最近ではスマートフォンにガラスシートを貼るのが当たり前になりつつありますが、これの硬さを表すのに使われているのは「9H」という表示。
硬度という言葉とともに表示されていると、なんとなくモース硬度を思い浮かべてしまいます。
「9Hならモース硬度9のこと」という感じです。
ですが「9H」という表記とモース硬度、実はまったく関係がありません。
私自身が勘違いしていたので、自戒を込めてメモとして残しておきます。
硬さを示す3つの指標
モース硬度
たぶん硬さの基準として一番メジャーなのがモース硬度なんじゃないかと思います。
1〜10の基準で表され、モース硬度10で最も硬いのがダイヤモンドというのは有名ですね。
最近では15段階になった修正モース硬度というのも使われています。
このモース硬度、主に鉱物の硬さを表すためのもので、「あるものを引っ掻いた時の傷のつきにくさ」を表現する尺度です。
例えばモース硬度7の石英で引っ掻いたら傷がつくけどモース硬度6の正長石でひっかくと傷がつかない場合、その対象のモース硬度は6.5ということになります。
モース硬度はあくまでも引っ掻いた時の硬さなので、鉱物そのものの硬さを表しているわけではありません。
例えばモース硬度10のダイヤモンドでもハンマーで叩くと砕けます。
ジョジョの第4部は「ダイヤモンドは砕けない」だったけど砕けちゃいます。
なお、一般的なガラスのモース硬度は5で、水晶のモース硬度は7となっています。
鉛筆硬度
鉛筆硬度は塗膜の硬さを表現するためのもので、JISで規格化されています。
モース硬度も引っかきの硬さなので、それじゃダメなの?と思わなくもないですが、モース硬度は基準が曖昧で例えば6.5という硬度の場合、硬度6と7の間という意味しかなく、同じ硬度6.5でも硬さが違うという問題があります。
このため、JISでは鉛筆硬度という基準を採用しており、これはそのものずばりでその表面がどの鉛筆の硬さで傷つくかというものです。
鉛筆の硬さというとBとかHBとかHとかありますが、この「H」がよくガラス製保護シートで使われている「9H」の「H」です。
ようするに、「9H」の保護シートなら、「9H」という硬さ(濃さといってもいいかも)の鉛筆で擦っても耐えられるということです(実際には5回の試験で2回以上傷がつく硬さの一つ下の硬さを表示しているので厳密には傷はつくかもしれません)。
ビッカーズ硬さ
モース硬度、鉛筆硬度が引っかき傷に対する強さなのに対して、これは押し込み硬さを現します。
ダイヤモンドの試料を押し付けて、どれくらいで凹み(傷)が付くかというのを表した数値でHVという単位を使います。
これを表している保護シートというのが存在するのかわかりませんが、スマートフォンでよく使われているゴリラガス4のビッカーズ硬さは596HV、Dragontrailが673HVだそうです。
そしてサファイアガラスは2300HVということで桁違いに強いのがわかります。
グラスアーマーは効果があるのか?
以前にレビューした塗るだけでガラスを水晶化して強化するグラスアーマーですが、そのときはモース硬度と鉛筆硬度を混同していたため、いい加減なことを書いてしまいました。
なので、もう一度検証です。
まず、スマートフォンでよく使われているゴリラガラスなどの強化ガラスはモース硬度は6あたりのようです。
このため、素の状態でカッター(モース硬度4.5あたり)を使ってもまず傷はつきません。
また、鉛筆硬度「9H」をうたう一般的なガラス製保護シートのモース硬度は5程度。
カッターで傷がつくかどうかは以外とぎりぎりのラインみたいです。
なかにはゴリラガラスを採用した保護シートなどもあるので、製品によってはもう少し硬そうです。
ちなみに、モース硬度5のごく普通のガラスであっても鉛筆硬度で表現すると9H以上になります。
前回の検証では、ガラスのプレパラートの一部をマスキングしてグラスアーマーを塗り、そのプレパラートを割れたガラスで傷つけるということを行いました。
結果として素の状態のガラスよりも傷がつきにくくなっているのは間違いなかったので、少なくともモース硬度5以上にはなっているはず。
以上を鑑みるに、グラスアーマーが本当にガラス表面を水晶化(モース硬度7)しているのなら、ガラス製保護シートなどよりも効果は高いと言えそうです。
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