アカウントの統合問題
昨日、日本でもKindleストアがオープンしました。なかなかの品ぞろえのようで今後も楽しみなのですが、これまでUS版のKindleを購入して使っていたり、Amazon.comでkindle向けの電子書籍を購入していた人には「アカウントの統合」という悩ましい問題が発生しています。
Amazon.comのKindleストアとAmazon.co.jpのKindleストアはそれぞれ別のアカウント(Amazon.comとAmazon.co.jpのアカウント)に紐付いているため、Amazon.comで購入した書籍をAmazon.co.jpで購入したKindleに移したり、Amazon.co.jpで購入した書籍をUS版のKindleに移したりということは、そのままではできません。
このため、2つのアカウントを統合する必要があるのですが、アカウントを統合してしまうとそのアカウントではAmazon.comかAmazon.co.jpどちらかのKindleストアでしか購入ができなくなるという問題が発生します。
ここでは、少しだけパターンわけをしてアカウント統合をするべきか否かを考えてみました。
US版Kindleを自炊PDFを読むために使っていた場合
これまでUS版Kindleを購入し主に自炊したPDFファイルを読んでいたという人は統合してもしなくても問題ありません。Paperwhiteの人は日本語書籍も読めるのでAmazon.co.jpに紐付けたほうが便利でしょう。Paperwhite以外(無印Kindle、Kindle keyboardなど)を使っている人は日本語書籍を表示できないし、端末にダウンロードすることすらできない(対応していないというエラーがでるとのこと)のでAmazon.co.jpに紐付けるメリットはなさそうです。ただ、Amazon.co.jpで端末やパーソナルドキュメントを一元管理できるという点では紐付しておいても損はないでしょう。
US版Kindleで電子書籍を購入して使っていた場合
US版Kindleを持っていて、Amazon.comのKindleストアで書籍も購入していたという人はちょっと考えたほうがいいです。書籍(洋書)だけであればAmazon.co.jpでも購入できますし、US版Kindleにも配信可能です。さらにアカウントを統合してAmazon.co.jpに紐付けしたあとでもKindleからはAmazon.comのKindleストアから購入が可能だそうです。なので、書籍だけ購入していたという人はアカウントを統合しても問題はないでしょう。しかし、書籍以外の新聞や雑誌、Blogなどの定期購読をしていた人は、アカウントを統合してAmazon.co.jpに紐付してしまうとそれらの定期購読ができなくなります(自動的に解約されるとのこと)。定期購読を続けたい人はアカウントの統合をしてはダメです。
また、Amazon.comでWhispersync for Voice(Audibleで購入したオーディオブックと連携して、家ではKindleで読み、出先では読んでいた途中の部分から再生して聞き、帰ってきたら聞いていた途中の部分から読み始めることができるという超便利サービス)を利用していた、これから利用しようと思っていた人も統合はしないほうがいいでしょう。このサービスは日本では提供されていません。
アプリ版Kindleを使っていた場合
以上はUS版のKindleを持っていた場合ですが、これまでAndroid版のKindleアプリやiOS版のKindleアプリを使ってAmazon.comのKindleストアで購入した書籍を読んでいた場合はどうでしょうか?この場合も統合の必要はなさそうです。というのは、これらのアプリ上からであれば、アカウントを切り替えることでどちらのストアにもアクセスが可能だからです。
この場合注意しなければいけないのが、Amazon.comとAmazon.co.jpで同じユーザ名(メールアドレス)、同じパスワードを使用している場合。おそらくAmazon.co.jpのほうに紐付けられて端末上(アプリ上)からはAmazon.comのKindleストアにアクセスできなくなります。こういう場合は、メールアドレスやパスワードを別々のものを登録しましょう(参考:404 Blog Not Found)。
Gmailであれば「ユーザ名@gmail.com」を「ユーザ名+○○@gmail.com」という形にしても使えるので活用してみてください。Amazon.comとAmazon.co.jpで別々のユーザ名(メールアドレス)、パスワードを使っていれば、アプリ上の設定でアカウントを切り替え可能になります。
いまのところWindows版やMac版のKindleアプリではAmazon.co.jpのストアに対応してないようですが、いずれ対応してAndoridやiOSと同じような使い方ができると思います。
※アカウントの統合後にアプリ上からそれぞれのストアにアクセスできるのかは不明です。どちらも使いたい場合は統合しないほうが無難だと思います。
US版Kindleの日本対応
US版Kindleを購入して使っていた人には気になる日本語書籍への対応状況ですが、かなり残念な結果となっています。
まずE-Ink版ですが、Paperwhite以外は日本語書籍を表示することができません。また、Amazon.co.jpで購入した日本語書籍を端末にダウンロードすることもできないようです(エラーが出てダウンロードできないとのこと)。もちろんUSB経由でなら移せますが表示できないので意味はないですね。洋書の場合は問題ないようです。※Kindle touchの場合、最新ファームでなら日本語表示が可能なようなので、Paper以外でもtouchなら使えるかもしれません。
追記:kindle touchも日本語書籍の転送ができないそうです。残念。
また、Paperwhite以外は端末上からAmazon.co.jpのKindleストアで購入もできません。逆にいうと、アカウントを統合した後でもこれらの端末からはAmazon.comのKindleストアで購入可能です。
Kindle Fire、Fire HDについてはいまのところ情報がないのですが、おそらくPaperwhiteと同様(というかAndoroidアプリと同様)にアカウントの切り替えができるのではないかと思っています。
そんなわけで私の場合……
US版Kindleを使って自炊PDFを読むために使っていたのでアカウント統合をしても大丈夫そうなのですが、Whispersync for Voiceを近々利用しようと思っていた(このため、先日調べたばかり)のでとりあえずは統合を見送ろうかと思っています。統合しようとしてもエラーでできなかったしね……(なお、統合でエラーが出た場合、Amazon.co.jpに連絡するように促されます。Amazon.co.jpの「カスタマーサービスへ連絡」から連絡可能です)。