
Wear OSスマートウォッチを展開しているMobvoiが、薄型AI音声レコーダー「Mobvoi TicNote」を発売しました。価格は2万4900円。

このTicNoteの提供を受けたので、実際にどんな機能があるのかを紹介していきます。
カードサイズのAI音声レコーダー
TicNoteは、カードサイズのAI音声レコーダー。この手の製品だと、PLAUD NOTEがメジャーですが、TicNoteもほぼ同様の製品です。

上部にOLEDディスプレイを搭載しており、モードや録音状態のステータスが表示されます。

バッテリー容量は470mAh。25時間の連続録音が可能で、スタンバイは20日以上とのこと。充電は背面のPOGOピンから。専用のUSBケーブルを使用します。

付属のMagSafeケースを利用すれば、スマートフォンの背面に貼り付け可能。


ただ、スマートフォンによってはカメラに被ってしまうので注意が必要です。


2秒長押しで録音開始
使用方法はいたってシンプル。右上の電源ボタンを2秒長押しすると録音開始。録音中に2秒長押しで録音停止となります。
このとき、左側のスライドスイッチで、通常の「音声録音モード」と「通話録音モード」を切り替えます。

音声録音モードは、周囲の音声を録音する一般的な音声レコーダーとしてのモードです。机上に置いて使う場合はこちらを選びます。
通話録音モードはスマートフォンの背面に取り付けた状態で、スマートフォンの通話を録音するモードです。ただし、アプリを介して録音するわけではなく、外部マイクとして通話を拾うだけなのでBluetoothイヤホンなどを使用した通話は録音できません。この点はPLAUD NOTEなどでも同様です。
専用アプリで文字起こしや要約
録音データは、スマートフォンアプリ「TicNote」に自動で同期されます。
デフォルト設定では、同期後すぐに文字起こしが行われます。ただし、文字起こしにはクレジット(後述)が必要なので、自動で文字起こしをしたくない場合には設定画面の「自動転写」をオフにしておきましょう。

基本的な使い方としては、「録音(TicNote)→文字起こし・要約(アプリ)」ということになります。
「自動転写」が有効になっている場合、録音が終了すると自動的に文字起こしと要約が行われます。「自動転写」を無効にしている場合は、手動で「生成」をタップすると文字起こしと要約などが行われます。

生成結果は、アプリというよりAIモデル依存だと思いますが、PLAUDと比べてもそん色がないものだと感じます。話者認識などもかなり正確です。

「アハ体験」と「ディープリサーチ」
単に要約するだけではなく、マインドマップも作成可能です。これはPLAUDも同様ですが、PLAUDにはない機能として、「アハ体験」と「ディープリサーチ」があります。

「アハ体験」は、アプリ上では「ああ」と表記されていますが(アハのミスだと思いたい)、単なる要約とは違い、音声ファイルから何らかの洞察を得て、その内容を表示してくれるというもの。チャットで質問を重ねてより深く掘り下げることもできます。ただし、この機能は週に2回までしか使えないとのことです。
「ディープリサーチ(アプリ上では「深い研究」)」は、ChatGPTなどにある「Deep Reserch」と同等の機能。文字起こし後に、分析する内容を提案してくれるので、それをもとに追加・編集してDeep Researchを行うことができます。

使いこなすと便利そうなプロジェクト機能
TicNoteアプリでは、もう一つ特徴的な機能として「プロジェクト」があります。これは、複数の録音やローカルファイル、チャットやディープリサーチの結果などを一纏めにしておけるというもの。
AIに対してプロジェクトに登録された内容に関しての質問をしたりすることもできるの、NotebookLM的な使い方もできそうです。
なお、先に紹介した「アハ体験」ですが、プロジェクトに登録された録音では、さらに多くの洞察を得ることができるとのことです。

PLAUDにも「フォルダ」機能がありますが、録音ファイルしか登録できないので、関係のある資料をまとめて置けるプロジェクトは便利そうです。TicNoteを使っていくうえで、プロジェクトの使いこなしが肝になるかもしれません。
利用にはクレジットの消費が必要
TicNoteの各機能を使うには、クレジットが必要になります。無料プランでは、300クレジット/月利用可能。クレジットは文字起こしやチャットの利用などで消費されていきます。
- 文字起こし & 要約:1クレジット / 分
- フラッシュチャット:1クレジット / セッション
- ディープシンク:2クレジット / セッション
- ランダム思考:1クレジット / セッション
- ディープリサーチレポート:10クレジット / レポート
- アハ体験:期間限定で無料
月額2000円(年額1万3000円)で1500クレジット/月利用できるProプランが用意されているほか、必要に応じてクレジットを買い足すことも可能です。

なお、7月15日までに購入したユーザーは、Proプランを3か月無料で利用することが可能です。
機能としては十分 ただし、アプリの作りが惜しい
短時間使っただけですが、文字起こしや要約機能などの使い勝手は、PLAUDなどと比較しても遜色ありません。独自のプロジェクト機能は、使いこなせればかなり便利そうです。
ただし、いくつか惜しいと感じる部分もありました。
1つはアプリのローカライズ不足。「ああ」表記もそうですが、フォントがいわゆる中華フォントになっており、非常に読みづらいです。現状のままでは日本の消費者には受け入れられにくいと感じます。
もう1つは、アプリがスマートフォンでしか使えないこと。最近はスマートフォンだけで完結する人が多いのかもしれませんが、PCやWeb上から利用できないと、少なくとも私には仕事で活用するのは難しいです。なお、文字起こしや要約の内容をエクスポートすることは可能です。
最後に、音声ファイルのインポートができないこと。インポートができないので、TicNoteで録音したものしか文字起こしや要約ができません。当然と言えば当然なのかもしれませんが、インポートができると他のレコーダーで録音したファイルも活用できるので、ぜひ対応してほしいところです。