の使用に限定されることが多く、手軽な評価が困難だったとのこと。
また、足の器用さについては、片足のバランス計測をする手法などが用いられていましたが、その手法は全身の感覚情報処理の機能も含む評価になってしまうため、足自体を動かす器用さの計測としては十分ではなかったとしています。
そこで、思った通りに動かせるかどうかを簡単かつ信頼性高く計測する方法として、比較的早い速度で繰り返し円運動を行う際の「動きのばらつき」に注目。測定を受ける人がスマートフォンを手に持つ、あるいは足に装着し15秒ぐるぐる繰り返し回す運動をした際の、加速度軌道のばらつき量を定量化するアルゴリズムを開発しました。
4歳から88歳までの総計608名から得られたデータを解析したところ、手足共に利き側・非利き側で、成長と共にバラツキは減少し、その後は一定に。そして加齢によって増大するということが明らかになったとのこと。この辺りは予想の範囲内でしょう。
面白いのは利き手・利き足を矯正したパターンで、例えば、左利きを矯正して右利きになった場合、右手のばらつきが減少するだけではなく、左手のばらつきは増えない(器用さは低下しない)ことが明らかになったとのことことです。
今後は実験参加者を増やし、より信頼性が高い知見を得ていくとともに、競技等による手足の器用さ度合いの違いなどを明らかにしていくとのこと。器用さの向上が容易に可視化できるため、スポーツジム、部活動、リハビリ施設などスポーツ分野や医療介護分野で、個人の器用さのモニタリングや評価などに活用することが期待できるとしています。
Source:NTT