Dolphin Encounter / Just Taken Pics
インドがイルカを「人類ではない人」と認めたのだそうです。
きっと、「じゃぁ、牛や豚などその他大勢の家畜はどうなんよ?」という意見が出てくるのだと思いますが、上記サイトの記事では「知性や感情があり人間に近い自意識レベル」(Wiredでは自意識としていますが、それだと「他人からどう見られているか」という感情的な意味合いを強く感じるので、文脈的には自己認識のほうがいい気もします。イタリア語の原文では「coscienza di sé」)があれば人として(一定の権利を)認めなければいけないとインド政府が考えていると読み取れます(インドなので牛は神聖なものとして人以上の存在なのかもしれませんけど)。
そもそも人の定義ってなんだろう?イルカやクジラに知性や感情があるのを認めるのはやぶさかではありませんが、それを持って「人」と定義するのは少々乱暴すぎでしょう。程度の差こそあれ、知性や感情を持たない動物(少なくとも哺乳類)はいません。
ここでもう一つの条件である「(人間に近い)自意識レベル」が重要になってきそうです。「自意識」とはつまり、自分が存在しているという理解です。かなり哲学的な話で私には理解不能なのですが、Wikipediaの「自己認識」の項目によると、
自分を分析する能力は、心理学者の間では、中期幼年期まで開発されず、恐らく動物の中でもほんの少数の種にしかないと、広く信じられている。自意識を有するや否やを調べるテストは以下の様なものである。対象の額に鮮やかなドットを塗り、次に、鏡の前に対象を置く。対象が自分の額からドットをとろうと手を伸ばした場合、対象は自己認識によって自分の存在をはっきり理解しているといえる。
ということなのでやはり自意識があるかどうか、自己を認識できるかどうかが「人」としての重要な要素と考えられているようです。
自意識があるのを確かめるのにどんなテストが行われたのかは定かではありませんが、上記の自意識を持つかどうかのテストを考えると、鏡に映った自分を仲間だと思って突っついたり話しかけたりする小鳥や、鏡に映った自分にほえたりする犬には自意識がないということになりそうです。こう考えていくと、確かに自意識のある動物というのは少ない気がしますね。イルカは鏡に映った自分を理解できるということなのでしょう、きっと。
今回の例は動物愛護が主眼だったのでしょうが、知性と感情があり、自意識を備えていれば「人類ではない人」と認められる前例が出来たわけです。では動物以外のもの、例えばAIなどが人として権利を認められときは来るのでしょうか?マンガでは(確かアップルシードだったと思うけど)「AIが人と変わらない思考をするなら人権を認めなければいけない」というような話もあったと思いますが、今回の例に倣うとAIが知性と感情、そして自意識を獲得するなら人として認められる可能性がありそうです(少なくともインドでは)。
そんなAIが誕生するのはもちろんまだまだ先の話なんでしょうけど、2045年問題というのもありますし、意外と早く誕生するかもしれませんね(今回のインドが、IT先進国と言われているのも興味深いですね)。
生きている間にそんなAIにであるかなぁ。スカイネットになっちゃう可能性もあるんだけども。