
電子情報技術産業協会(JEITA)は2026年10月6日、10月13日に開幕する「CEATEC 2026」の記者会見を開き、出展規模や見どころとあわせて「CEATEC AWARD 2026」の受賞案件を発表しました。総務大臣賞は三菱電機グループの「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」、経済産業大臣賞はTDKの「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」、デジタル大臣賞は日立製作所のAIソリューション群「HMAX by Hitachi」です。
会期は10月13日(火)から16日(金)までの4日間で、会場は幕張メッセ。入場は無料ですが、全来場者の事前登録が必要です。2024年に続き、日本自動車工業会の「Japan Mobility Show Bizweek 2026」と併催します。
テーマは「Transformation」、AIを4つの切り口で見せる
CEATECエグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、今年のテーマを「Transformation」の一言に絞ったと説明しました。企業、産業、社会が新しい技術で変わっていく様子を、これまでより短い言葉で表したといいます。昨年は出展者の半数近くが何らかのAI技術やデバイス、ソリューションを展示しており、今年は「フィジカルAI元年」として、社会実装の段階に入ったAIを会場で感じてほしいと話しました。

鹿野氏が見どころに挙げたAIの切り口は4つです。1つ目は、ものづくりや作業現場で生産性の向上や人手不足の補完に役立つフィジカルAI。二足歩行ロボットやヒューマノイドのデモに注目が集まりがちな中で、日本が得意とする現場での活用を重視したいと述べました。2つ目は災害への備えなどに使う予測・シミュレーション、3つ目は電力や通信といったインフラのリスク管理、4つ目はフィジカルAIの「目や耳」にあたるセンシング技術です。

出展は821社・団体、スタートアップ・大学は過去最高
出展者数は821社・団体で、昨年の810社・団体から増えました。27回目となるCEATECの中では、過去3番目の規模とのことです。
スタートアップや大学の研究室などによる出展は、過去最高の246件。最近は大手企業の新規事業部門による出展も加わっているといいます。海外からは31か国の194社・団体が出展予定で、欧米に加え、バルカン半島や中東など、日本では接する機会の少ない国からの出展もあると鹿野氏は紹介しました。
会場は幕張メッセのホール4〜8の5ホールで、併催のJapan Mobility Show Bizweek 2026はホール2・3を使います。会期中のカンファレンスは229セッションを予定しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 2026年10月13日(火)〜16日(金)10時〜17時 |
| 会場 | 幕張メッセ(ホール4〜8) |
| 入場 | 無料(全来場者登録入場制) |
| 出展者数 | 821社・団体(2025年は810社・団体) |
| スタートアップ・大学など | 246社・団体(過去最高) |
| 海外出展 | 31か国・194社・団体 |
| カンファレンス | 229セッション |
| 主催/共催 | JEITA/情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、ソフトウェア協会(SAJ) |
| 併催 | Japan Mobility Show Bizweek 2026(ホール2・3、217社が出展) |
| 公式サイト | https://www.ceatec.com/ja/ |
会場中央の「X PARK」と4つのパビリオン
今年の目玉として鹿野氏が挙げたのが、会場中央に設ける「X(Transformation)PARK」です。AI、サステナビリティ、ウェルビーイング、社会インフラなど8つのテーマごとに出展を集めたエリアで、テーマ名で探せば関心のある展示にたどり着きやすい構成になっています。
X PARKには、JEITAの部会や委員会、コンソーシアムの活動成果を見せる4つのパビリオンも設けます。

- 暮らしのDXパビリオン:住宅に家電やソーラーパネルなどを設置し、IoTでつないだスマートホームを展示。今年もメーカーではなく家電量販店が出展し、量販店の立場からスマートホームを紹介します
- 海洋デジタル社会パビリオン:水中ドローンなど、海洋ビジネスを支える技術を紹介
- 宇宙共創パビリオン(新設):ロケットそのものではなく、宇宙産業を下支えする国内企業が集まる場
- デジタル交通社会パビリオン(新設):NEXCOやJRなど、例年出展している交通関連企業による展示
Japan Mobility Show Bizweek 2026と自由に行き来できる
Japan Mobility Showは、企業同士の出会いを生む「プロセスイヤー」と生活者向けの「ショーイヤー」を交互に開催しており、今年のBizweekはプロセスイヤーのビジネスイベントです。「あなたが動けば世界が動く」をスローガンに217社が出展し、自工会の会員会社による合同展示(テーマは「動かし続ける日本」)では、マルチパスウェイ、水素供給、自動運転などの取り組みを紹介します。
来場登録は1つで両方の会場に入場でき、会場間も自由に行き来できます。初日の10月13日13時からは、日本自動車工業会会長の佐藤恒治氏(トヨタ自動車 副会長)と、JEITA会長の新野隆氏(NEC 取締役会長)による45分間の対談「日本の未来社会に向けて」が予定されています。
CEATEC AWARD 2026、大臣賞は三菱電機・TDK・日立
CEATEC AWARDは、CEATECに出展される技術・製品・サービスのうち、イノベーション性が高く優れていると評価されたものを表彰する制度です。学会・大学と総研・メディアで構成する審査委員会が選考しており、今年は62件のノミネートから各賞を選びました。3つの大臣賞に加え、今年は「優秀賞」を新設しています。
総務大臣賞:三菱電機グループ「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」
マイクで拾った混合音から、目的の音を音源ごとに分離・抽出する技術です。分離したい音の種類を「話し声」「機械音」のようにプロンプトで指定する方式で、これまで音声分離、音声強調、機械音分離など用途ごとに専用モデルが必要だった処理を、単一のAIモデルで実現したとしています。

工場で作業者の声と工作機械の音、搬送ロボットの音をそれぞれ聞き分けるといった使い方を想定しており、ロボットや監視機器、設備機器への組み込みも視野に入れているとのことです。画像・映像が中心だったフィジカルAIに聴覚の情報を加える技術として評価されました。
経済産業大臣賞:TDK「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」
ナノサイズの反射構造で光の反射方向を制御するミラーです。網膜に直接映像を描く「網膜直接描画型」のディスプレイでは、眼前に大きな曲面ミラーが必要でした。TDKはこれを薄く平らにし、眼鏡レンズに埋め込めるようにしています。

スマートグラスでは、正面から見たときにレンズに虹模様が見えることが外観上の課題になりがちです。このミラーは光の干渉による虹模様を抑えつつ高い透明度を確保し、通常の眼鏡に近い外観を実現したとしています。鹿野氏も会見当日の朝に試作機を見たといい、レンズ内のミラーがあまり目立たなかったと話していました。
デジタル大臣賞:日立製作所「HMAX by Hitachi」
鉄道、電力、産業、金融などの社会インフラ向けAIソリューション群です。日立が培ってきたOT(制御・運用技術)、IT、プロダクト技術とAIを組み合わせ、運用・保守・制御・意思決定を高度化するものです。現場のデータを分析するだけでなく、その結果を実際の運用や制御に反映し、継続的な改善につなげる点が評価されました。
新設の優秀賞は3件
- シャープ「トリプルフリーランドリー」:洗濯排水をろ過して再利用する排水レス循環型洗濯システム。平時は通常の洗濯機、断水時は循環モードで使う想定です
- 村田製作所/メルトインターフェーステクノロジーズ「ContactGlove3 Pro」:電磁場方式で5本指の動きを計測し、ロボットの学習や遠隔操作に使うハンドトラッキンググローブです
- 太陽誘電「においセンシング×AIで挑む『がん』の早期発見」:尿のにおい成分をセンサーとAIで解析し、医療機関での検査を促す「0次スクリーニング」の提案です
受賞一覧
| 賞 | 案件 | 受賞者 | ブース |
|---|---|---|---|
| 総務大臣賞 | タスク汎用音源分離技術(TUSS) | 三菱電機グループ | 8H412 |
| 経済産業大臣賞 | スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー | TDK | 5H261 |
| デジタル大臣賞 | AIソリューション群「HMAX by Hitachi」 | 日立製作所 | 7H010 |
| 優秀賞 | 排水レス循環型洗濯システム「トリプルフリーランドリー」 | シャープ | 5H340 |
| 優秀賞 | ハンドトラッキンググローブ「ContactGlove3 Pro」 | 村田製作所/メルトインターフェーステクノロジーズ | 7H340 |
| 優秀賞 | においセンシング×AIによるがんの0次スクリーニング | 太陽誘電 | 8H030 |
| イノベーション賞 | プロセス全体最適化プラットフォーム | アイクリスタル | 4H019 |
| イノベーション賞 | 外科手術支援のための視覚・言語統合型AI基盤モデル「Surgical VLM」 | Direava | 5H440 |
| グローバルイノベーション賞 | 太陽光発電・揚水・水処理の一体型システム「LifeBox」 | NoorNation | 4H501 |
| トランスフォーメーション賞 | AIエージェントがロボットを育てるPhysical AI自律R&D基盤 | アマゾン ウェブ サービス ジャパン | 4H535 |
| ネクストジェネレーション賞 | 熱流束センサー「TL-SENSING」 | TopoLogic | 4H141 |
| ネクストジェネレーション賞 | スマホ単体で屋内測位する空間AI「TRAILS」 | zeteoh | 4H242 |
| モビリティイノベーション賞 | 国産陸上ドローン「除雪ドローン」 | エバーブルーテクノロジーズ | Japan Mobility Show Bizweek 2026に出展 |
先行展示で受賞技術を体験
記者発表会の開錠では、受賞技術の先行展示をおこなっていたので、いくつか見てみました。
タスク汎用音源分離技術(TUSS)
総務大臣賞を受賞した「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」は、マイクでその場で音声などを録音し、それを使って音源分離を実演。短時間で綺麗に音声が分離されていました。音を分離することで、音声認識やフィジカルAIでの状態検出に使えるという説明でした。

TDK「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」
TDKのスマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラーは、網膜投影の仕組み自体も新しいものの、レンズに埋め込むミラーがメインとのこと。まったく目立たないということはないですが、ほとんどわからない感じではあります。

TDKはあくまでもパーツ供給のみで、今後の展開としてはスマートグラスメーカーに供給して市場投入という形になるとのこと。

MYOFREE タブレット+専用グラス
PCやスマートフォン、タブレットなど手元を見続けると、眼の緊張状態が続き眼精疲労の原因になるとのこと。MYOFREEはこれに対応するシステムで、専用のタブレットを専用グラスで見ると、手元にあるのに遠くを見ている効果が得られます。

見てみた感覚としては、立体視で画面が遠くになっているイメージです。
ContactGlove3 Pro
VRのトラッキングなどで有名なMelt Interface Technologies(旧Diver-X)が手掛けるデータグローブ。手の甲にある送信アンテナから電磁場を出し、指先に配置された受信アンテナにより、3次元で手指の位置を測ることができるとのこと。用途はロボットハンドの遠隔操作と、動作データの蓄積によるAI学習。

電磁波を出しているとのことで、両手を組んだら位置が分からなくなったりしないだろうか?と思ったのですが、ちゃんと区別されており、6ペア程度まで同時に使えるそうです。
シャープ 排水レス循環型洗濯システム『トリプルフリーランドリー』
洗濯機の排水をろ過し、再び洗濯に使えるトリプルフリーランドリー。普段は洗濯機を水道に繋ぎ、普通の洗濯機として使いつつ、災害時(断水時)には浄化システムを繋いで利用できるとのこと。
いまのところ、専用の洗濯機が必要とのことですが、将来的には一般的な選択に接続できるようにしたいとのことでした。


