Tronsmartさんのご厚意でQuick Charge 3.0対応の急速充電器 WC1Tをご提供いただいたので、そのレビューをお届けします。
Quick Charge 3.0
そもそもQuick Chargeとは何なのか?という話ですが、これはSnapdragonでおなじみのQualcommが作ったもので、デバイスの充電時間を短くできる急速充電の規格です。
従来、充電時間を短くするのには電流値を上げて、USBなのに5V/2.1Aだとかの電流値で充電を行っていました。しかし、電流値をあげると発熱が問題となり発火の恐れも出てきます。そこでQuick Chargeでは電流の代わりに電圧を上げることで急速充電を行います。
スマートフォンにはもともと5Vで供給されたものを内部で電圧を落としてバッテリを充電するという降圧回路が組み込まれており、この下げた電圧を電流に変換してバッテリにより多くの電流を流すことで充電時間を短くするというのがQuick Chargeの技術です。
Quick Charge 2.0では5V、9V、12V、20Vという電圧に対応しており、Quick Charge 3.0では3.6Vから200mV刻みで20Vまで対応しています。実際にはQuick Charge 3.0では電圧の調整だけでなく、電力損失を最大45%削減したり、給電効率を高めたりといった変更も行われています。
なお、このQuick ChargeはプロセッサとしてSnapdragonを搭載している機種の一部で利用可能となっています(QC3.0はSnapdragon 820 / 620 / 618 / 617 / 430搭載の一部機種で利用可能)。
Tronsmart WC1Tレビュー
今回頂いたTronsmart WC1Tは、最新のQuick Charge 3.0に対応した充電器です。Quick Chargeに対応した製品はQualcommの認定を受け、Qualcommのサイトで公開されているのですが、Tronsmart WC1Tもちゃんとリストされていました。
USB-ACアダプタとしてはやや大きい目ですが、Quick Charge対応としては小さい部類のようです。
ポートは1つだけです。
充電性能評価 充電は本当に速いのか?
そんなわけで、実際に充電時間を調べてみました。といってもQuick Charge 3.0対応のデバイスは持っていないのでGalaxy S6を使用しています(このGalaxy S6、Exynos搭載版なのでQuick Chargeには非対応なのですが、それに近い急速充電には対応しているようです)。
ちなみに、Quick Charge 3.0対応のデバイスは2016年5月16日時点ではHTC 10、HP Elite x3、LG G5、HTC One A9の4台だけです(これもQualcommのサイトで公開されています)。
使用したのはTronsmart QC1Tと、比較のためAnkerの40W 5ポートの急速充電器。そして一般的なASUSのUSB-ACアダプタでGalaxy S7を充電してみました(Galaxy S6とS7のバッテリ容量は2550mAhで同じです)。
Tronsmart WC1Tは9.12Vで出力していました。
バッテリのグラフ取得に利用したのはBattery Mixというアプリです。
ただ、このままだとわかり難いので、エクセルにデータを落としてグラフ化してみました。
左からTronsmart WC1T、Ankerの急速充電器、ASUSのノーマル充電器という結果です。スタートはどれも残量6%、横軸は充電開始からの経過時間(分)となっています。
Tronsmart WC1Tはさすがに早いですね。6%から80%まで約42分で充電できています。同様に80%に到達するのにAnkerは約60分、ノーマルな充電器は90分かかっています。
Quick Charge 3.0対応のデバイスであれば、一般的なスマートフォンなら35分で80%まで充電可能ということですが、今回の結果をみると十分に達成できそうです。
出先に持ち歩くにはいいかも
今回のTronsmart WC1Tは1ポートしかありませんが、そこそこコンパクトで持ち運びにもかさ張らないので、出先でのちょっとした充電、例えば空港だったり新幹線だったり喫茶店だったりで使うには便利かもしれませんね。
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