XREAL One Pro実機レビュー:新光学系「X Prism」で視野角57°を実現、オフィスユースでも実用レベルに到達

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XREAL Japanが、次世代ARグラス「XREAL One Pro」を7月24日に発売します。価格は8万4980円。

海外ではXREAL Oneと同時に発表されていたので、注目していた人も多いと思います。しかし、日本では「発表から発売まで期間が空く」「注文から配送までに時間がかかる」といった状況がユーザーの不満に繋がることを懸念し、安定供給の目処が立つまで発表を控えていたとのことです。

私も海外での発表時から気になっていたモデルで、これを購入するために「XREAL One」をスルーしていました。そのため、今回は発表と同時に予約済みです。

そして今回、予約品が届くよりも先に、XREALからXREAL Eyeとセットでレビュー機をお借りしたので、何が変わっているのかを簡単に紹介してみます。

XREAL One ProとXREAL Air 2 Proを比較

XREAL One Proは、一見すると従来モデルからデザインが大きく変わったようには見えません。しかし、光学系の変更によってレンズ部分が薄型化されるなど、よりスタイリッシュなフォルムに進化しています。

▲左はXREAL Air 2 Pro、右がXREAL One Pro
▲左はXREAL Air 2 Pro、右がXREAL One Pro。だいぶ薄くなっています

主な仕様をXREAL One、XREAL Air 2 Proと比べると、下記のようになります。

仕様XREAL Air 2 ProXREAL OneXREAL One Pro
重さ75g82g87g
解像度片目 1920×1080ピクセル(フルHD)片目 1920×1080ピクセル(フルHD)片目 1920×1080ピクセル(フルHD)
視野角46°50°57°
リフレッシュレート最大120Hz(他は72Hz)最大120Hz(他は90Hz)最大120Hz(他は90Hz)
ディスプレイSony製0.55インチMicro-OLEDSony製0.68インチMicro-OLEDSony製0.55インチMicro-OLED
最高輝度最大500nits最大600nits最大700nits
IPD調整非対応ソフト調整IPDに応じて2モデル
音響第2世代音響システムSound by Bose カスタマイズ音響Sound by Bose カスタマイズ音響
エレクトロクロミック調光3段階3段階3段階
3DoFBeamが必要単独対応単独対応
価格5万9980円6万9980円8万4980円

ディスプレイは0.68インチから0.55インチへと小型化されましたが、その一方で視野角は拡大しています。これは、新たに採用された光学系「X Prism」の恩恵です。

新光学系「X Prism」

XREAL OneとXREAL One Proの大きな違いは、光学系にあります。現行のAR・XRグラスは、眼鏡を通して現実の風景も見えるように、モニタを直接見ているわけではありません。

これまでXREALでは、眼鏡上部にあるディスプレイの映像を曲面のハーフミラーで反射させ、それを見る「Birdbath」という方式を採用していました。ちなみにBirdbathは、そのまま鳥が水浴びする浴槽のこと。構造が似ているのでこう呼ばれています。

▲Birdbath方式の図。画像はDisplayModuleのサイトから

Birdbath方式は、安価かつ高性能というメリットがある一方、映像を一度ビームスプリッターで反射させる構造上、光学系が厚くなるというデメリットもありました。

これに対してXREAL One Proで採用されたX Prismは、「Flat Prism」という方式を採用しているようです。どうやら、Googleが買収したAnt-Realityの光学系に酷似しているようで、KGOnTechが詳細な説明を行っています。XREALはAnt-Realityが2023年に行ったプレゼンテーションの資料で使われていたものとまったく同じ図でX Prismの説明を行っていたようで、何らかの協力関係があるのかもしれません。Ant-RealityはGoogleに買収されましたが、XREALもAndroid XRでGoogleと協業していますし、何らかの技術共有があっても不思議ではありません。

KGOnTechによるX Prismの図解

この新しいX Prismは、従来のBirdbath方式と比較してサイズが44%も縮小されており、結果としてXREAL One Proのレンズ部分は大幅に薄型化されています。

▲左がXREAL One Pro、右はXREAL Air 2 Pro
左はXREAL Air 2 Pro、右がXREAL One Pro

さらに、X Prismのもう一つの効果として、下部からの映り込みがほとんどなくなりました。より没入感を高めてくれます。

▲下部がフラットになったため、反射や映り込みがほぼなくなっています

なお、光学系が新しくなったため、度付きレンズのためのインサートレンズも新しくなり、XREAL Oneとも互換がありません。いつものように、JUN GINZAでオーダーを受け付けるとのことです。

▲執筆時点ではまだ受付を開始していませんでした。製品販売後になるのかもしれません

視野角が57°にアップ

視野角も従来の46度(XREAL Air 2/Air 2 Pro)、50度(XREAL One)、52度(XREAL Air 2 Ultra)から57度に拡大しました。

では、視野角が拡大すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。XREAL Air 2 Proの場合、XREAL Beamを介して最大サイズで表示すると、Galaxy S25 Ultraを横にしたときに左右がわずかに切れてしまいます。このため、全画面を綺麗に収めるには、画面を小さくする(少し遠くに感じる)しかありません。

これに対してXREAL One Proでは、端まで綺麗に収まります。しかも表示自体がXREAL Air 2 Proよりも大きい(近い)です。イメージとしては、50cmの距離にある32インチディスプレイにしっかりと収まる感じです。

以下はあくまでもイメージですが、こんな感じという参考までに。

▲Galaxy S25 Ultraに全画面表示した画像。これをXREAL One ProとXREAL Air 2 Proで表示してみます
▲XREAL One Proで「43″、距離1m」にした場合、50cmの距離にある32インチディスプレイに綺麗に収まりました
▲XREAL Air 2 ProをBeam経由で139(最大サイズ)で表示しても、XREAL One Proよりも若干小さい(遠い)感じで、映像も左右が見切れるので頭を動かさないと全体は見えません
▲ちなみに、XREAL One Proで「56″、1m」にすると、50cm先の32インチモニタをはみ出し、かつ左右も若干見切れます

もちろん、スマホではなくMacbookなどに接続しても利用できます。

13インチMacbook Airで使うと、「43″、距離1m」で50cm先の32インチディスプレイにぴったり重なる感じです。もちろん、端まで視野内に収まります

XREAL OneとOne Proは、ワイドスクリーンモード(21:9、32:9)も利用できます。正直なところ、XREAL Oneで試した際は、視野の狭さから頭を頻繁に動かす必要があり、個人的にはあまり魅力を感じませんでした。しかし、XREAL One Proでは表示範囲が大幅に広がったため、ワイドスクリーンモードも十分に実用的だと感じます。

カメラモジュールXREAL Eyeに対応

XREAL Oneと同様、XREAL One ProもXREAL Eyeに対応しています。これを利用することで、XREAL One Proが6DoF対応になります。

▲矢印部分がXREAL Eye
▲取り外すと、指先サイズ

6DoFになって何がうれしいのかというと、一番大きなところでは、AR内のモニタに「寄る」ことができるようになります。

モニタ上の細かい文字や表示を確認したいとき、無意識に顔を近づけることがあるでしょう。6DoFに対応したXREAL One Proでは、AR空間内でまさにその動きが実現できるのです。

また、カメラを使って写真や動画の撮影も可能です。パンフォーカスのようですが、1200万画素でそれなりに綺麗な写真を撮影可能です。

▲XREAL Eyeで撮影
▲撮影は、右ツル上部にあるボタンで行います。このボタンは設定で、写真撮影のほか、動画撮影、調光機能に変更可能

エンタメからオフィスユースまで対応

これまでのARグラスは、新幹線や飛行機の中、あるいはベッドで横になって動画を見たりするのには便利でしたが、PC作業ではまだまだ使いにくいというのが正直な感想でした。

その点、XREAL One Proは、視野角が広く頭を動かさなくても画面を見渡せるので、十分に実用に足ると感じました。もちろん、解像度が1920×1080ピクセルしかないので、細かい文字などが精細に見えるわけではなく、クリエイティブな作業には向かないと思いますが、文章作成やWEBブラウズなどは問題なく行えます。

デスクトップPCのメインモニターを完全に代替するにはまだ力不足な面もありますが、ノートPCと組み合わせて手軽にマルチモニター環境を構築する、といった用途には最適です。特に、外出先での作業効率は飛躍的に向上するでしょう。

まとめ

XREAL One Proは、新光学系「X Prism」の採用により、従来の課題だった視野角の狭さを大幅に改善しました。57°という広い視野角により、エンターテイメント用途からオフィスユースまで、幅広い場面で実用的に使えるARグラスに仕上がっています。

8万4980円という価格は決して安くありませんが、ARグラスとしての完成度は確実に向上しており、特にモバイルワークを重視するユーザーにとっては、投資に値する製品だと言えそうです。

ただ、2026年には、視野角がさらに広い70°となるProject Auraも控えています。

タイミングを見ていると、いつまでも買えないので、「欲しい時が買い時」なのかもしれません。

ガジェットなど好きなことをブログやWEBメディアなどに書いて生きています。ライター仕事は常に募集中

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