- 「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)
-
- 発売元: 筑摩書房
- 価格: ¥ 798
- 発売日: 2007/06
- おすすめ度
「世界征服」は可能か?を読み終わりました。約1時間30分。
アニメやマンガなどでよく登場する「世界征服を企む悪の秘密結社」。彼らはいったい何の為に世界を征服するのか?そもそも世界征服とは何なのか?悪とは?世界征服するためにはどうすればいいのか?征服してからどうなるのか?そんな疑問を真面目に考察する内容です。空想科学読本のようなノリですね。
世界征服を企む悪の秘密結社というのは、よく見かける設定ですが征服して何をしたいのかが語られることは多くはありません。例として仮面ライダーのショッカーが挙げられています。
ではその「世界征服を企む悪の秘密結社・ショッカー」の考える「世界征服」とは、どんなイメージでしょうか。第一話で紹介された陰謀を、私なりにまとめてみました。
1.まず、改造人間をどんどん作る。
2.作った改造人間で世界中を襲う。
3.世界中の大統領や重要な人物たちと改造人間を入れ替える。「そうすれば、世界は我がショッカーの思いのままだ。わはははは」というわけです。
でも、その後のことは言ってくれません。
世界の要人と入れ替わって、ショッカーは何をしたいのでしょうか?
結局世界征服の目的について、結論は出ないのですが、全体的にこんな感じのノリです。他にも秘密結社運営の考えられる苦労や独裁者のタイプ、世界征服をして何かいいことがあるのかなどの考察が行われています。
結論を言うと、現代では世界征服をしても大して旨みはないようです。これから世界征服でもしようかと思っている人はその労力を企業経営などに向けた方がよほどいい思いができるかもしれません。
本書の内容で1点だけ気になった部分があります。悪の帝王として引用されている北斗の拳のサウザーについての部分です。
野望と権力の集大成として聖帝十字陵というでかいピラミッドを民衆に無理やりつくらせるだけでも、もう充分に「悪の帝王」です。おまけに彼はなぜか、子供を使うのです。
なぜ効率の悪い子供に作らせるのか、そこは彼にもこだわりがあるのでしょう。実は子供が好きなのかもしれないし、子供をいじめるのが好きなのかもしれない。占い師に「穢れを知らない子供にお墓をつくらせたら天国に行ける」と言われたのかもしれない。
この後に悪のイメージを強めるために子供を使っているとか、大人を使った方が効率よく作れる、まじめに世界征服を考えているのかといった筆者の考えが続きますが、ここだけは筆者の資料収集というか下調べが足りないと感じました。
サウザーが子供を使っていたのは反抗的な大人を使うよりも従順な子供を使った方が効率がよい、また子供を人質とすることで大人による反乱を牽制するという目的がありました。これは作品中でも語られていたはず。まぁ、だからどうしたということではありますが北斗の拳のファンとしては見過ごせませんでした。
そんな感じでマンガ好き、特撮物好きな人には楽しめる1冊だと思います。