IoT/DX プラットフォーム「MEEQ」が楽天モバイル回線に対応、国内初の4キャリアL2接続に

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ミークは2026年10月29日、IoT/DXプラットフォーム「MEEQ」が楽天モバイル回線に対応し、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIと合わせて国内4キャリアの回線を扱えるようになったと発表しました。キャリアのネットワーク設備と直接つなぐ「L2接続」で4キャリアすべてに対応するのは国内初としています(2026年9月末時点、同社調べ)。なお、楽天モバイル回線は7月30日から「共通プラン」で先行提供されていました。

4キャリア対応に合わせて案内された機能は3つあります。4キャリアの回線を1つの閉域網につなぐ「4キャリア統合閉域」と、キャリアをまたいでデータ容量を分け合う「4キャリア統合パケットシェア」、そして楽天モバイル回線限定で、使わない月の料金を月額50円(税抜)に抑える「休止プラン」です。あわせて、標準プランの料金を4キャリアで統一し、請求書も1枚にまとめられるとしています。

同日の記者発表会には、ミーク 常務執行役員の宮内祐輔氏、代表取締役 執行役員社長の峯村竜太氏に加え、ゲストとして楽天モバイル 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋氏が登壇しました。

MEEQは、IoT機器向けの回線を1枚から買えるプラットフォーム

MEEQは、IoT機器向けの通信回線(SIM)の購入、決済、登録、管理を、ブラウザで使う「MEEQコンソール」の1つの画面で行えるサービスです。主な利用者は、IoT機器を使ったサービスを提供する事業者や、DXを進める企業。モバイル通信と回線の管理機能に加え、ストレージやAI、アプリケーションなども提供しています。

▲ミーク 常務執行役員 宮内祐輔氏

料金は月10MBの定額プランで月額143円(税込)から。SIMは1枚から発注でき、手元に届くまでは最短3日です。注文はコンソール上で完結し、eSIMなら即日使えます。ただ、eSIMは現時点ではNTTドコモ回線のみの対応です。

宮内氏は冒頭、来場者に「今朝ここに来るまでに、IoTに何度触れたか」と問いかけました。例に挙げたのは、バスやタクシーの決済端末、街角のデジタルサイネージ、一部の監視カメラ、ゴルフ場のカートナビです。こうした機器の多くはモバイル通信でつながっていて、ミークはその「見えない通信」を裏側で支える会社だと自社を紹介しています。

ソニー系のMVNE事業から独立した会社

ミークの源流は、ソニーネットワークコミュニケーションズが2013年に始めたMVNE事業です。2019年3月にカーブアウトで独立し、2021年にMEEQの提供を始め、2025年に東証グロース市場に上場しました。本社は東京・渋谷で、従業員は77名(2026年3月末時点)。子会社にミークモバイルがあります。

事業は、MEEQ(IoT/DXプラットフォームサービス)と、MVNEサービスの2本立てです。MVNEは、自社ブランドで通信サービスを提供したいMVNO(いわゆる格安SIMの事業者)や、通信以外の事業者に向けて、通信設備や課金、カスタマーサポートなどの運営を提供する事業のこと。ミークは、独自のプランやブランドを自由に展開したい事業者向けの「Self-Operated MVNO」、課金からサポートまでをミークモバイルに任せてブランドづくりに集中できる「MVNO as a Service」、既存のMVNO事業の譲受や設備移行を支援する「MVNO Transformation Service」の3つのモデルを用意しています。MVNEサービスの対応キャリアはNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社で、今回の4キャリア対応はMEEQだけが対象です。

峯村氏が示した数字では、MEEQのアカウント数は8000超、累計回線数は72.6万回線(短期利用回線を除く)、毎月継続的に発生するリカーリング売上の比率は98.9%です(いずれも2026年6月末時点)。2026年3月期の売上高は71億5000万円、経常利益は13億500万円で、2期連続の増収増益となっています。

▲ミーク 代表取締役 執行役員社長 峯村竜太氏

峯村氏が強みとして挙げたのは、2つの事業で設備や帯域を共有する「帯域シェアリング」でした。IoTは現場で集めたデータをクラウドに上げる用途が中心で、上り帯域を多く使います。一方、スマートフォンは動画視聴などダウンロードが中心で、下り帯域を多く使う。トラフィックの向きが逆の2つのサービスを組み合わせることで設備を効率よく使え、それが価格競争力につながっていると峯村氏は話していました。

設置場所によって「つながりやすい回線」は変わる

宮内氏が4キャリア対応の理由として説明したのは、IoT機器の設置場所の問題です。IoT機器はビルの中、地下や工場、山間部など、さまざまな場所に置かれます。建物の影や遮蔽物、山や谷といった条件によって、つながりやすい回線は場所ごとに変わります。

宮内氏は、これはキャリアの優劣ではなく電波の性質によるもので、どこでも万能な回線はないとしています。そのうえで、つながらなければ監視カメラの映像が途切れるなど現場が止まってしまうこと、拠点の追加や新しい用途を考えると将来の設置場所でもつながるかが気になることを挙げ、設置場所に合わせて回線を選べることが大切だと述べました。

楽天モバイル回線を加えた理由は、エリアが広がっていることと、契約回線数が1100万回線を突破したこと(2026年9月24日時点、BCP回線を含むMNO・MVNO・MVNEの合計)。顧客からも「楽天モバイル回線がつながりやすい場所なので早く提供してほしい」「楽天ファンなのでビジネスでも楽天モバイル回線を使いたい」という声があったそうです。峯村氏によると、ゴルフ場の顧客や、商業施設にロボットを導入している顧客などが、すでに楽天モバイル回線で実証を進めているとのことでした。

これを支えるのがL2接続です。キャリアのネットワークに直接つなぎ、通信の制御や課金をミーク自身が行う方式で、発表資料では「4キャリアすべてとL2接続する国内初の一次MVNO」としています。一次MVNOは、ほかのMVNEを介さず、キャリアと直接接続しているMVNOのことです。

閉域網もデータ容量も、キャリアをまたいで1つにまとめる

1つ目の「4キャリア統合閉域」は、4キャリアの回線を1つの閉域網に接続できる機能です。閉域網は、インターネットを経由しない専用の通信経路のことで、IoT機器と顧客のクラウドやデータセンターを安全につなぐために使われます。

通常、複数キャリアの回線を閉域網で使うには、キャリアごとに契約し、閉域網を個別に構築する必要があります。MEEQではこれまでも3キャリアの回線を1つの閉域網につなげられましたが、今回ここに楽天モバイル回線が加わりました。契約と閉域網の構築はミークとの間だけで済み、回線とセキュリティの管理もMEEQコンソールに集約できます。場所ごとに違うキャリアを選んでも、閉域網のまま運用できるということです。

2つ目の「4キャリア統合パケットシェア」は、複数の回線でデータ容量を分け合う仕組みです。回線ごとに通信量がばらつくと、余った容量が無駄になります。MEEQではキャリアが違う回線の間でも容量を共有でき、今回から4キャリアのSIMでシェアできるようになりました。基本データ容量を超えても、従量課金で使い続けられます。宮内氏は、低容量と高容量のデバイスが混在するケース、設置場所ごとに電波状況が異なるケース、災害や障害に備えて回線を束ねて冗長化するケースの3つを用途として挙げていました。

料金面では、標準プランであれば4キャリアとも同じ料金で、請求書も1枚にまとまります。ただし、同一料金になるのは標準プランの場合です。

楽天モバイル回線限定の「休止プラン」は月額50円

休止プランは、使わない月の料金を月額50円(税抜)に抑えられるプランです。休止中はデータ通信ができませんが、契約は維持されます。通常プランとの切り替えはMEEQコンソールで行い、対象は楽天モバイル回線のみ。MEEQの料金ページにも、すでに休止プランが掲載されています。

活用例として紹介されたのは、端末のレンタル業と除雪車のIoT端末です。レンタル業なら、貸し出し中は通常プラン、返却されて倉庫で保管している間は休止プランにして、在庫期間の通信費を抑えられます。除雪車の場合は稼働が12月から3月に集中するため、4月から11月までの約8か月を休止プランにできるとしています。

質疑応答では、回線の休止は一般にフルMVNOで実現しやすい仕組みとされるなか、どう実現したのかという質問が出ました。宮内氏は、MEEQはフルMVNOではなくL2接続による相互接続で提供していると答えたうえで、休止プランは楽天モバイルと協議して実現した機能だと説明していました。

楽天モバイル鈴木氏「IoTはフィジカルAIに進化している」

ゲストの鈴木氏によると、楽天モバイルがMEEQに参画するまでには、1年半から2年ほど協議を重ねてきたとのこと。ミークから見ると4社目のキャリアになるものの、そのなかでナンバーワンを目指したいと話しました。楽天モバイルにとってIoT向けの通信サービスはこれからの注力領域で、鈴木氏自身も前職でIoT事業の責任者を5年ほど務めていたそうです。

▲楽天モバイル 代表取締役 共同CEO 鈴木 和洋氏

鈴木氏の見立てでは、IoTはいま「フィジカルAI」という形に進化しつつあります。これまでのIoTは、現場のデバイスをネットワークでつなぎ、データをクラウドに集めて分析し、新しいサービスをつくるのが中心でした。現在は現場のデバイスにAIを載せ、デバイス自身がタスクを処理する動きが出てきています。そうなれば現場で発生するデータ量もクラウドとのやり取りも増え、大容量で低価格な楽天モバイルの通信が効果を発揮できる、と鈴木氏は語りました。

さらに、エージェント型のAIを搭載した監視カメラやロボットが、人を介さずに情報やベストプラクティスを共有し合う世界が、ここ数年でやってくるとも話していました。通信の重要性は今後さらに増すとして、楽天モバイルはその分野でリーダーシップを取っていきたいとしています。

質疑応答:1枚のSIMでのキャリア自動切り替えは「検討」

質疑応答では、4キャリア対応の使い方に関わる質問が続きました。どの場所でどのキャリアがつながるかを確認するのは利用者側か、という質問に対し、宮内氏の答えは「その認識で問題ない」。設置場所ごとの回線の見極めは、利用者に委ねられます。

ゴルフ場のカートのように動き回る機器では、場所によってつながりやすい回線が変わります。1枚のSIMでキャリアを自動で切り替える機能は、今回発表したMEEQ SIMにはありません。ただし、MEEQのオプションとして提供しているローミング型の「MEEQグローバルSIM」を使えば、キャリアを自動で切り替えられるそうです。MEEQ SIMで複数のキャリアを1枚で扱う仕組みについては、顧客から声があることは認識しており、検討したいとしつつも、現時点で伝えられる段階にはないとのことでした。

楽天モバイル回線のeSIM対応は、現時点で決まっていません。MVNEサービスへの楽天モバイル回線の追加は、要望を受けて検討しているものの、時期は未定です。

峯村氏「キャリアと当社では役割が違う」

峯村氏は、各キャリアが広げているアクセスネットワークを借りて補完するプレイヤーとして自社を説明しました。そのうえで、今回の4キャリア対応によって、一部のデバイスや一部の場所でだけ別のキャリアを使いたくなっても、オペレーションを2本立てで構築したり、別途投資したり、固定費が倍になったりすることがない点を大きなポイントに挙げています。いま使う予定がなくても、将来の事業拡大で使うかもしれないキャリアまで含めて、同じ仕組みで選べるということです。

締めのあいさつでは、使い方がはっきりしていて手厚いサポートを求めるエンタープライズであれば、キャリアと直接契約したほうがよい場合もあるだろうと峯村氏は話していました。同じ仕組みで回線を選べることを必要とする顧客にはミークを選んでもらう、という使い分けになるとの考えです。

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