ASUSが3月に発売したゲーミングノートPC、「ROG Flow Z13(GZ301)」をレビュー用にお借りました。ゲーミングでは珍しい、2-in-1のデタッチャブルなPCです。このタイプは性能を犠牲にしているものも少なくないのですが、ROG Flow Z13はCore i9-13900HにNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載する、文字通りにゲーミング使用のPCになっています(最上位モデルの場合)。
今回は専用の外付けGPUであるXG Mobile(RTX 4090 Laptop内蔵)もお借りしたので、あわせてレビューをお届けします。
タブレットなのにゲーミングPCなROG Flow Z13
ROG Flow Z13は、13.4型(2560×1600ピクセル)のTFT液晶を搭載。リフレッシュレートは165Hz。最近は有機ELモデルが多く、ASUSの20203年ラインナップも有機EL搭載となっていますが、ROGシリーズは「ROG Nebula Display」という独自の液晶を採用しています。
明るさは最大500Nits、DCI-P3 100%の広色域をサポートし、Dolby Visionにも対応しています。
背面にはキックスタンドを装備しており、Surface的な雰囲気です。キックスタンドは無段階。
内部基盤が見える小窓がサイバーかつゲーミングっぽい雰囲気を演出しています。使っていると見えませんけど。
キーボードはもちろん分離可能。Surfaceとは違い、付属しています。
フロントカメラは503万画素でIR内蔵。Windows Helloに対応しており、顔認証を利用できます。ゲーミングとは言えタブレットPC扱いだからなのか、背面カメラも搭載しています。余り使うことはないかと思いますが、QRコードの読み込みなどには便利そうです。
インターフェースは向かって右側面にUSB 3.2(Type-A/Gen1)と3.5mmコンボジャック。左側面にUSB Type-C(Thunderbolt 4/DP 1.4/PD対応)、XG Mobile接続用のコネクタとUSB 3.2 Gen 2(Type-C)。XG Mobileコネクタとその隣USB Type-C部は本来キャップがされているはずですが、サンプル機にはこのキャップがありませんでした。
専用外付けGPU「ROG XG Mobile GC33Y」
そんなXG Mobileは、ROG Flow専用の外付けGPU。2023年モデルではRTX 4090 Laptopを搭載しています。
本体価格が39万9800円と、ROG Flow Z13本体(最上位でも33万9800円)よりも高価なのがなんとも言えないところ。ただ、ROG Flow Z13に不足しているUSB 3.2(Type-C/Gen 2)やUSB 3.2(Type-A/Gen 2)x3、HDMI、DP、SDカードリーダ、2.5G有線LAN(RJ45)を追加できるハブとしても機能します。
XG Mobileはキックスタンドを内蔵。横置きも可能ですが、冷却のためにも立てて使用するのがおすすめのようです。
接続はXG Mobile側から生えている専用ケーブル(PCIe 3.0 x8 + USB 3.2 Type-C)を利用します。このケーブル、かなり固いので取り回しは少々大変。変に力をかけるとコネクタが破損しそうで怖いです。ちなみに、使用中はACケーブルの接続が必須となります。
ベンチマークで性能をチェック
ここからはベンチマーク結果を確認してみましょう。ROG Flow Z13は、付属のアプリ「Armoury Crate」でCPUやGPUの処理性能、ファンの速度などを設定できるのですが、基本的に以下のベンチマークではデフォルトのパフォーマンス設定で行っています。
まずはCINEBENCH R23ですが、Core i9-13900H搭載だけあり、マルチコアで「13721」、シングルコアも「1971」と高スコア。
続いてPCの総合的な能力を測るPCMark 10ですが、トータルスコアは7000超えの「7078」。ゲーミングだけではなく、日常的なオフィスユースでも問題なく使えそうです。
PCMark 10ではもう一つ、GPUモードを「最適化」にしバッテリー駆動の状態でも計測してみました。ようするに、ディスクリートGPU(RTX 4060)を使わず、Core i9内蔵のIris Xe Graphicsを使った場合のパフォーマンスです。
トータルスコアは「5850」とだいぶ落ち込みますが、CPUが速いだけにウェブブラウジングやビデオ会議、アプリの起動などのスコアであるEssentialは「10179」とあまり変わってはいません。オフィスアプリでの生産性指標となるProductivityは「7848」、写真や動画編集などのクリエイティブ作業のDigital Content Creationは「6802」と大きく落ち込んでいます。
グラフィック性能を測る3DMarkについては、ROG Flow Z13単体(RTX 4060)の状態とXG Mobile(RTX 4090)を接続した状態を比較してみました。ついでにIris Xe Graphicsの状態でも計測しています。正直なところ、もともとRTX 4060を搭載しているのであれば、外付けGPUを接続しても大きな違いはないのではと思っていたのですが、とんでもない思い違いでした。
RTX 4060なだけあり、ROG Flow Z13単体でも十分なスコアがでているのですが、XG Mobileを接続すると、どのテストでも2倍近いスコアとなりました。
続いてベンチマークとしては負荷が高めなFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの結果です。設定としては解像度1920×1080のフルスクリーン。軽量品質、標準品質、高品質をROG Flow Z13単体の状態とXG Mobileを接続した状態でそれぞれ実施しています。おまけで、こちらもIris Xe Graphicsの状態も計測してみました。
ROG Flox Z13単体(RTX 4060)の場合でも、高品質では「6808(快適)」。標準品質「9616(とても快適)」、軽量品質「11686(とても快適)」で問題なく重いゲームもプレイできそうです。そしてXG Mobileを接続すると高品質でも「13875(非常に快適)」という結果に。正直、ここまでぬるぬる動くFF15ベンチを初めて目にした気がします。
発熱に関してはディスプレイ、背面とも排気口がある上部が熱く、50℃近くになります(室温24℃の環境)。指で触ると温かい(背面は場所によっては熱い)と感じるレベルです。
XG Mobileも表面が50℃を超え、排気口付近は60℃~80℃になっていたので、設置場所には気を使ったほうが良さそうです。
バッテリー持ちは今ひとつ
最後にバッテリー持ちの確認です。公称では約8.8時間(JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver2.0))とのことですが、PCMark 10のバッテリーテストでは「Gaming」で1時間1分、「Modern Office」で2時間29分という結果でした。
なお、RTX 4060を使わず、Core i9のIris Xe Graphicsを使用するGPUの最適化モードでは、4時間20分という結果になりました。これだけ持てば、出先でもなんとか使えるでしょうか。
処理性能が高いだけに消費電力も大きく、付属の充電アダプタは130W出力。一応、65Wほどあれば充電はできるので、外出先でも使いたいなら高出力のモバイルバッテリーも一緒に持ち歩いたほうが良さそうです。
デスクトップ代わりのメイン端末にもなる1台
ゲーミングPCではありますが、ゲームだけに使うにはもったいないほどのハイスペックで、デスクトップ代わりに日常使いしたくなる端末です。正直、私がメインで使っているデスクトップ(Core i7-9700F/RTX 3060 Ti)よりも遥かに快適です。
メモリが16GBしかないので、Chromeでタブを大量に開いたり、4Kや8K動画を頻繁に編集したりするという人には物足りないかもしれませんが、ゲームメインあるいは文書作成などの一般的な用途であれば問題はないでしょう。
可能であれば、XG Mobileとセットで使いたいところですが、ゲーム用途だとしてもROG Flow Z13単体で十分な性能です。