
レノボ・ジャパンは6月、次世代ゲーミングPC 2025年モデルの国内販売を開始しました。
正直なところ、これまでLenovoにはゲーミングというイメージはあまりなかったのですが、実はゲーミングPCの世界シェアではNo.1とのこと。日本であまり知られていないのは、日本市場ではゲーミングPCよりもコンソール機のほうが優勢だからということもあるようです。
そんなLenovoのゲーミングPCシリーズには、上位シリーズのLEGIONシリーズのほか、エントリー向けとしてLOQ(ロック)シリーズも展開されています。価格と性能のバランスを取ったモデルで、30万~40万円することも珍しくないゲーミングPCの中で、最小構成では10万円台前半からという手の出しやすいモデルとなっています。

今回、そのLOQシリーズの最新モデル「Lenovo LOQ 15IRX10」をお借りしたので、紹介していきたいと思います。
14世代Core i7にRTX 5060 Laptopを搭載
Lenovo LOQ 15IRX10は、CPUとしてCore i5-13450HX/Core i7-13650HX/Core i7-14700HXを選択可能。GPUもNVIDIA GeForce RTX 5050 Laptop(8GB)/RTX 5060 Laptop(8GB)がラインアップしています。RAMは16GB(DDR5-4800)/32GB(16GB×2)、ストレージは512GB(M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 QLC)/1TB(M.2 2242 PCIe-NVMe Gen4 QLC)。
なお、今回試用したのは、Core i7-14700HXにRTX 5060 Laptop、ストレージは1TBモデル。ただし、RAMは24GBとなっていて、この構成は直販サイトでは選択できません。
直販サイトでは、CPUとGPU、ストレージを試用機と合わせると、16GB構成で19万2060円、32GB構成で21万4060円となっています。

ディスプレイは15.6インチのIPS液晶で、解像度はFHD(1920×1080ピクセル)。表面はノングレアでタッチパネルも非対応。リフレッシュレートはゲーミングPCらしく144Hzとそれなりですが、明るさは300nitと低めです。

ディスプレイ上部には500万画素のWebカメラを搭載しますが、Windows Helloには非対応です。また、物理シャッターはありませんが、本体右側面に電子式のカメラシャッターを搭載しています。

インターフェースは、本体背面と右側面にあります。背面にはUSB-A(USB 3.2 Gen 1)、HDMI、RJ-45、USB-A(USB 3.2 Gen1)、電源コネクタ。右側面にUSB-C(USB 3.2 Gen 2)、プライバシーシャッター、3.5mmジャック、USB-A(USB 3.2 Gen 1)。

HDMIや有線LAN(RJ45)が背面にあるので、自宅で場所を固定して使う場合にはケーブルが邪魔になりにくそうです。



キーボードはテンキー付きのJIS配列。キーキャップは中央がややくぼんだ形状になっており、押し心地は良好です。「O」のフォントがLEGIONのロゴっぽくなっていたりと、細かいところににもこだわりを感じられます。中央上部にあるのは電源ボタン。指紋センサーは非搭載です。

ベンチマークで性能を確認
ここからはベンチマーク結果を確認していきます。今回試用している評価機は、Core i7-14700HXにRAM24GB(DDR5-4800)、ストレージは1TB(PCI Express 4.0 x4接続 NVMe/M.2)。



Lenovo LOQ 15IRX10は、ユーティリティアプリの「LegionSpace」でCPUやGPUのパフォーマンスを設定できますが、今回は「パフォーマンス」、GPUの動作モードを「ハイブリッドモード」で測定しています。

また、比較のため、Ryzen Al 7 350にRTX5070搭載のASUS TUF Gaming A14、Ryzen AI 9 HX 370を搭載したASUS Vivobook S14 OLED、Core i9-14900HXにRTX4060搭載のROG Strix G16、そしてASUS TUF Gaming A14と同じRyzen AI 7 350を搭載したROG Zephyrus G16のスコアも併記します。
CINEBENCH R23
まず、CPU性能を測るCINEBENCH R23ですが、Core i9-14900HXには及ばないものの、シングル「2039」、マルチで「20860」とまずまず。CPU単体のパフォーマンスは、まだAMDには負けていなさそうです。


PCMark 10
続いてPCの総合的な能力を測るPCMark 10の結果です。トータルスコアは「7649」。日常的な使い方の「Essentials」は「11082」、オフィスアプリの「Productivity」は「8606」、写真編集などの「Digital Content Creation」は「12735」。
Productivityが大きく落ち込んだのは気になりますが、RTX 5060 Laptopを搭載するだけに、 Digital Content Creationは好スコアです。この結果だけを見るなら、オフィスユースからちょっとした写真や動画編集まで問題なくこなせると考えられます。


3DMark
グラフィック性能を測る3DMarkをみると、RTX5070 LaptopのROG Zephyrus G16にはわずかに及びませんが、大きな差はついていません。また、同じRTX 5060 LaptopのASUS TUF GAMING A14にはFireStrike以外は優っているという結果。この辺りはCPUの違いも影響しているのでしょう。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
3DMarkではASUS TUF GAMING A14に優っていましたが、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークではスコアが逆転しました。といっても、高品質/1920×1080/フルスクリーン設定でも「10619(とても快適)」なので、重いゲームでも問題なくプレイできそうです。


モンスターハンターワイルズベンチマーク
モンスターハンターワイルズベンチマークも試してみました。こちらは、フレーム生成オフ、レイトレーシングオフ、1920×1080ピクセル、グラフィック高という設定で「21824」。非常に快適にプレイできるとのことです。

フレーム生成をONにすると、平均115.70FPSまでアップしますが、スコア自体は「19727」に落ちました。ただ、この程度の違いなら、フレーム生成はONにしたほうが快適に遊べそうです。

バッテリー持ち(PCMark 10のバッテリーベンチマーク)
公称のバッテリー持ちは、JEITA3.0の測定で、動画再生約5.6時間、アイドルで約9.6時間となっています。
ただ、PCMark 10のバッテリーベンチマークでは、「MODERN OFFICE」が1時間53分、「GAMING」で59分という結果になりました。あまり外に待ち出す機種ではありませんが、素直に電源に接続して使うのが良さそうです。

なお、電源を繋がない状態では、「LegionSpace」で「パフォーマンス」が選択できないので、「バランス」で計測しています。

発熱は高め
ゲーミングPC全般に言えることですが、性能が高い分、発熱も高めです。ただ、熱くなると言っても、大抵の場合はキーボード上部など、あまり触れない部分が発熱するものが多いのですが、LOQ 15IRX10は、キーボード中央当たりが50度を超えました。

背面は、向かって左側(正面からみて右側)のほうが発熱し、こちらも50度を超えます。

ACアダプターは50度までは上がりませんでしたが、置き場所には注意したほうがいいでしょう。見えなくなるからとPCの裏に置いておくと、排熱の直撃を受けて思わぬトラブルの原因となるかもしれません。

コストパフォーマンスが非常に高いゲーミングノート
冒頭にも書きましたが、最近のゲーミングノートPCは30万円越えも珍しくなく、中には60万円を超えるものも。そんな中にあって、最上位構成でも約20万円で購入できるLenovo LOQ 15IRX10は、コストパフォーマンスがかなり高いと言えるでしょう。
もちろん安いだけでは意味がないのですが、今回のベンチマークを見る限り性能的にも問題はなさそうです。約2.4kgあるので持ち歩きにはまったく適しませんが、自宅で使うゲーミングPCとしては魅力的な選択肢となりそうです。