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GREEN FUNDINGにて、鹿島建設がOPSODIS技術搭載のコンパクトスピーカー「OPSODIS 1」のクラウドファンディングを開始しました。現在の価格は超速割の6万5800円から。出荷は2025年4月以降の予定です。
音響施設を手掛けたノウハウから誕生したスピーカー
鹿島建設がなぜスピーカー?という疑問を抱くかもしれませんが、鹿島建設は各地のコンサートホールなど音響施設を数多く手掛けてきた企業です。音響設計・建築の過程では、まだ出来上がっていない建物で、実際にどういう音が聴こえるのかという音響解析、立体音響技術のノウハウも確立されてきました。
OPSODIS技術もそのうちの1つ。英サウサンプトン大学との共同研究により生まれた、「最小限のスピーカーで立体音を再生する技術」です。
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ただ、OPSODIS技術自体は、ここ数年で出てきたような新しいものではありません。鹿島はその技術をライセンスしており、2005年にはマランツからOPSODISを採用したオーディオシステムES-150が発売。その後も、マランツやシャープなどから搭載製品がリリースされています。
シャープが2023年に発売したネックスピーカーにも、OPSODISが搭載されています。
この立体音響技術がどれくらいすごいのかは、実際に体験しないとわからないところではありますが、簡単に言ってしまうとヘッドホンで聴いている立体音響を目の前のスピーカー1台で実現できているというう感じです。
実際に聴いた感想を言うと、控えめに言ってすごいです。
これまでも立体音響、空間オーディオという技術はあり、当然ながら複数のスピーカーを設置すれば、立体感は増していきます。
ただ、一般的なステレオスピーカーの場合、2台のスピーカーから左右別々の音を出したとしても、右のスピーカーの音は当然ながら左耳でも聞こえます。その逆もしかり。このため、バイノーラル音源の再生にはヘッドホンが必要となっていました。
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この問題に対してOPSODISでは、クロストークキャンセル技術を利用して、右チャンネルの音は右耳のみ、左チャンネルの音は左耳のみに聞こえるようにしています。
いったいどうやって?というと小難しい話になるのですが、簡単に言ってしまうと右スピーカーの出力が左耳に聞こえるであろう音・時差を考慮しつつ、逆位相の音をぶつけるという方法です。
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OPSODISには、ステルス・スピーカーという技術も利用されています。スピーカーの存在を消して、音がスピーカーからではなく全方位から聴こえてくるという技術です。
目の前にスピーカーがあるのに、そこからではなく本当に周囲から音が聴こえてくるのは、なかなかに不思議な体験です。
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なお、こうしたOPSODISの立体音響はバイノーラル音源でしか使えないわけではありません。ステレオ音源やマルチサラウンド音源、22.2ch音響放送など、さまざまな音響コンテンツに対応しています。
ハードウェアとしての「OPSODIS 1」の特徴としては、高音域、中音域、低音域用のスピーカーを各2基、計6基搭載。これに加えて製品両サイドに低音用のパッシブラジエターを備えています。
書くスピーカーには専用のデジタルアンプを搭載(計6基搭載)。全段デジタル信号処理のため、信号劣化もおきません。
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筐体は5mm厚のアルミ押し出し材を使用しており、高い剛性と高音質の再生も実現しています。
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入力インターフェースは、Bluetooth接続(SBC/AAC)、光デジタル接続、USB-C接続、3.5mmミニジャックに対応。
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製品が継続するかはクラファンの結果次第
このOPSODIS 1、実は鹿島建設としてはまだ製品化の許可を出していないのだとか。担当者の熱意に押される形で、とりあえずクラウドファンディングでテストマーケティングを実施することになったそうです。
現在のクラウドファンディングの支援状況を見るに、このまま立ち消えてしまう心配はもうないのではと思いますが、工場の1ロットは1000台らしいので、ぜひともこのまま成功してほしいところです。
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視聴できる場所
OPSODIS 1がどれほどすごいのかは、実際に体験してもらうしかありません。その体験できる場所が、いくつか用意されています。
まず直近のイベントとして、6月22日(土)23日(日)に開催される国内最大級のオーディオとホームシアターの祭典「OTOTEN 2024」に出展。
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また、8月31日まで、「TSUTAYA SHIBUYA」4階のSHARE LOUNGE内にあるGREEN FUNDINGブースで展示。7月1日~8月31日には二子玉川の「蔦屋家電」でも展示されます。