Redditに発売前のSony Playstation VRのものと思われる注意書きのスクリーンショットが投稿されており、それには「12歳以下の子供には使わせないように」との記載があります。しかし、これはPlaystation VRに限った話ではなく、OculusやGoogle Cardboardでも子供が使わないようにとの注意喚起が行われています。
※追記:末尾にもリンクを追加していますが、以前は13歳以下は使用禁止でしたが、商業施設では保護者の同意のもと7歳以上~13歳以下は、利用可能の流れです。
各社の注意書き
Playstation VR
これがRedditに投稿されていたスクリーンショット。
「The VR headset is not for use by children under age 12.」の記載があります。
Oculus
Oculusは「Health & Safety」という文書の中で13歳以下は使わないようにと警告しています。
HTC Vive
文章として記載されているものは見つけられませんでしたが、HTCもViveについて子供のためには作られておらず、子供に使わせないようにとの注意喚起を行っているようです。
HTC warns: Don’t sit on imaginary VR furniture when using the Vive
製品版のマニュアルにはこの注意が乗っているという話もありますが、未確認です。
Gear VR
SamsungのGear VRにも「13歳未満のお子様は、Gear VRを使用しないでください。」という注意書きがあります。
Google Cardboard
Cardboardには直接的な記述はありませんが、Google Storeでは、
大人の目の届かないところで、お子様がビューアを使用することがないようにしてください。
という注意が記載されています。
なぜ子供が使ってはいけないのか?
医学的には根拠がある
各社揃って子供(12歳~13歳以下)は使わないようにとの注意喚起を行っていますが、これは「目が悪くなるから」とかの消極的な話ではなく、医学的に根拠があってのことだそうです。
昨年11月に行われたVRコンソーシアムで大阪大学大学院医学系研究科・感覚機能形成学 不二門 尚氏が講演しているのですが、この中で、子供が使用することによるリスクや障害について報告が行われています。
それによると、6歳までの発達期にある子供がVRなどの立体視を行った場合、目が内側によって戻らなくなる斜視の状態になることがあるそうです。
大人の場合、この状態になっても2~3日でもとに戻るそうですが、上のスライドの子(4歳11ヶ月)の場合、手術するまで3か月間、斜視が治らなかったとのこと。
上記動画での注意喚起を要約すると、
- 6歳までは立体視の発達期にあり、VRを含むHMDの使用は慎重にする必要がある。
- 6歳以降は立体視の機能はほぼ完成しているが、融像機能が弱いと斜視などの問題がでることがある。
- 13~14歳くらいまでは瞳孔間距離が増加する。
上記の理由により、各社とも子供(13歳以下)にはVRヘッドセットを使わないようにとの注意を行っているようです。
明確な基準はなく、業界の自主基準?
上記のように医学的には根拠がある話ではありますが、ISO等では明確な基準はないそうです。
このため、現在の各社の注意書きは業界的な自主基準なのではないかと思います。
日本国内だと、動画の中でも触れられている3D基盤委員会では12歳以下のHMDの利用は慎重にしたほうがよいとの見解とのこと。
また、2011年10月と古い内容ではありますが、3Dコンソーシアムが出している「3D安全ガイドライン」では、同様に「3D機器の子供の利用では発達段階の視機能への影響を考慮したうえで、利用が必要な場合は、大人の管理のもとに視聴の可否判断、視聴時間制限をするのが望ましい。」としています。
もっと積極的な告知が必要では?
いまのところ各社の自主判断に任せているような状況ですが、少なくともこの注意はもっと大きく積極的に行われるべき内容のように思います。
VRへのイメージ悪化のような懸念があるのかもしれませんが、具体的な被害が出始めてからでは遅いですし。
「マニュアルには書いてある」「読まない奴が悪い」という話もありますが、そういうことではないと思うのですよね。
※追記:一般社団法人ロケーションベースVR協会が「VRコンテンツの利用年齢に関するガイドライン」を発行しました。
(via Pocketlint)
(source reddit)