XREALが1月17日に発売する、新ARグラス「XREAL One」。XREAL初の独自チップを搭載し、従来はXREAL Beamなどの外部デバイスが必要だった3DoFに単独で対応可能となりました。
このXREAL Oneをお借りしたので、所有しているXREAL Air 2 Proと簡単に比較してみました。
XREAL OneとXREAL Air 2 Proを比較
XREAL Oneの外観は、従来モデルから大きくは変わっていません。しかし、光学系は変更されており、視野角がシリーズ最大の50度に拡大しています。
解像度は片目1920×1080ピクセルで、リフレッシュレートは最大120Hzで全モード90Hzに対応。そのほか、主な使用をXREAL Air 2 Proと比較すると、下記のようになります。
仕様 | XREAL Air 2 Pro | XREAL One |
---|---|---|
重さ | 75g | 82g |
サイズ | 長さ:148mm 幅:161mm 高さ:51mm | 長さ:151.6mm 幅:167.5mm 高さ:51mm |
解像度 | 片目 1920×1080ピクセル(フルHD) | 片目 1920×1080ピクセル(フルHD) |
視野角 | 46° | 50° |
リフレッシュレート | 最大120Hz(他は72Hz) | 最大120Hz(他は90Hz) |
ディスプレイ | Sony製0.55インチMicro-OLED | Sony製0.68インチMicro-OLED |
最高輝度 | 最大500nits | 最大600nits |
IPD調整 | 非対応 | ソフト調整 |
音響 | 第2世代音響システム | Sound by Bose カスタマイズ音響 |
エレクトロクロミック調光 | 3段階 | 3段階 |
3DDoF | Beamが必要 | 単独対応 |
価格 | 5万9980円 | 6万9980円 |
ディスプレイが0.68インチになり、新しく大きくなったのか?と思うところですが、実は2世代前のXREAL Airと同じサイズ。ちなみに、海外で発表されている上位モデルのXREAL One Proは0.55インチです。画面の明るさがアップするなどしているので、XREAL Airとまったく同じディスプレイを使っているわけではないのかもしれませんが、少し気になるポイントです。
なお、視野角がXREAL Air 2 Proの46°から50°へと拡大していますが、正直なところ私はその違いを体感することができませんでした。
右側のツルには、上側にショートカットボタンを搭載。このボタンは、後述するOSDで変更することが可能です。デフォルトでは、クリックすると画面が消えて周囲が見える「透過モード」、長押しには「ワイドスクリーンモード」が設定されています。
下側には、赤い「Xボタン」と「+/ーボタン」があります。「+/ー」は画面輝度の調整ですが、長押しすることで電子調光の切り替え(3段階)を行えます。
「Xボタン」は、「画面固定」や「ブレ補正」などのモード切替に使用します。Beamのオレンジ色のボタンとほぼ同じイメージです。長押しすると、固定した画面を正面位置にリセットできます。また、ダブルクリックすることで、OSDメニューを表示します。
OSDは、「+/ー」でメニューを選んで「Xボタン」で決定という感じで操作します。画面の表示サイズや表示距離の設定、ワイドスクリーンモード、3Dモードの切り替え、ショートカットボタンの機能割り当て、IPD調整などを行えます。
ショートカットボタンには、クリック、長押しそれぞれに「透過モード」、「ワイドスクリーンモード」、「3Dモード」、「オーディオ規格」、「調光クロミック」を割り当て可能です。
全面パネルは取り外しが可能。おそらく、ドレスアップ用のカラーバリエーションなどが用意されるのでしょう。
あと、XREAL Air 2シリーズからの地味な変更点ですが、近接センサーがなくなっています。XREAL Air 2シリーズは、近接センサーによりグラスを外すとディスプレイが消えるのですが、XREAL Oneは外してもずっと付きっぱなしです。
カメラモジュールXREAL Eyeに対応
日本では特に触れられておらず、私もXREAL One Proだけが対応していると思っていましたが、XREAL OneもカメラモジュールのXREAL Eyeを装着可能です。
日本では盗撮などの問題が懸念されるため、発売できるのかはわかりませんが、マニュアル上にはしっかりと記載がありました。ショートカットボタンで12MPの写真や動画を撮影できるようです。ちなみに、米国での価格は99ドルで近日発売となっています。
単独3DoFは思った以上に快適
実際に数日使用してみましたが、単独3DoFは思った以上に快適でした。ちょっと上向きに画面を固定しておけば、手元で別の作業をしたり、スマートフォンを弄ったりといったことも行えます。これまでもBeamも利用すれば同様のことは行えましたが、ケーブル1本で済むのはやはり便利です。
なお、接続時にはデフォルトで画面固定になっているので、うっかりすると画面が見当たらずに焦るかもしれません。そんなときは、Xボタンを長押しして表示位置をリセットしましょう。
新搭載のウルトラワイドモードは、当然ながら首を振らないと全画面は見えませんが、PC作業時には効率が良くなりそうです。
なお、ウルトラワイドが使えるかどうかは、接続する機器次第です。おそらく、PCであれば大抵は問題ないはずですが、スマートフォンやタブレットは対応できないのではないかと思います。
使ってみた感想としては、ノートPCのディスプレイ代わりであれば、かなり快適に使えると思います。画面が固定できるので、周囲が暗い環境で電子調光を一番薄くできるのであれば、サブディスプレイとしても利用できます。ただ、サブディスプレイ(固定したXREAL Oneの画面)を見るのに視線だけではなく、頭を動かさなければいけないので、長時間の利用は疲れます。
それよりは、ノートPCのディスプレイは使わずに、XREAL Oneだけで利用したほうが快適でしょう。MacBookであれば、画面を閉じて好きなキーボードを組み合わせるのもありです。
デスクトップの場合は、正直、大きなディスプレイを利用しているのであれば、そちらのほうが快適です。XREAL Oneは画面が大きく綺麗に表示できるとは言え、解像度が1920×1080ピクセルしかありません。OSDからの設定で、表示距離を変更できるので、1920×1080ピクセルでもかなりの大画面で作業可能ですが、1画面に収まらないので全体を見るには首を動かす必要があります。
作業用としてよりも、エンターテイメント利用のほうが現状では向いていると思います。とくに、遅延が少なくなったので、ゲームも快適にプレイできます。もっとも、私自身はXREAL Air2 Proの時点で快適にプレイできていましたが……。おそらく、FPSや格闘ゲームなど、フレーム単位で競うようなゲームでもそれなりに使えるようになったのでしょう。
XREAL Air 2 Proから買い替える価値はある?
XREAL Air 2 Proから買い替える価値があるかについては、XREAL Air 2 Pro + Beamの組み合わせで特に不満がないのであれば、すぐに買い替える必要はありません。
ただ、Beamは起動が遅いのがネック。XREAL Oneは、モードの切り替えや追従モードの表示など、すべての点においてBeamよりもスムーズで、使い勝手も格段に良いです。この辺りはX1チップの性能が現れているのでしょう。この点も踏まえ、遅延が気になる、接続を単純化したい、持ち歩くものを減らしたいということであれば、買い替える価値は十分にあると思います。