三国志。言わずと知れた古典の名作です。私の中では三国志といえば横山光輝の漫画なのですが、この漫画は「三国志演義」を題材にした吉川英治の小説を元にして書かれているそうです。っていうか、この「ろくでなし三国志」を読むまで、「正史三国志」というのを知りませんでした。「三国志演義」は歴史書である「正史三国志」から派生した大衆娯楽としての小説、フィクションだったのですね。日本でいえば水戸黄門とか遠山の金さんとかでしょうか。
タイトルの通り、三国志の登場人物は全員負け組だった、しかもろくでもない奴らばかり…。「三国志演義」では徳の人として描かれている劉備は、じつはヤクザの親分的な人物で、何も考えていなかった。長身で屈強な男として描かれている曹操は、実際はチビで小心者だった。稀代の天才軍師、諸葛亮は実は引きこもりニートで戦争下手、三国時代以降、後の世まで中国を混乱させた諸悪の根源、など筆者の想像(妄想)を交えながら三国志の世界を解説しています。
これまで抱いていた「三国志」のイメージががらっと変わってしまう内容、特に諸葛亮のダメっプリには驚かされます。天才軍師どころか、全戦全敗の疑惑まであるとか・・・。ただ、それこそ作り話の中の人のようなチート魔将軍 呂布や、後に神格化した関羽などはほぼイメージ通りの人物でした。それもまた凄いことですが。
筆者独特の文章で一気に読ませてくれるので、三国志ファンもそうでない人も楽しめる内容だと思います。