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Spigenの液体保護フィルム「GLAS.tR Nano Liquid」は本当に保護できる?(後編)

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先日紹介したSpigenの液体保護フィルム「GLAS.tR Nano Liquid」。塗布から48時間経過し、硬化したはずなので、その効果のほどを確認してみました。結論から言うと、傷防止については効果的とは言えず、ちゃんと保護フィルムを貼ったほうが良さそうです。

指紋や汚れ防止には効果あり

GLAS.tR Nano Liquidを塗布したディスプレイは、確かに指の滑りがよくなり、指紋も付きにくくなりました。それは間違いありませんが、それだけならよくあるフッ素コーティングと変わりません。気になるのは傷防止効果のほう。

Amazonのサイト上でははっきりとはうたっていませんが、公式サイトおよびパッケージには鉛筆硬度9H程度に硬化するとの記述があります。

というわけで、その実力がいかほどのものか確認してみました。ガラス板(プレパラート)にGLAS.tR Nano Liquidを塗布し傷をつけてみるという方法です。

傷をつけると言っても、コーティングをする前からカッター程度でガラスが傷つかないのは確認済み。というわけで、同じ硬度のガラス板を割り、それで傷をつけることに。

▲カッター程度ではガラスに傷はつきません

まず、何も塗布していないガラス板をガラスの破片で傷つけてみました。もちろん普通に傷が入ります。

▲簡単に傷つきます

続いてナノリキッドを塗布したガラス板。なお、ガラスには下記のように部分的にマスキングをして塗布しています。

結果は下記。普通に傷が入りました……。

▲マスキングに関係なく、傷が付きました

本当は「塗布したほうが傷が付きにくい!」という結果を期待していたのですがちょっと残念です。

なお、同じテストを以前にグラスアーマーでやったことがありますが、その際はマスキングした部分にのみ傷が入りました。

▲グラスアーマーは傷が付きにくいという結果に

一応擁護しておくと、グラスアーマーとまったく同じ力加減で行わったわけではなく、使用しているガラス板も異なるので単純な比較はできません。

傷をつける際も、ナノリキッドを塗布した部分はツルツルと滑り、結果として傷は付いたものの、傷が付きにくい雰囲気はありました。

表面が硬化しているのかどうかはわかりませんが、ナノリキッドによりガラス表面が平滑化し、引っ掛かりが減ったことで傷が付きにくくなる、という効果は期待できそうです。

また、本当に表面が硬化しているとしても、その被膜は髪の毛より1000倍薄いとのことなので、強度的にあまり意味はなさないでしょう。

主成分はシラノール?

なお、Spigenのナノリキッドがそうかどうかはわかりませんが、車のガラス系コーティング剤では、シラノール(SiH3OH)という化合物が使われているようです。これは空気中の酸素と化学反応をおこすことで、二酸化ケイ素と水になり、シリカガラス皮膜を形成するとのこと。化学式だと下記(Wikipediaより)

2SiH3OH + 3O2 → 2SiO2 + 4H2O

ガラス被膜を作っても、やっぱり傷はつく

もし鉛筆硬度9Hの皮膜を作っていたとしても、そのモース硬度は5~6程度で一般的なガラスと大差ありません(モース硬度はひっかきに対する硬さなので、素材そのもの割れ難さなどは表していません。なので、モース硬度10のダイヤモンドもハンマーで叩くと砕けます)。最近のゴリラガラスなどのモース硬度は6程度のようです。

そんなモース硬度6ほどのゴリラガラスなどでも、ほこりに含まれる石英により傷が付くことがあります。石英のモース硬度は7。ほこりをティッシュで拭いてはいけないとされる理由の一つでもあります。

以上を踏まえた上で、個人的な意見としては、

  • ナノリキッドは指紋や汚れを付きにくくする効果はある
  • 指の滑りはよくなる
  • 表面の平滑化により、何もしないよりかは傷が付きにくいかもしれない
  • 仮に水晶化(モース硬度7)していたとしても、ほこりなどで傷は付く

というあたり。なので、傷が付いても簡単に交換できる保護フィルムなどを貼るほうが安心できると思います。滑りは良くなるので、ガラスフィルムの上に使うのはありかもしれません。

なお、硬い・割れにくいということで度々話題になり、海外のラグジュアリ端末などでは採用の例もあるサファイアガラスのモース硬度は9。ほこりに含まれる石英でも傷はつかなそうです。時計の風防などにも採用されていますが、これがスマートフォン向けに普及すれば保護フィルムなどもいらなくなりますかね。

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