NECが個人向けPCの2024年秋冬モデルとして、14型のCopilot+ PC「LAVIE NEXTREME(X1475/JAS)」を2024年11月下旬に発売しました。NEC Directでの価格は24万7610円から。
同時に発表されたZ世代向けの新スタイルノートパソコン「LAVIE SOL」の陰に隠れて、あまり大きな話題にはなっていない気がしますが、ThinkPadがLAVIEに転生したようなスタイルが興味深いモデルです。CPUにはAMD Ryzen AI 7 PRO 360プロセッサーを搭載しており、メモリもLPDDR5X 32GB(交換、増設不可)でスペックも高めです。
今回、LAVIE NEXTREME(X1475/JAS)をお借りしたので、ベンチマークなどを中心にレビューをお届けします。
LAVIE NEXTREME(X1475/JAS)
まずはスペックから。主な仕様は以下の通りです。
- ディスプレイ:14型ワイド LED IPS液晶(WUXGA:1920 ×1200)
- プロセッサー:AMD Ryzen AI 7 PRO 360プロセッサー
- メモリ:32GB(デュアルチャネル対応、LPDDR5X)
- ストレージ:約256GB / 約512GB / 約1TB SSD(PCIe)
- カメラ:5MP(1440p)対応・IRカメラ(プライバシーシャッター付き)
- 無線LAN:Wi-Fi 7対応ワイヤレスLAN(IEEE802.11be対応)
- インターフェース:USB4 Gen3(Type-C)×2、USB 3.2 Gen1(Type-A)×2、HDMI出力端子
24万7610円からという価格に対して、非常にハイスペックなPCです。とくに、増設はできないものの、メモリが標準で32GBあるのもポイントが高いです。
しかし、それ以上に大きな特徴は、ThinkPadのようなトラックポイントの存在です。
それ以外の特徴としては、キーボード右上の電源ボタンには指紋センサを搭載。ディスプレイ上部のカメラはWindows Hello対応です。
インターフェースは向かって左側面にThunderbolt 4/USB4 Gen 3×2が2ポート、HDMI、3.5mmジャック。右側面にUSB-A(USB 3.2 Gen 1)が2ポート。無線関連はWiFi 7にBluetooth 5.4対応です。
ベンチマーク
ここからはベンチマークで実力を確認してみます。
まず、CPUの性能を測るCINEBENCH R23の結果ですが、マルチコアで「8090pts」、シングルコアで「1830pts」。マルチがやや低めな印象ですが、シングルはCore Ultra 9 185HやRyzen 9 7940HSも超えています。
次に、PCの総合的な能力を測るPCMark10ですが、トータルスコアは「6511」。ブラウザ利用やアプリの立ち上がりなど日常的な作業のスコアである「Essentials」は「9342」、オフィス作業の「Productivity」は「9899」とそこそこ高いスコアになっています。写真や動画編集を伴う「Digital Content Creation」も「8101」あり、外部GPUに頼らなくても、ある程度の編集は出来そうです。
続いて、グラフィック性能を見てみます。3DMarkの結果は下記の通り。比較としてRyzen AI 9 HX 370(Radeon 890M Graphics)のVivobook S 14、Ryzen 9 7940HS(Radeon 780M Graphics)のROG Flow X13のスコアも並べています。
全体的に、Vivobook S 14やROG Flow X13には及ばない結果となりました。Radeon 890M GraphicsのVivobook S 14はともかくとして、Radeon 780M GraphicsのROG Flow X13にも大きく差を開けられています。これは、GPUの性能差だけでなく、CPUの性能差も影響している可能性があります。
ベンチマークとしては負荷が高めなFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの結果は、軽量品質で解像度1920×1080のフルスクリーン設定では「3890(普通」、解像度を1280×720に落としたところ、標準品質でも「5032(やや快適)」という結果になりました。ゲームによっては解像度や画質を落とすなどの調整が必要になりそうですが、大抵のゲームは、設定次第で快適にプレイできると予想されます。
バッテリー駆動時間は、PCMark10のバッテリーテスト(Modern Office)では12時間26分となかなかの長時間駆動です。なお、Gamingでは3時間25分となっていました。
AI機能は未知数
AI性能に関してですが、いまのところうまく計測する手段がなく、他と比べることができません。一応、ULのProcyonでAI Computer Vision Benchmarkを実施したのですが、「57」という結果だけでどう評価していいのかわかりませんでした。
Geekbench AIでもNPUを使ってくれないので、判断が難しいところです。
トラックポイントに興味がある人におすすめ
すでに気が付いている人も多そうですが、LAVIE NEXTREMEは、ThinkPad T14s Gen 6 Strix PointのNEC向けモデル。言ってしまうと、ThinkPadのブラックボディがLAVIEのシルバーに変更になったカラーバリエーションモデルです。
レノボとNECは2011年、両者のパソコン事業を統括する合弁会社レノボNECホールディングスを設立。2016年には、NECが持ち株の9割をレノボに譲渡し、NECのパソコン事業は事実上レノボ傘下となっていました。
トラックポイントに興味があるものの、ThinkPadはちょっとビジネス色が強すぎると思っていた人にとっては、LAVIE NEXTREMEのシルバーカラーは魅力的に映るかもしれません。LAVIE NEXTREMEも十分ビジネスライクではありますが……。
トラックポイントを抜きにしても、性能を考えると約25万円というのはコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。Copilot+ PCとしての真価を発揮するのはもう少し時間がかかりそうですが、これからPCの購入を考えているのであれば、検討する価値は十分にあるでしょう。
なお、どうしてもビジネス色が気になるのなら、LAVIE SOLという選択肢もあります。