【CEATEC 2025】Matter(マター)とは?スマートホーム統一規格の最新動向とデモレポート

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幕張メッセで10月14日から始まったCEATEC 2025にて、Connectivity Standards Alliance(CSA)日本支部が、スマートホーム標準規格「Matter」の展示を行っています。この中で、CSAによるMatterの最新動向と今後の展望についても説明があったので、簡単に紹介します。

デモでは、パナソニックやAqaraなど7社の製品が連携し、「寝室」や「リビング」などを想定したスマートホームデバイスの連携を実演。異なるメーカー製デバイスが一つのシナリオで動作する様子が披露され、Matterが掲げる「相互運用性」が実用レベルで成立していることを示していました。

スマートホームの標準規格「Matter」

筆者の感覚としては、セットアップが少しだけ便利になったなぁという程度の実感しかないMatterですが、2022年10月の「Matter 1.0」から、半年に1回のバージョンアップを経て、現在は2024年11月にリリースされたバージョン1.4が最新版となっています。

AppleやGoogle、Amazonなどのテック大手も参画しており、異なるメーカーのスマートホーム製品を同一のプラットフォームで扱えるようにするというものです。

とはいえ、Matter以前でも、例えばGoogle HomeからSwitchBot製品を操作するなどは、比較的簡単に行えていた印象があります。それと何が違うのだろうという気はしていたのですが、MatterではMulti Admin機能により、1台のデバイスをApple Home、Google Home、Amazon Alexaなど複数のプラットフォームで同時に制御が可能とのこと。

例えば、iPhoneの「Apple Home」アプリで照明をオンにすると、その状態がAmazon AlexaやGoogle Homeのアプリにもリアルタイムで反映されます。つまり、家族の中でiPhoneユーザーもAndroidユーザーもいて、それぞれ好きなプラットフォームを使っていても、全く問題ないわけです。

また、IoT機器に関しては、最近ではセキュリティの懸念も取り沙汰されていますが、Matterは設計初期からセキュリティを重視し、電子証明書によるデバイス認証、通信の暗号化、ブロックチェーン的仕組みによる正規品検証など、複数層の保護を採用しているとのこと。これにより、正規工場で生産された製品のみが認証を受け、偽造品や不正アクセスを防ぐ構造をもっています。CSAはこの設計哲学を「スマートホームの信頼性の基盤」と位置付けています。

「コントローラー」と「ブリッジ」

Matterのエコシステムには、主に2つの重要な役割があります。

コントローラー: 家庭内のMatter機器を統括する司令塔です。専用のゲートウェイだったり、スマートスピーカーだったり、スマートディスプレイだったり。形は決まっていないので、いろいろな製品がコントローラーになれます。

ブリッジ: 既存の通信規格(ZigbeeやZ-Waveなど)とMatterの間を橋渡しする装置です。これがあるので、すでに持っている古いスマートホーム機器も、Matterに接続することができます。

例えば、SwitchBotの「Hub 2」と「Hub 3」は、SwitchBotの既存製品をMatterネットワークに接続するブリッジとして機能します。日本で比較的多く使われているECHONET Liteも、ブリッジを介してMatterと通信できるようになるとのことです。

スマートロックの標準規格「aliro」

なお、今年の終わりか年明けには、スマートロックの標準規格となる「aliro(アリロ)」の仕様が公開されるとのこと。

スマートフォンのウォレットにデジタル鍵を格納し、タッチやハンズフリーで解錠が可能になります。ウォレット統合により鍵の管理をセキュアにし、UXを向上させる狙いです。

Matterとは別規格になりますが、スマートホーム関連の注目は集めそうです。

▲Aqaraのブースでは、Apple Home Keyに対応したスマートロックU200が展示されていました

Pro Home & Building構想

これまでスマートホームというと、消費者が製品を買ってきて、自分でセットアップして設置するという「DIY」が前提となっていました。しかし最近では、マンションなどの新築段階でスマートホームが組み込まれているケースも増えています。

そうなった場合、建設中でまだ電気も通信も来ていない状態で、どうやってセットアップするのか、入退去のときにデータをどうやって初期化するのか、居住中のトラブルにどう対応するのかなどの問題が出てきます。

こうした内容を標準化することで、DIY市場から専門業者が設置するプロフェッショナルなDIFM(Do-It-For-Me)市場へと拡大しようというのが「Pro Home & Building」構想です。

まだこれからという状態のようですが、こういう標準化が進んでいくと、いたるところでスマートホームを目にするようになるかもしれません。

▲ただの木にしか見えないmuiボードも、配線を隠して設置するという意味では、DIFM向けかもしれません

2026年3月、CSA国際会議が日本初開催へ

CSAでは、相互運用性の確保を目的に、実機デモに基づく総合相互接続試験を複数回実施。これにより、これまで協働してこなかった企業間での動作確認を進め、統合されたエコシステムの実現を目指しているとのこと。継続的なコミュニケーション基盤として年2回のメンバーミーティングも実施されているのですが、2026年3月には横浜で日本初の開催を予定しているとのことです。

これまで、「便利そうだけど、そうでもないかも」という印象しかなかったMatterですが、今回のデモと説明によって、複数メーカーによる現実的な相互運用エコシステムとして動き始めているという印象を受けました。

まだまだ知名度、認知度が低いMatterですが、来年のCSA国際会議日本開催などにより、今後もどんどん盛り上がっていくはずです。

少なくとも、これからスマートホーム製品を購入するのであれば、Matterに対応しているかどうかは要チェックだと感じました。

なお、CEATEC 2025は10月17日まで開催中。入場は無料なので、興味がある人はぜひ足を運んでみてほしいところです(平日なので難しいかもしれませんが)。

ガジェットなど好きなことをブログやWEBメディアなどに書いて生きています。ライター仕事は常に募集中

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