国土交通省が実施している羽田空港と秋葉原万世橋間を結ぶ舟運(しゅううん)社会実験、ようするに羽田-万世橋間のクルーズ体験に参加してきました。
舟運社会実験とは
舟運社会実験は、約90年前のインフラ「万世橋船着場」(秋葉原)の有効活用をキッカケにして、同船着場の拠点性に着目し、羽田空港まで一気に結ぶ航路の設定を検討してきました。観光や文化を運び、移動できる新たな水上交通を目指しながら、舟運の活発化をキッカケに、地域や街全体がより元気づく相乗的効果も期待しています。昨年9月に行った初回実験では、8日間で約1,500人の皆様に乗船参加頂き、舟運へのニーズやマーケットの存在を確認できました。
ということで、羽田―万世橋間に限らず、東京の水路を観光、交通路線として活用することを検討しており、それが実現可能かどうかの検証実験という位置づけになっています。
実際のそんなお題目はおいといて、普段はなかなか見ることが出来ない水上からの東京の見物という感じで楽しんできました。
集合は羽田空港国際線ターミナル
集合は羽田空港国際線ターミナル。第1ターミナル、第2ターミナルはちょくちょく利用していましたが、国際線ターミナルは初めてでした。羽田に行くのにリムジンバスを利用したのですが、途中バイクがバスの前で転倒、あわや接触事故という感じで集合に間に合わないかなぁと思ったのですが、当のバイクのほうが逃亡し、結局警察も呼ばずにほぼ定刻通りの到着となりました。
国際線ターミナルの中はなんかすごいことになってました。ちょっとした観光地っぽい。でも食事は平均2,000円前後で高かった……。
ターミナルから徒歩で船着場へ
国際線ターミナルで集合した後、徒歩で船着場へ移動。約15分ほどの距離した。知らなかったのですが、この船着場、普段から定期航路があるみたいですね。
乗船するのはルーク号
今回乗船したのは株式会社ZEAL所有の「ルーク号」。今回は参加人数が多いということで、もう一隻、同型の「かのん号」も出ていました。屋根がない、運河クルーズに適した船ということですが、イメージ的にはちょっと豪華なイカダです。横にも壁がないので端に座るのは恐そうです。ちなみにクッションに見える赤いのはクッション兼用の救命胴衣。
船長さんではなく、車掌さん的な役割の人で2時間の航海の間、周囲の歴史や通過する橋、横を通る船などについてずっとガイドをしてくれました。
クルーズ体験 出発
今回の航路は下記のようになっています。羽田から海老取川に入り、京浜運河を抜け、レインボーブリッジを抜けて隅田川、そして神田川に入るルートです。
海老取川
海老取川入り口付近にある穴守稲荷神社の鳥居。以前は空港敷地内にあったものがここに移設されました。
以前は川沿いに看板がずらりと並んでいたそうですが、羽田空港が拡張し、メインターミナルが川から見えなくなったので徐々になくなっていき、このポンジュースが最後の看板だとか。
海老取川出口付近にある羽田可動橋。1998年以降、動いてはいないそうです。
京浜運河
海老取川を抜けて京浜運河へ。このルート、小型船舶の免許があれば自分で操船して辿れるそうですが、海老取川の出口~京浜運河の箇所は浅瀬が多く難所だそうです。
そんな京浜運河に入ったところにある大井ふ頭中央海浜公園。普段はバーベキューをしている人が多いということですが、今日はいなかったです。
目黒川と天王洲運河を繋ぐ目黒川水門に描かれたしながわクジラ。江戸幕府11代将軍の時代にこの付近(当時は海だった)にクジラが迷い込み、漁師が捕まえて現在の浜離宮庭園に運んだという故事に由来しているそうです。よくみると、波の形で「しながわ」という文字が表現されています。
おしゃれスポットなT.Y. HARBOR。人がいっぱいでみんな手を振ってくれました。見慣れないところに船が通ると、なぜかみんな手を振るよね。
天王洲のあたりはもともと台場(砲台置き場)だったということで、当時の石組みを水上から見ることができます。
東京湾岸署の警備艇。水路のいたるところで警備艇を目にしました。
この「わかちどり」が水上警察で最速の船だそうです。
レインボーブリッジを抜けて隅田川へ
京浜運河を抜けるといよいよレインボーブリッジです。
普段こんな角度から見ることはないのでちょっとだけ興奮しました。なお、レインボーブリッジをくぐるときにお願い事をすると叶うというジンクスがあるそうです。一応、目一杯お願いしときました。
レインボーブリッジをくぐるときに横にいた東海汽船の「セブンアイランド愛」。高速ジェット船で航行中は船底が水面から出ています。そして船が通ったあとにできる「引き波」ができないという特徴もあります。今回乗ったような小型船にはありがたい船ですね。
これは水上バスのヒミコ。松本零士がデザインした船で、もう一隻、同型のホタルナという船がいます。
こち亀でおなじみの勝鬨橋。中央が開く可動橋ですが、現在は動いてはいません。動くと面白いよね、という話も出ているそうですが、整備に1億円程度かかるだろうとのことです。通過中なのは水上バスの「竜馬」。
大きな斜張橋の中央大橋。
隅田川はパリのセーヌ川と友好河川ということで、パリから送られた「メッセンジャー」という彫刻が橋の根元にいます。二宮金次郎っぽいですが女性の像だということです。
隅田川にかかる橋の中で、もっとも美しいとされているらしい清州橋。
スカイツリーと総武線の鉄橋。下を通っているのは水上バスの「ホタルナ」です。ぱっと見では「ヒミコ」との違いがわかりませんが、よく見ると窓の形が違います。
柳橋をくぐり神田川へ
柳橋をくぐり、小さな石鹸がカタカタ鳴っちゃう神田川へ入ります。
ここでちょっとお買い物タイム、ということで、柳橋の横にある小松屋さんの桟橋につけて、船の上から買物です。
娘さんが三味線を弾いて、店主の方が歌ったりしてなかなか良い雰囲気でした。
お土産に小エビの佃煮と生あみの佃煮を購入。江戸手ぬぐいを使ったハンカチ大の布で包まれています。
佃煮は曲げわっぱに入っていて本格的。小エビは甘くておいしかったです。佃煮だけど、海老の風味がすごくします。
柳橋を抜けると屋形船の係留ゾーンになっています。
係留ゾーンを抜けると静かな都会の中の川という趣きに。
そんな中にあらわれる柳森神社。境内に複数の社があり、どんな願いでも大抵は境内にいるどれかの神様が聞いてくれるというコンビニ的な神社です。「玉の輿」の語源になったとされる5代将軍の徳川綱吉の母・桂昌院が信仰していた「おたぬきさま」もここに祀られています。ちなみにシュタインズ・ゲートの柳林神社のモデルでもあります。
そして万世橋に到着。この橋の船着場が使われるのは珍しいためか、橋の上に人だかりができていました。
船着場がすごい高い位置にあるのですが、干潮の差を考慮するとこの位置になるのだとか。
どうするのだろうと思ったら、上から階段が下りてきました。実際に観光航路になったらもうちょっとなんとかするのでしょう。
まだ予約受付中
普段とは違う川からみた東京が体験でき舟運社会実験ですが、まだ予約を受け付けています。めったにない機会ですので、気になる人は参加してみることをお勧めします。
【羽田空港12:15集合】国土交通省の社会実験限定航路を航く!東京横断!!運河探検クルーズ 日帰り|阪急交通社
今回は曇りがちな天気でしたが、その分、暑くもなく寒くもなくという感じでちょうどよかったです。快晴だと日影がないので帽子がないとちょっときついかも。日傘も禁止だそうです。
所要時間は約2時間ですが、おしりが痛くなるのでその点だけは覚悟してください。