「明日やります」の奥野さんと「卵は世界である」のあきおさんが主催しているブロガーズリスク分散勉強会に参加してきました。
この勉強会、今回が4回目ということですが、今回のテーマは「著作権」。ブログで書籍やマンガ、WEBサービスの紹介などをすることも多いですが、そのような場合の著作権法違反とならない適切な引用方法を学ぶことが出来ました。
この手の勉強会はブロガー同士の素人意見の発表会という形式なものも少なからずありますが(必ずしもそれが悪いとは思いませんけど)、今回は法律絡みのことなので、現役弁護士のが解説してくれました。
GVA法律事務所の野本先生ですが、WEB事情にも詳しくTwitterのツイートを利用する場合、ToggeterやNeverまとめ、各種キュレーションメディアの問題点などを交えて著作権について説明してくれて、実践的でとてもわかり易かったです。
引用の範囲はどこまでか?
今回の勉強会の主軸であり、かつ一番気になっていたのが「引用とはどの程度まで認められるのか?」という点。
野本先生によると、引用の範囲と認められるには下記の条件を満たしている必要があるということです。
- 引用する必然性がある
- 自分の著作物と引用部分とが区別されていること
- 主従関係が明確であること
- 出所の明示がなされていること。
うちを含めて、なんとなく2.と4.だけクリアしてればOKじゃない?というノリのブログもあったりしますが、大事なのは1.と3.ですね。特に1.については意識したことがありませんでした。
例えば、なにかを説明するときに、他のサイトで書かれた内容を引用してくる(「他ではこんな意見がありますよ」とか「こんなことが書かれていました」とか)ことはよく行われていますが、それに必然性がなければ引用とは認められない(=転載、パクリ)ということです。
必然性というのもなかなかに難しいですが、それがなければ記事が完成しない、記事としての体をなさないというのであれば必然性があるということになります。なので、何かのマンガを批判する記事を書くとき、そのマンガのページを見せないことには意図が伝わらないというのであれば、必然性が認められる = 引用になるということだそうです。
なるほどなぁとは思いつつ、これって相当にハードルが高いですよね。
主従関係については、記事中に占める引用の割合があてはまります。例えば、他のサイトの記事を引用し、1行程度コメントを書いたような記事では引用とは認められません。
どの程度ならOKか、という話になると明確な線引は難しそうですが、客観的に見て引用した内容と、その他の部分とでどちらの占める割合(分量的、意味的に)が多いかで判断されるみたいですね。
パブリシティ権にも注意が必要
これは芸能人関係の記事を書いたりする人が特に注意をしなければいけないことですが、芸能人や有名人など、名前や写真だけで利益を発生させうる人たちにはパブリシティ権というのがあり、例え自分で撮影した写真であってもブログなどに掲載すると違法となる場合があるそうです。
これについてはジャニーズが特に厳しいとのこと。
Amazonには通常、書籍の書影が当たり前のように画像で表示されていますが、例えばNHKの軍師官兵衛のムック本ではジャニーズタレントが写っている部分が抜かれていたりします。
なお、引用の話で言うとAmazonは出品者と著作権についての包括的な契約を結んでおり、ブログなどでAmazonのアフィリエイトリンクとして画像を利用するのは著作権的になんの問題もないとのこと。なので、商品画像や書影などを使いたい場合にはAmazonのアフィリエイトリンクを使うのが手堅い方法ということです。
著作権は大事だけど、必要以上に警戒しなくてもいいかな?
著作権は当然守らなければいけない権利ですが、相手に対する敬意、リスペクトがある範囲ではそんなに警戒しなくてもいいかなぁというのが正直な感想です。ただ、上に書いたパブリシティ権の場合は金銭が絡むだけに事情が別ですけどね。
最近ではクリエイティブ・コモンズ(CC)もぼちぼちと広まってきているので、こういうのを利用するのも手ですね。
ちなみに、この記事のトップ画像はたぶん著作権的にはNGです。この画像を使う必然性も確実にあるとは言い切れないし……。訴えないでね?
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そんな著作権について、GVA法律事務所が書いた本が発売されています。アプリ開発に特化したようなタイトルですが、ブログを含むWEBサービスについても書かれているということでブログを書く人にも参考になりそうです。