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「テトリス」は如何にして生まれ、世に広まったのか? その数奇な運命を描き出した「テトリス・エフェクト」はゲーム同様に嵌れる1冊

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PCやスマートフォンを利用する人の中で、テトリスを知らない人を探すのは相当難しいのではないかと思います。そんな世界で最も売れたゲーム「テトリス」の誕生秘話、そして、いかにして世界に広まっていったのかを記したノンフィクション「テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム」が11月1日に発売されます。

今回、訳者の小林さんから一足早く献本を頂いたのですが、読み始めたら止まらなくなり、つい一気読みしてしまいました。ノンフィクションではあるのですが、単なる歴史もの伝記ものという枠を超えた一大エンターテイメント作品となっています。

ソ連で生まれたテトリス、開発者はアレクセイ・パジトノフ

テトリスについて、「ソ連(現ロシア)発祥」ということは知っていても、誰が作ったのか、どのようにして生まれたのかまで知っている人は少ないのではないでしょうか?私もそんな一人だったのですが、本書では、テトリスがいかにしてソ連で生まれたのか、そしてなぜソ連だったのが詳しく描かれています。

テトリスの生みの親は、アレクセイ・パジトノフ。世界で5億本近く販売されたソフトなだけにさぞ利益を得たのだろうと思うところですが、そこは崩壊前のソ連でのこと、テトリス誕生から10年近くの間、テトリスからの収益は一切入ってこなかったそうです。

そして、ソ連崩壊後、彼の手に権利(の一部)を取り戻し、共同でテトリスのライセンスを管理する会社「ザ・テトリス・カンパニー」を設立したのが、本書のもう一人の主人公、ヘンク・ロジャースです。

任天堂のエージェントとして活躍したヘンク・ロジャース

ヘンク・ロジャースの名前を知らなくても「ザ・ブラックオニキス」というタイトルを覚えている、聞いたことが人は多いかもしれません。国内初のRPG(ロールプレイングゲーム)である「ザ・ブラックオニキス」を作ったのが、このヘンク・ロジャースです。

彼は「ザ・ブラックオニキス」の後、ヒット作を出せずに低迷していましたが、ゲーム制作ではなくゲームの買い付け、仕入れに才能を発揮します。そして目を付けたのがテトリスのライセンスです。

当初の目的は任天堂が極秘に開発を行っていた「ゲームボーイ」で利用できるゲームボーイ版「テトリス」のライセンスの確保。そのころすでにPCやアーケード、家庭用ゲーム機のライセンスはイギリスのミラーソフト、ハンガリーのアンドロメダ・ソフトウェアが確保しており販売が行われていました。

ただ、ゲームボーイのようなハンドヘルド機は前例がなく、これに関するライセンスは空いているはず。その確保のために翻弄していたのですが実はすべてのライセンスが非常にあいまいになっており、明確なのはPC版ライセンスのみ。であれば、ハンドヘルドだけではなく、家庭用ゲーム機のライセンスも……と話が続いていきます。

ちなみに、ヘンク・ロジャースはテーブルトークRPGの元祖D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)の大ファン。このD&Dがブラックオニキス製作のきっかけでもあり、当時のゲームを知るためにも欠かせない要素として、D&D絡みの話題も多く登場しています。

テトリスを知るのに最適な1冊

テトリス誕生秘話だけなく、なぜ中毒性が高いのかなどについて触れられてるボーナスステージも収録されており、まさにテトリスを知るために最適な1冊だと思います。

本書が原作というわけではありませんが、このテトリス誕生からライセンス絡みのやり取りを描いた映画も作られるとか。それだけ魅力的な(当事者にしてみればとても大変だったのでしょうが)話なのでしょう。

テトリスに嵌った人もそうでない人も、ぜひ手に取って欲しいと思います。なお、テトリス同様に中毒性が高いので、読み始めるのはある程度時間に余裕があるときをお薦めします。

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