香港中文大学のLi Zhang教授らの研究チームが、磁気スライムロボット(magnetic slime robot)を開発、査読付き科学ジャーナルAdvanced Functional Materialsにて発表しました。
ロボットといっても何かしらの回路や機構を含んでいるわけでなく、素材はポリビニルアルコールとホウ砂、ネオジウム磁石の粒子。それ自体で能動的に動けるわけではなく、外部から磁力を使って操作します。
磁性流体自体は、様々な形に代わるアート的な使われ方でもおなじみですが、こちらはスライムというだけであり粘性が強め。この粘性を利用して、C型になってモノを囲ったり、ケーブルを掴んで繋げたり(導電性があります)と言った使い方ができます。
また実験では、腸の内壁に裸のボタン電池とスライムに包んだボタン電池を10分間放置するということも行われています。その結果、裸のボタン電池は放電し、内壁にダメージを与えたのに対して、スライムで包んだものはダメージが軽減されました。ボタン電池を誤飲してしまった際に、応急処置的にスライムを体内に入れ、電池を包むという使い方もできそうです。
ただし、スライムに含まれる磁性体そのものに毒性があるとのこと。このため、スライムをシリカの層で覆い、保護膜を形成しているとのこと。「安全かどうかは、スライムを体内に入れている時間にも大きく依存する」とZhang教授は述べています。
外部から磁力による操作が必要ではありますが、姿を変え狭いところにも入り込めるスライムロボットは、使い方次第ではいろいろと応用が利きそうで、今後の展開が楽しみなところです。
Source: The Guardian via Engadget