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Mobvoiから、Wear OSスマートウォッチ「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」をレビュー用に提供頂きました。国内では、2021年10月に発売されたスマートウォッチ。もうすぐWear 5100+を搭載する新モデルが発表されるというタイミングではありますが、その新モデルがどういったものになるのかを予想する意味でも、既存モデルを知っておくにはいいタイミングかもしれません。
TicWatch Pro 3 Ultra GPSは、2020年10月に発売された「TicWatch Pro 3 GPS」のアップグレードモデル。とはいえ、スペック自体に大きな変更はなく、Wear 4100にRAM1GB、ストレージ8GB。IP68相当の防水防塵性能も備えます。変わったところとしては、UltraのほうはMIL-STD-810Gの耐久性を備えるのと、SpO2センサーを搭載している点です。
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ディスプレイは1.4インチ 454 x 454のAMOLED。これに加えてFSTN液晶を搭載する2層ディスプレイとなっています。通知を見たり、画面を操作する際はAMOLEDのディスプレイで表示しつつ、それ以外ではFSTNで表示することで省電力化を図ります。
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この2層ディスプレイの仕組みは、他のスマートウォッチでも採用しているものはあります。多くの場合は常時表示用に使われており、手首を返すとAMOLEDに切り替わるのですが、TicWatch Pro 3 Ultra GPSの場合、手首を返しても表示は切り替わらず、FSTNのバックライトがONになります。メインのディスプレイを表示するには、側面のボタンを押すか、画面にタッチする必要があります。
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一見不便そうではありますが、このFSTNでも時刻やバッテリー残量、歩数などは確認可能。ワークアウト中も経過時間や心拍数などをリアルタイムで反映してくれるので、正直なところ、この画面だけでも不自由はありません。また、スマートフォンから通知があった場合には振動で教えてくれるのですが、そのタイミングで手首を返すとAMOLEDの表示に切り替わり、通知内容をすぐに確認できます。
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FSTN画面の表示自体は選べませんが、バックライトの色は変更できます。ちなみに、FSTNを使わず、常時表示画面でもAMOLEDを使うことも可能。この場合、よくあるWear OSスマートウォッチのような表示になります。
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この2層式ディスプレイを支えているのが、Snapdragon 4100とともに使われているMobvoiデュアルプロセッサシステム。Snapdragon 4100プラットフォームには、Snapdragon 4100+もありますが、両者の違いはAONコプロセッサ、ようするに常時表示用省電力プロセッサの有無です。Snapdragon Wear 4100にはこのAONコプロセッサがないのですが、TicWatch Pro 3 Ultraの場合は、これを自前のプロセッサで賄っています。なぜWear 4100+を使わずに、自前のコプロセッサを使っているのかは定かではありませんが、ともあれ、これと2層表示ディスプレイにより、公称で最長72時間の稼働時間を誇ります。
これは、Wear OSスマートウォッチとしては最長クラス。実際に数日利用していますが、72時間(3日間)とはいかなくても、2日間は余裕で持ちました。
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Wear OSスマートウォッチなので、Wear OSアプリで接続・設定が行えますが、歩数や睡眠データなどはコンパニオンアプリ「Mobvoi」で確認できます。
ただ、基本はWear OSそのものなので、あまりカスタマイズできるような内容はありません。ウォッチフェィスも変更できますが、先述の通り、利用している時間のほとんどはFSTNの液晶画面なので、あまりカスタマイズ行う必要性を感じません。
せっかくなら、FSTN画面のカスタマイズをしたいところですが、こちらは非対応。ここにあまり凝ってしまうと消費電力が増えて本末転倒になってしまう可能性もあるので難しいところです。
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バッテリー持ちの悪さはWear OS最大の弱点だと思っているので、使い勝手を維持しつつバッテリー持ちを改善している「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」は、かなり魅力的です。スマートウォッチの様々なウォッチフェイスを楽しみたいという人には向いていない気もしますが、ウォッチフェイスよりも日常的な使い勝手を優先させたいというのならアリでしょう。
Wear OS 3へのアップデートにも対応するようなので、このタイミングで購入しても後悔することはないのではと思います。