AI画像認識とCMOSセンサーを組み合わせたスマートスキャナを多数手掛けるCZUR(シーザー)が、新製品「CZUR Fancy S Pro(ファンシー・エス・プロ)」の先行予約販売をMakuakeで開始しました。
CZURのスキャナは、2019年にAura、2020年にShine、2022年にLens Pro、2023年にET24 ProがMakuakeで先行予約販売されています。とくにET24 Proは10周年記念のフラッグシップモデルとのことで、かなりの高性能な製品となっていました。
ET24 Proは高性能な分、机上で折りたたんで収納できるとはいえ、やや大型の製品でしたが、Fancy S Proは多関節アームを採用し大幅にコンパクト化しています。また、従来のスキャナー機能に加え、ウェブカメラとしても利用可能になり、机上に置いておくインセンティブがアップしています。
今回、そんなCZUR Fancy S Proを提供いただいたので、実際の使用感などをお伝えしたいと思います。
コンパクトな多機能スキャナー「CZUR Fancy S Pro」
これまでCZURのスキャナを3台ほどレビューしてきましたが、今回のFancy S Proは非常にコンパクトで、本体重量も590gと軽量です。
USBケーブルは本体に固定。このケーブルがUSB-Cで付け外し可能であればと思うのですが、持ち歩くことは少なく、机上で使うことが主だと思うのでこれでもいいのでしょう。
ケーブルの先端はUSB-Aで、USB-A to Cの変換アダプタが付属しています。
ちなみに本体にに電源ボタンはなく、USBを接続すると自動で電源が入ります。そして電源を切るにはケーブルを抜くしかありません。
アームには2つの関節があるほか、高さ方向に約10cmの伸縮も可能です。
カメラ部にはLEDライトも搭載。ボタン操作で明るさを3段階で切り替えられます。このLEDは、デスクライトとしても利用可能です。
操作部はアームの先端に搭載。ライトの明るさ調整のほか、AF-S(連続AF)とAF-C(シングルAF)の切り替えや手動フォーカス、露出の調整、カメラの回転を行えます。
なお、カメラの性能としては1200万画素。画角は74.4°で、A3までのスキャンに対応します。DPIはA4撮影時で約270dpi、A3撮影時で約210dpi。
従来機種、たとえばET24 Proの320dpiやLens Proの330dpiと比べて高精細というわけではありませんが、ドキュメントスキャナとしては十分な解像感です。
スキャン操作は専用アプリから
Fancy S Proには各種操作ボタンがありますが、スキャン操作自体はPCにインストールした専用アプリ「CZUR Fancy」から行います。
使い方はシンプルで、Fancy S Proのカメラに映るようにスキャンしたいものを置き、スキャンボタンを押すだけです。
スキャンのモードには、「フラットペーパー」「湾曲した本」「結合側」「領域をスキャンする」「元のまま処理しない」の5つがあります。
フラットペーパーは、名前の通り書類などをスキャンする基本的なモードで、書類が傾いていてもそれを検出し、自動で補正してくれます。Fancy S Proを使う上での基本的なモードとなります。
「湾曲した本」は、開いた本を見開きでスキャンするモードです。厚い本をスキャンする場合、どうしても本が湾曲して文字が歪んでしまいますが、それを補正してくれます。ただし、上位モデルのET24 Proとは違い、ガイドLEDに沿って本に合わせて補正してくれるわけではありません。もし、本をメインでスキャンしたいと思うのであれば、Fancy S Proではなく、ET24 Proの購入を考えるべきです(価格は大分変ってきますが)。
「結合側」は名前を見ても意味が分かりませんが、ようするに書類の両面スキャンです。表と裏を別々にスキャンし、1つの画像として保存してくれます。
「領域をスキャンする」も文字通りで、スキャンする領域をマウス操作で指定できるというものです。
「元のまま処理しない」は、とくに領域をしてせず、映っているものをすべて取り込むモードです。
また、アームが伸縮かつ多関節なので、これまではできなかったカメラを被写体に近づけての撮影も行えます。
スキャンしたものは、JPEG画像として保存され、アプリ内でコントラストの補正やPDF化、OCRで文章を抜き出すといったことを行えます。
ただし、画像の補正については、あまりできることは多くないので、別途Photoshopなどを使った方が簡単かつ高機能です。もちろん、何も補正しなくてもスキャナとしては十分に機能します。
WEBカメラとしても利用可能
CZURのスキャナは、これまでもWEBカメラとして利用可能でしたが、基本的には下向きのみ。オンライン会議で、顔を映すカメラとしては利用できませんでした。
しかし、Fancy S Proはアームにある関節のおかげで、カメラを顔に向けることができます。
カメラの向きは、操作部で変更でき、縦画面での撮影も行えます。1200万画素なので、そこまで高精細というわけではありませんが、ビデオ通話用としては必要十分な性能です。
PC上ではプラグアンドプレイのカメラとして認識されるので、特別なドライバーやアプリを使わなくても、ZoomやGoogle Meetなど様々なアプリで利用できます。
専用アプリ「CZUR Visualizer」も用意されており、動画や静止画の撮影も行えます。手元の映像を撮りたい場合には、手軽に利用できて便利そうです。
ただ、シャッターボタンを押してから実際に撮影するまでの時間を指定できるタイマー機能がないのが残念。タイマーがあれば、両手でスマートフォンなどを抱えた画像も撮影できるので、ぜひアップデートで対応してほしいところです。
スキャンマットが折り畳みに進化
机上で使えるCZURのスキャナは、もちろんそのままでも利用できるのですが、スキャンするものの下に黒いマットを敷くと読み取り精度がアップします。
これまでは巻き取り式のマットが使われていましたが、Fancy S Proでは折り畳み式の「フォルダブルマット」にリニューアルしています。
四つ折りなので収納も簡単になったほか、いざ使おうと思ったら巻き癖が付いて平らにならないなんてこともありません。
なお、フォルダブルマットは別売りなので、別途購入が必要です(Makuakeでは50%オフの1650円)。
出しっぱなしでも気にならないスキャナ
ドキュメントスキャナは便利な反面、いざ使おうと思ったときに引っ張り出して準備するのが面倒だったりしますが、Fancy S Proなら机上に出しっぱなしでも邪魔にならないので、活用することが増えそうです。
本を撮影するには向きませんが、レシートや書類などをさっと取り込むのにはピッタリでしょう。とはいえ、正直なところ、この用途であればスマートフォンでも十分なので、手元の撮影やWebカメラとしての利用にどの程度の価値を見出せるかで、評価も変わってきそうです。
そんなFancy S Proは、Makuakeで9月9日まで先行予約を実施中。10月末までに出荷の予定です。価格は1万8890円からとかなりリーズナブルなので、試しに買ってみるのもいいかもしれません。