PC界のレジェンド的存在であるT教授こと竹村譲氏、月刊アスキーの元編集長 遠藤 諭氏、そしてキーボードのプロであるリュウドの社長、長澤 久吉氏が考案・作成した新しい手遊び系ガジェット(Fidget)、「KACHA」のお披露目イベントが行われました。
平たく言えば、3つのキーが付いており、手で握ってカチャカチャとするだけでのものなのですが、企画構想2年、開発に13ヶ月かけたという、こだわりがこれでもかと詰め込まれた一品になっていました。
まずはPCを使う人なら誰でも1度は押したことがあるのではないかと思う、Ctrl + Alt + Delの話から。
IBMのPCが1981年に誕生してから37年間、変わらずに機能し続けている、ある意味呪術的とも言えるこの機能、もともとはフリーズすることが当たり前だった初期のマシンで、わざわざコンセントの抜き挿しをするのが面倒なために再起動の手段として搭載されたのが始まりです。
遠藤さんの試算によると、37年間で押された回数は世界中で500億回以上だとか……。
そんな3つのキーのコンビネーションを使ったReboot(再起動)という発想から生まれたのが、いつもの手の中に収めて愛用することで「アイデア降臨」「ストレス解消」「発想拡大」「暇つぶし」「無の境地の創造」を支援する「KACHA」です。
ただ、そんな効能うんぬんの話はおいておき、キーが3つ付いているだけなのに、詰まっているこだわりが半端ではありません。
まず、キーそのものはCherryのMX青軸を採用。これを選定するにも赤軸や黒軸など、多くのスイッチや基盤でテストを行ったとのこと。
なお、最終的に青軸が採用されていますが、規格さえあえばユーザーが交換することも可能とのことです。今回のイベント参加者には、希少な緑軸がもらえるクーポンも配布されました。
そしてキーの底着き感を演出するためのプレートにもこだわり、1.5mmのステンレス板を採用。レザー加工されたこのステンレスパネルがKACHAの中でもっとも高いパーツだとか。
ケース自体はシリコン製。手に持ったときの当たりが柔らかく、握り心地もいいです。そんなケースの底面にはPC/AT機のデザインが。
さらにこだわりは個装箱にも及びます。当時のIBM互換機の箱のデザインやカラーを再現するだけではなく、厚紙ではなくダンボールで制作しています。
そりゃぁ、開発に13ヶ月かかっちゃうよなと言う感じです。
なお、誤解を招かないように書いておくと、KACHAにはPCやスマートフォンとつながったり、なんらかの電気的な機能などは一切ありません。単にケースにキースイッチが付いているだけです。
ただ、ケース内にはそれなりにスペースに余裕があるようなので、腕に覚えがある人ならいろいろと遊ぶことはできるかもしれません。
ハンドスピナーのような大ヒット……にはならない気がしますが、少し試した限りではなかなかに癖になる押し心地で、お世辞抜きにカチャカチャしてると集中できそうな気がしました。
そんなKACHAはクラウドファンディングのMakuakeで本日からプロジェクトがスタートしています。発送は6月中旬の予定です。
以下余談ですが、開発者の3人はThinking Power Projectとして、これまでも様々なアイテムを生み出しています。
オリジナルのツバメノートが最初だったそうですが、私も使用しているThink AreoもThinking Power Projectの製品だったのですね。