新型モデルが発表され、Kickstarterでのキャンペーンも始まったPebble。このPebbleの防水性能は「Water Resitant to 30m」という表記になっています。
30m防水といえば生活防水に分類される防水性能で、飛沫には強いけど水仕事では外したほうがいいとされるレベル。水泳なんてもってのほかです。でもPebbleは着けたまま水泳が可能ということになっています。どういうことなのでしょうか?
Pebbleの「Water Resitant to 30m」は30m防水を意味しない
ISO22810とIEC60529
スマートウォッチやスマートフォンなどの防水性能というとよくIP68、IP67といった表記を目にすると思います。これはIEC(International Electrotechnical Commission 国際電機標準会議)で定められた規格で、日本ではこれに準拠した形でJIS規格化されています。
このIPXXという中で最も高い防水性能がIPX8という等級になりますが、実はこの等級には決まった性能がなく、「IPX7等級よりも優れた防水性能を持つが、性能はメーカーとユーザの取り決めによる」ということになっています。ではIPX7の性能はというと「規程の圧力、時間で水中に没しても水が浸入しない(水面下・15㎝〜1m、30分間)」となっています。
IPコード(IEC60529)での水に侵入に対する保護等級
保護等級 | 内容 |
---|---|
0級 | 特に保護がされていない |
1級 | 鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴I形) |
2級 | 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴II形) |
3級 | 鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防雨形) |
4級 | あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形) |
5級 | あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形) |
6級 | あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形) |
7級 | 一時的に一定水圧の条件に水没(0.15~1mの深さに30分)しても内部に浸水することがない(防浸形) |
8級 | 継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形) |
水面下1mというと気圧に直せば0.1気圧。時計に表示されている3気圧防水、10気圧防水などと比べるとはるかに見劣りしますね。もともとIECの規格は電気機器の防水性能を定めたものですが、ISO22810はそのものずばり、時計の防水性能を定めた規格となっており、生い立ちが違います。
ISO22810での防水性能
防水性能 | 仕様 |
---|---|
Water Resistant 3atm / 30m | 日常使いに適しており、雨や飛沫に耐えられます。水泳やシュノーケリング、釣り、お風呂、シャワーでの使用には適していません。 |
Water Resistant 5atm / 50m | 水泳やラフティング、水場の作業や釣りに適しています。 |
Water Resistant 10atm / 100m | レクリエーションサーフィン、水泳、シュノーケリング、セーリング、ウォータースポーツに適しています。 |
Water Resistant 20atm / 200m | プロフェッショナルな海洋活動、本格的な海上でのマリンスポーツに適しています。 |
先にも書いた通り、他のスマートフォンはIECの規格(IPXX)で防水性能を表記していますが、Pebbleはより厳密なISO22810でテストを行っています。
テスト上は50m防水(5気圧防水)をクリア
Pebbleは、50m防水でテストが行われ、水中に沈めるだけの「静的」なテストだけでなく、実際に泳いだりして圧力をかける「動的」なテストも実施し、これをクリアしているそうです。
ただし、Pebbleにはマイクが付いており、これを外界から遮断するために使用している部品が静圧には強いものの50m防水を謳えるほどのものではないということで、防水能力は30mとしているとのことです(マイクがない初代Pebble(Classic)とPebble Steelは50m防水となっています)。
なお、「泳いだりすると水深30m(3気圧)よりも高い圧力がかかる」という話については、「間違っている。物理はそのようには作用しない」と切り捨てています。
There’s also a myth out there that swimming generates a higher ‘dynamic’ pressure much greater than 30m. It’s false – physics just doesn’t work like that.
結論:付けたまま泳いでも大丈夫
長々と書きましたが、結論としては付けたまま泳いでも大丈夫ということです。ただし、潜水用途には使用できません。余談ですが、10気圧防水の時計でも潜水には使えませんよ。使えるのはダイバーズウォッチだけです(Water Resistantではなく、Diver’sという表記になります)。
なお、この内容、Pebble TimeのKickstarterページに記載があります。質問メールを投げたらここに書いてあるよっと教えてくれました。
The new Pebble 2 and Time 2 will be water resistant, and suitable for shallow water activities like swimming. It’s not intended for deeper water activity like diving.
We’ve written up a detailed explanation in an update here: https://www.kickstarter.com/projects/597507018/pebble-time-awesome-smartwatch-no-compromises/posts/1179422
Pebble 2のキャンペーンページも書いて置くべきなきがするけど、Pebble好きな人には周知の事実なのだろうか……。