ASUS JAPANは9月5日、Snapdragon X Plus X1P-42-100を搭載したCopilot+ PC、「ASUS ProArt PZ13 HT5306QA」を発売しました。価格は24万9800円。
Surface Proのようなデタッチャブル式2in1タイプのノートPCで、キーボードは脱着可能です。Surface Proはキーボードが別売りですが、ASUS ProArt PZ13は、一式セットになっているので安心です。
そんなASUS ProArt PZ13をレビュー用にお借りしたので、さっそくチェックしてみます。
13.3インチの2in1ノートPC
ディスプレイは13.3インチのOLEDで、解像度は2880×1800ドット。ディスプレイ上部にWindows Hello対応のWebカメラ(491万画素)を搭載しています。
本体にはキックスタンドはなく、背面カバーにキックスタンドが付属します。
インターフェースは左側面にUSB4(Type-C)×2とフルサイズのSDカードリーダー。USB4の1つとSDカードリーダーは、普段はカバーをしておくことが可能です。
脱着式のキーボードは、上部ファンクション列小さいものの、主要キーのキーピッチは約19mmが確保されている6列の日本語配列。残念ながらUS配列の用意はありません。在庫管理が大変になるためだとは思いますが、せっかく海外ではUS配列を販売しているのなら、日本でも選べるようにしてほしいところです。
キーボードの打ち心地は悪くなく、打鍵感は良好です。この手のキーボードは剛性不足で打ち心地がふにゃふにゃしがちですが、剛性が非常に高くそういったこともありません。
タッチパッドも、実測で約127×78mmの大型サイズで、ASUS Vivobook S 14と同様のジェスチャー機能も備えています。
また、ASUS ProArt PZ13にはASUS Pen 2.0が付属します。
Copilot+ PCは、ペイントで生成AIを利用したCreator機能が利用できます。これは、Cocreatorに書きたい画像のプロンプトを入力すると、描いた絵を元に画像を生成してくれるというもの。スタイラスとの相性は高そうです。
ちなみに、ASUS Pen 2.0は、USB-Cによる充電式。後ろ側を引っ張るとUSBポートが現れます。
ベンチマークで性能を確認
ここからは、ベンチマークでASUS ProArt PZ13の実力を確認してみます。ASUS ProArt PZ13は、Snaodragon Xシリーズの下位モデルとなるSnaodragon X Plusを搭載。RAM 16GB(LPDDR5X)、ストレージ1TB(PCIe4.0×4接続NVMe/M.2)。
ASUSのノートPCと言えば、MyASUSアプリでファンスピードの変更が可能ですが、ASUS ProArt PZ13も同様です。今回のベンチマークはすべでスタンダードモードで行っています。ちなみにパフォーマンスモードでの動作には電源接続が必要です。
まず、CPUの性能を測るCINEBENCH R23ですが、マルチコアで「pts」、シングルコアで「pts」という結果になりました。同じくCopilot+ PCで、Qualcomm Snapdragon X Eliteを搭載する「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」のスコアがマルチコアで「9834pts」、シングルコアで「1105pts」だったので、とくにマルチコアの性能は大分見劣りします。
いつもなら、PCの総合性能を測る「PCMark 10」を実施するのですが、ARM非対応ということで動作せず。UWP版Officeを利用するPCMark10 Applicationsは動きそうだったのですが、途中でエラーになってしまいました。
グラフィック性能を測る3DMarkの結果は下記の通り。ASUS ProArt PZ13のSnapdragon X Plusと、ASUS Vivobook S 15のSnapdragon X Eliteは、どちらも内蔵GPUはQualcomm Adreno GPUなのですが、スコアが大きく異なる結果となりました。
これは、ASUS ProArt PZ13のRAMが16GB、Vivobook S 15は32GBだったので、メインメモリとグラフィックメモリを共有している関係で、その影響が表れたのかもしれません。
試しに、試しに、ベンチマークとしては負荷が高めなFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマークを実行したところ、軽量品質で解像度1920×1080のフルスクリーン設定では「1863(動作困難)」、解像度を1280×720に落としたところ「3649(普通)」となりました。
決して快適というわけではありませんが、設定次第ではある程度ゲームもプレイできそうです。
ただし、ArmベースなのでARM64に対応していないゲームは、x64コードをARM64環境で実行(エミュレート)させることになります。このとき、カーネルレベルのアンチチートドライバーを採用しているゲームは、エミュレーションできずにエラーとなります。オンライン要素があるゲームの多くがアンチチートプログラムを採用しているので、Apex Legends等のFPSはほぼプレイ不可。Elden Ringなどもプレイできません。
もっとも、Copilot+ PCをゲーム目的で購入する人はいないと思うので、あまり大きな問題ではないかもしれません。
Copilot+ PCとして、肝心の生成AI関連の性能についてはいまのところうまく計測手段がありませんが、Geekbench AIの結果は下記の通りでした。
将来性に期待
プレイできないゲームが多いという欠点があり、アプリによっては互換性の問題も残っています。とはいえ、ウェブやOffice関連を使う分には問題がなく、Adobe系アプリの互換性もほぼ問題はありません。
ASUS Penを利用したクリエイティブ用途では、生成AI関連機能を含めて使いやすいデバイスと言えるでしょう。
上位のSnapdragon X Eliteを搭載するCopilot+ PCと比べると、パフォーマンス面で見劣りするのは否めませんが、その分価格が手ごろなのは利点です。今後、リコールなどCopilot+ PCのAI機能が充実してくると、利用価値は高まっていくと考えられます。