Quick Chargeはそろそろ一般的になってきた感がありますが、Googleの新端末Pixelが対応したUSB PDや、Ankerの充電器に表示されているPowerIQやVoltageBoostなど急速充電の種類が増えてきてよくわからなくなってきました。
なので、とりあえず目についたものだけですが、急速充電の種類について調べてみました。
さまざまな急速充電の仕様
Quick Charge
Qualcommが策定した急速充電の仕様で、急速充電と言えばQuick Charge(QC)というぐらいメジャー。
最新の仕様はQC3.0になります。QC4.0+になります。
充電効率を高めるためには、流れる電流を多く(iPadの2.4Aとか)すればいいのですが、そうすると発熱が問題になりバッテリの寿命にも影響を与えます。
そこでQCでは電流ではなく電圧を上げることで急速充電を行います。
QC2.0では5V、9V、12V、20Vという電圧に対応しており、QC3.0では3.6Vから200mV刻みで20Vまで対応します。
利用するためには端末のほか、充電器側もQCに対応している必要があります。
なお、QC3.0、2.0に対応したデバイスはQualcommのサイトで公開されています。
Snapdragonを搭載していることが条件だと思っていたのですが、Atom搭載のZenFone 2もQC2.0に対応していることから、QCの制御チップさえ積んでいればいいみたいです。
USB PD
USB-IFが策定した充電の仕様で、最大100Wの電源供給が可能になっています。
ノートPCなどでは一部対応しているものもあるようですが、スマートフォンで公式に対応しているのはGoogleのPixelが初でしょうか?
参考:USB.org – USB Power Delivery
USB PDには5つのプロファイルが設定されており、Pixelで採用されている18WのものはPROFILE 2で、Pixelの充電時には12V 1.5Aが供給されています。
Profile | 仕様 | W |
---|---|---|
PROFILE 1 | 5V 2A | 10W |
PROFILE 2 | 5V 2A, 12V 1.5A | 18W |
PROFILE 3 | 5V 2A, 12V 3A | 36W |
PROFILE 4 | 5V 2A, 12V 3A, 20V 3A | 60W |
PROFILE 5 | 5V 2A, 12V 20A, 20V 5A | 100W |
電圧を上げて急速充電を行うのはQCと同じですが、USB PD自体は急速充電ではなく大電力の給電をUSBで行うことを目的としているようです。
USB PDの説明は下記が詳しいです。
参考:しっかり分かる“USB パワーデリバリ”入門:ついにやってきたUSB Power Delivery(USB PD)とは (1/3) – EDN Japan
Pump Express/Pump Express+
QualcommのQCに対抗して(?)、MediaTekが策定した急速充電の仕様です。
腕時計など小電力機器向けに3.6V~5V(5W~10W)を流すPump Express(PE)と5V/7V/9V/12V(15W~24W)のPump Express+(PE+)があります。
PE+には5V~20Vまで0.5V刻みで調整できるPE+2.0や3V~6Vまで10mV刻みで調整できるPE+3.0という仕様もあります。
基本的な動作はQCと変わらないようですが、QCとの互換はありません。
対象端末と対応した充電器を持っていないので動作は未確認です。
BoostMaster
ASUSの独自規格・・・なのですが、実態はQC2.0の様子。
実際、BoostMaster対応のZenFone 2はQualcommのQC2.0対応デバイスリストに名前が挙がっています。
18W(9V/2A)の充電器を使うことで急速充電が可能ですが、当然、QC2.0対応の充電器でも同様に充電ができます。
なお、最新のZenFone 3 DeluxeはBoostMasterではなくQC3.0に対応しています。
PowerIQ / VoltageBoost
充電器でおなじみのアクセサリメーカー Ankerの独自技術です。
通常、USBポートでは決まった仕様(5V 1Aとか)でしか出力をしませんが、PowerIQは接続された機器に最適な電流値を検出して出力します。
VoltageBoostはその名の通り、電圧を少しだけ昇圧(5.2V程度らしいです)して充電効率を高めます。
この2つの組み合わせでQC非対応のスマートフォンでも少しだけ早く充電することが可能になるというものです。
下記の記事で、Ankerの充電器での充電時間についても触れています。