
2025年に入り、急速に製品ラインアップが増えてきたスマートグラス。スピーカーを搭載したり、カメラが付いていたり、ディスプレイを搭載したり、そのスタイルは様々です。
そんな盛り上がりを見せる中、Makuakeにて、AIとカメラを特徴とした「Looktech(ルックテック)」が先行予約を行っています。Makuakeでの販売は12月30日まで。
デザイン豊富なスマートグラス
Looktechは、2024年末から2025年頭にかけてKickstarterでクラウドファンディングを実施し、約1億8000万円を集めた製品です。本機の特徴としては、独立したISPを搭載し、なおかつ生成AIの最先端モデルGPT-5に対応。高精細な画像処理と高度なAI解析を実現しています。これにより、目の前にあるものをカメラで捉え、AIに質問するといったことが可能になっています。
メガネのデザインは4種類。レンズはノーマルレンズ、カラーレンズ、調光レンズの3種類で、計12パターンの組み合わせから選べます。

度付きレンズにも対応しますが、メガネ店での作成が必要です。特定のメガネ店との提携はないので、レンズを作ってくれるところを自分で探す必要があるのが難点です。関東近県なら、銀座あるいは名古屋のJUN GINZAでなら対応してくれると思います。
国内では処方レンズを装着した状態で出荷できない事情はわかりますが、「どこで作れるかわからない」「購入後にレンズを作れないと面倒」と考えて、購入を敬遠してしまう人は一定数いるのではないでしょうか。スマートグラスのメーカーは、提携するなり事前に協議するなりして、どこでレンズを作れるのか、ぜひとも確定してほしいところです。
外観と操作インターフェース
今回試したのは、艶黒タイプ。ぱっと見では、テンプル(ツル)が太めの普通のメガネという感じですが、フロントの右側(メガネのパーツでは智と呼ばれる部分)にカメラを搭載しているのが、外観での大きな特徴です。


左右に2眼搭載しているように見えますが、カメラは右側(正面向かって左側)のみで、反対側はインジケーターLEDになっています。カメラでの撮影時などに点灯し、撮影中であることを知らせます。

テンプルにはスピーカーが搭載されており、Bluetooth接続のオーディオグラスとしても利用可能。音漏れに関しては、一般的なオープンイヤー型イヤホンと同程度です。つまり、常識的な音量で聞いている限り、すぐ横に立たなければ音漏れを心配する必要はありません。

テンプルの右側手前にダイヤル(メディアクラウン)があり、音量調整や押し込みで再生・停止などの操作も行えます。また、電話着信時には応答・切断・拒否にも対応します。

右側テンプルの上面には、カメラのキャプチャボタンを搭載。単押しで写真撮影、長押しで動画の撮影に対応します。
なお、製品には電源ボタンはありませんが、このボタンを短押しすると電源が入ります。明示的に電源を切りたい場合には、左側にあるAIボタンとキャプチャボタンを同時に3秒長押しします。

左側テンプルの上面には、AIボタンを搭載。このボタンを押すと独自のAIアシスタント「Memo」が起動し、音声で様々な指示を行えます。

充電は、専用のクリップ型アダプタを使用。USB-Cケーブルを差し込んで充電します。バッテリー持ちは使用頻度にもよりますが、メディア再生だけなら最長10時間(音量50%以下の状態)の再生が可能となっています。


カメラ機能
Looktech AIスマートグラスの特徴の1つ、カメラ機能について。
カメラの仕様としては、13MPのパンフォーカス。メガネの右端にカメラが搭載されているので、手に持っているものなどを写すときは、自分が見ている視界よりもやや右寄りで撮影されます。そこだけ気を付ければ、ほぼ見たままの写真を撮影可能です。
写真は2560×3120ピクセルで、縦型で撮影されました。通常の写真と同様に横向きにしたいところですが、これに関しては今後のアップデートで対応できる可能性はあるとのことです。

以下、作例をいくつか



画角は、Galazy Z Fold 7の広角(23mm相当)と超広角(12mm相当)の中間よりやや広角よりといった感じなので、20mm程度のようです。
キャプチャボタンを押さなくても、AIアシスタントのMemoを起動し「写真を撮って」と指示するだけで撮影が可能です。両手で何かを持っているシーンを撮影したい場合などにはこちらが便利です。
このほか、ボタンの長押しで動画の撮影も行えます。撮影時間は、アプリの設定で「30秒」「1分」「3分」を選択可能。再度ボタンを押すことで、撮影を終了することもできます。こちらも、Memoへの音声指示で撮影可能です。

動画は、2112×1568ピクセルの横長で撮影されました。
撮影した写真や動画は、いったん、Looktechのストレージに格納されるので、アプリからインポートする必要があります。自動転送はされず、都度手動で取り込む必要がある点は少々手間に感じます。ただ、自動取り込み機能も計画しているとのことなので、今後に期待したいところです。
アプリに取り込むと、スマートフォンのアルバムからも写真や動画を確認できるようになります。
なお、インポート時はメガネにWi-Fiダイレクトで接続します。写真や動画のファイルサイズが大きいので、仕方がない部分ではありますが、時間がかかってもいいのでBluetoothで転送するなどの設定はほしいところです。

AI機能
独自AIアシスタント「Memo」を搭載するのも大きな特徴です。Memoは大規模言語モデルGPT-5をベースにしているとうたっており、日本語でのやりとりをふくめて、非常に自然な反応です。今後、GeminiやClaudeなどを含め、大規模言語モデルの進化に合わせて最適なものを採用していくとのことです。
使い方としては、ChatGPTを音声モードで使っているのと変わりません。スマートフォンを通じてリアルタイムに情報を取得できるので、天気予報や現在時刻、近くで上映している映画などについても質問できます。
使い続けていくうちに、ユーザーの嗜好を学習し、好みのジャンルの映画を勧めたり、好みの味のレストランを提案するなども行えるようになるようです。

カメラを搭載しているので、今写っているものについて質問することも可能です。例えば花の名前だったり、英語の看板を翻訳してもらったりといった使い方ができます。
会話の翻訳には対応していないのですが、海外旅行などで看板やメニューを翻訳する際にスマートフォンを取り出さなくていいというのは、旅行中などでは大きなメリットになりそうです。会話翻訳についても、機能を検討中とのことでした。

このほか、現在、機能を調整中ということで試すことはできませんでしたが、テンプルのAIボタンを押さずに、「Hey Memo」と呼びかけることでMemoを使用することができるようになる予定です。
AI利用にはポイント消費が必要
非常に便利なAI機能ですが、残念ながら無制限に使えるわけではありません。Memoへの質問や、翻訳などにはポイントを消費します。
Looktech AIスマートグラスを購入すると、30日毎に500ポイントが永続的に付与されます。持越しなどはなく、30日毎に500ポイントにリセットです。AIへの質問などには、1回あたり1~3ポイントを消費、音声メモや会議の文字起こしには1時間あたり100ポイントが必要です。
ただ、AI操作でも、オフラインで完結する操作(音声での撮影や音楽再生の操作など)にはポイントは消費しません。つまり、スマートグラス単体で完結する操作にはポイントを消費せず、クラウド処理が必要になる場合にはポイントを消費するという形です。ポイントが足りなくなった場合には、月額2900円のプロメンバーシップに加入すると、2500ポイントが付与されます。

まとめ
Looktech AIスマートグラスでできることは、スマートフォンを取り出せば済む話ではありますが、家の中で常にメガネをかけていても、常にスマートフォンを持ち歩く人は少ないでしょう。外出先でもわざわざポケットやカバンからスマートフォンを取り出す手間がないのが大きな魅力です。
カメラを搭載しているということで、日本では盗撮の疑いなどをかけられかねないという懸念もあり、日常的な利用は難しいと思いますが、会議中にホワイトボードを撮影したり、旅行先でメニューを翻訳したり、散歩の途中で気になったものを調べたりと、カメラが付いていることで利用シーンは増えそうです。
