創業79年、補聴器では75年の歴史を持つ日本最大手の補聴器メーカーであるリオンが、「集音」に注力したワイヤレスイヤホン「ASMOLA」のクラウドファンディングをGREEN FUNDINGで開始しました。
補聴器メーカーがイヤホンというと、なにか違和感もありますが、リオンは「音響学で社会に貢献する」という理念を掲げており、ASMOLAもその理念に沿って「実は聞こえてないをなくしたい」という思いを込めた製品です。
正常に聞こえている健聴者からすると、難聴になると補聴器をつけるものと思ってしまいますが、実は日本の難聴者の補聴器所有率は15.2%(日本補聴器工業会調べ)。難聴度が高いほど所有率は高いものの、軽度難聴では所有率は11%に過ぎません。
この所有率の低さ、「それほど困っていないから必要と感じない」という人が多いというのがリオンの見解です。駅のアナウンスや喫茶店、居酒屋で会話が聞き取りづらいというシーンは難聴者でなくともありがちですが、それゆえに、実際には聞こえづらくなっている、聞こえていないということに気がついていないというケースも多いようです。
この「実は聞こえていない」けれど困ってはいないので補聴器は必要ない。しかし、聞き取りやすくなるアイテムがあるなら使ってみたいという部分にフォーカスしたのがASMOLAというわけです。
前置きが長くなりましたが、ASMOLAを大雑把に説明するなら、ANCイヤホンの外音取り込み(ヒアスルー)モードの進化版。外音取り込みモードを使ったことがある人なら、周囲の音が増幅されて聞き取りやすくなったと感じたことがある人も多いはず。
しかし、外音取り込みでは騒音も増幅されてしまったり、音の方向がわからなくなったりと、普通の聞こえ方とはかけ離れたものになりがち。
そこでASMOLAでは、バイノーラル信号処理をはじめとする各種機能の実現によって音源の方向感や距離感といった音の空間的な印象をそのまま保ちます。
また、各個人に合わせて聞こえ方をパーソナライズ可能。75年間、補聴器メーカーとして蓄積してきた調整データがあり、パーソナライズにはそのデータが活用されているとのことです。
また、右側だけ、あるいは左側だけ音を増幅したいといったこともアプリから切り替えが可能。居酒屋などで隣の席がうるさくて……という場合には役立ちそうです。
集音だけではなく、Bluetoothイヤホンとしても利用可能。対応コーデックはSBCとAAC、aptX、aptX adaptive。ANCにも対応します。
なお、音楽再生を目的とした製品ではなく、リオン自体、そうした音響方面には詳しくはないとのことなのでオーディオメインで考えるのはやめたほうがいいかもしれません。ちなみに、オーディオ用のSoCとしてはQualcommのQCC5144を使っているとのことです。
形状的にはネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンで、充電はコントロールボックスにあるUSB-Cで行います。連続使用時間は、集音モードで最長12時間、音楽再生などのストリーミングモードで最長8時間。
GREEN FUNDINGでの価格は、2万9800円から。発送は11月以降の予定となっています。
今回のプロジェクトは市場調査を兼ねているとのことなので、プロジェクト終了後の展開については未定です。上手く行けば、ECOサイト等で購入可能になるとは思いますが、少しでも早く試したいという場合には、この機会に購入しておくのがいいかもしれません。