「手が届くハイエンド」の実力は?arrows Alpha2レビュー

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FCNT合同会社は8月27日、新スマートフォン「arrows Alpha2」を発売しました。市場想定価格は、RAM8GB+ストレージ256GBモデルが9万4900円(税込)、RAM12GB+ストレージ512GBモデルが11万8800円(税込)。カラーはインディゴ/ホワイト/レッド/ブルーグリーンの4色展開です。

前モデルの「arrows Alpha」は、10万円を切る価格でハイエンド体験を提供する「手が届くハイエンド」として登場した機種でした。Alpha2もその路線を継いでいますが、SoCは前モデルと同じDimensity 8350 Extremeで据え置かれています。発表会でFCNTは、ハイエンドはハードウェアのスペックだけでは定義できない段階に来ている、という考えを示していました。

FCNT「arrows Alpha2」は9万4900円から メモリ高騰下で「手が届くハイエンド」をどう守ったか
FCNT合同会社は2026年8月18日、スマートフォンの新製品「arrows Alpha2」を発表しました。発売は8月27日。オープン市場向けの市場想定価格は、RAM8GB+ROM256GBモデルが9万4900円(税込)、RAM12GB+R…

今回、12GB+512GBモデルをレビュー用にお借りしたので、手元にあるPixel 11 Pro、Galaxy S26 Ultraとベンチマークで比較しつつ、「手が届くハイエンド」がどれくらいの性能なのかを測ってみました。

外観:ベゼルが細くなり、背面がフラットに

本体サイズは約154.9×71.7×8.6mmで、前モデルからわずかにコンパクトになっています。重さは、公称約187g、実測で185.7gでした。

前モデルの背面は、エッジがやや湾曲したデザインでした。これには「リアの丸みが少し古い印象」という意見もあったとのことで、最近増えている(あるいは昔に戻って)シャープなデザインに変更されています。

グラスファイバーを使用した背面は、マットではなくツルツルとした触感ですが、指紋は目立ちません。

▲カラーはインディゴ。背面はツルツルとしていますが、指紋は付きにくくなっています

ディスプレイサイズは変わらず約6.4インチ(1200×2670ピクセル)の有機ELを採用。前モデルはベゼルの太さが指摘されていましたが、Alpha2では上部が2.48mmから1.9mm、左右が1.46mmから1.15mmに狭くなっています。ディスプレイ端の落とし込みもやめてフラットになり、保護フィルムの端が浮きにくい形状になりました。

▲上部ベゼルは1.9mm、左右は1.15mm。ディスプレイ端の落とし込みもやめてフラットになりました

本体側面は、前モデルから変わらずメタルフレームを採用します。arrowsと言えば高耐久性が特徴となっていますが、arrows Alpha2もそこは踏襲しつつ、さらに強化しており「世界一の頑丈さ」をアピールしています(2026年5月時点で、世界196か国の厚さ10mm以下のスマートフォンを対象とした調査。未来トレンド研究機構調べ)。

米国国防総省の調達基準(MIL-STD-810H)に基づく23項目の耐久性試験に準拠しているほか、FCNT独自のコンクリートへの落下試験は1.8mにアップ。IP66/68/69の防水防塵に対応し、水中での写真撮影にも対応します。

この水中撮影、防水にこだわった結果なのか、水中撮影ありきで企画されたのかはわかりませんが、残念ながら海水には非対応。淡水で水深1m以内、30分程度が撮影の目安となっています。

▲底部にあるSIMトレイは、SIM抜きピンを使わずに引き出せます。裏面にmicroSDをセットする仕様です

主要なスペックをPixel 11 Proと比較してみました

項目arrows Alpha2Pixel 11 Pro
SoCDimensity 8350 ExtremeTensor G6
RAM/ストレージ12GB+512GB/8GB+256GB12GB+256GB/16GB+512GB/16GB+1TB
ディスプレイ約6.4型 1200×2670 LTPO有機EL 最大144Hz ピーク3000nit6.3型 1280×2856 ピーク3600nit
サイズ約154.9×71.7×8.6mm約152.7×71.9×8.4mm
重量約187g204g
バッテリー5370mAh4850mAh
有線充電90W30W以上のPPSで30分55%
ワイヤレス充電非対応Qi2.2認証 25W
広角約5030万画素 ソニーLYTIA 710 F1.8 OIS50MP F1.68
超広角約5000万画素 F2.0 画角120度48MP F1.7
望遠非搭載48MP F2.8 光学5倍
耐衝撃1.8mコンクリート落下
防水防塵IP66/68/69IP68
microSD最大2TB非対応
OSアップデート最大3回/セキュリティ更新5年7年
価格(税込)9万4900円/11万8800円17万4800円/19万4800円

独自機能:アクションキーとExlider

本体左側にはアクションキーを搭載。1回押し、2回押し、長押しにAIの呼び出しやアプリの起動などを割り当てられます。長押しに関しては、長押し時間の設定まであり、ユーザーの使い勝手にこだわった姿勢がうかがえます。

▲本体左側面にアクションキーを搭載
▲アクションキーは1回押す/2回押す/長押しに機能を割り当てられます。長押しは0.25〜0.75秒で反応時間まで調整できます

使い勝手に絡む機能としてはもう1つ、「Exlider」があります。指紋センサを搭載する電源ボタンをスワイプすることで、画面のスクロールが行えるというもの。ダブルタップでズームも利用できます。

▲本体右側面に指紋センサ兼用の電源ボタンとボリュームボタンを搭載。電源ボタンのスワイプ操作でExliderを利用できます
▲電源ボタンに触れていると、赤枠のメニューが表示され、スクロールできるようになります

カメラとバッテリー

背面カメラは、約5030万画素の広角(ソニーLYTIA 710、F1.8、光学式手ブレ補正あり)と約5000万画素の超広角(F2.0、画角120度)の2眼構成です。動画は4K/60fpsのHDR撮影に対応します。

以下、作例をいくつか。

▲0.5倍。超広角で撮影
▲1倍で撮影
▲2倍で撮影
▲2倍で撮影。逆光気味なのもあり、やや暗めになりました
▲カメラアプリで明るさを調整したもの
▲1倍で撮影。看板の色は誇張のない出方です

望遠は非搭載ですが、デジタルズームで10倍まで撮影が可能です。

▲10倍デジタルズーム。下の植物など、細部がかなりつぶれていますが、それ以外は意外と綺麗です
▲Pixel 11 Proの10倍ズーム。こちらは細部も綺麗です

バッテリー持ち

バッテリーは5370mAhのシリコンカーボン。「充電なしで2日間」使えるとしています。試しにYouTubeの動画を連続再生してみたところ、2時間で約9%のバッテリー消費となりました。YouTubeのような高負荷で2時間9%なので、通常の使い方なら2日は十分に持ちそうです。

充電は90Wで、公称では約40分でフル充電とされています。なお、ワイヤレス充電には対応していません。

自律神経パワーの測定機能

ヘルスケア機能は、アプリ名が「arrows connect」から「F Healthcare」に変わりました。また、自律神経の測定時間は前モデルの2分から1分に短縮されています。

▲測定時間は前モデルの2分から1分に短縮されました。結果は自律神経パワーと交感/副交感のバランスで表示されます

ベンチマーク

ここからが本題です。arrows Alpha2、Pixel 11 Pro、Galaxy S26 Ultraの3台を、同じ日に測定しました。いずれも充電器から外した状態で、室温はおおよそですが27℃前後、3台ともRAMは12GBです。なお、OSのバージョンはAlpha2がAndroid 16、Pixel 11 ProがAndroid 17となっています。

▲左からarrows Alpha2、Pixel 11 Pro、Galaxy S26 Ultra

参考までに、3台の価格を256GB構成でそろえると、Alpha2が9万4900円、Pixel 11 Proが17万4800円、Galaxy S26 Ultraが21万8900円。Alpha2はPixel 11 Proより7万9900円、Galaxy S26 Ultraより12万4000円安い計算になります。

Geekbench 7:CPUベンチマークははっきり差がついた

Geekbench 7arrows Alpha2Pixel 11 ProGalaxy S26 Ultra
Single-Core91922692836
Multi-Core343959808640
GPU8008323617045

Geekbench 7のシングルコアはAlpha2が「919」、Pixel 11 Proが「2269」で、2.47倍の開きがあります。マルチコアも「3439」対「5980」で1.74倍。後述するAnTuTuのCPUスコアも同じ方向で、こちらは1.64倍の差でした。

ところがGPUになると話が変わります。Geekbench 7のGPUスコアは、Alpha2が「8008」に対してPixel 11 Proが「3236」。今度はAlpha2が2.47倍という結果です。数字が大きすぎる気がしたので測り直しましたが、「8270」とほぼ同じ値が出ました。Pixel 11 Proの「3236」という値も、以前に別の機会で測ったときの「3287」とほぼ一致しています。

▲Geekbench 7の結果。左のarrows Alpha2が919/3439、右のPixel 11 Proが2269/5980でした

Geekbenchのテストに限れば、Dimensity 8350 ExtremeのGPUが強いというより、Tensor G6のGPUが弱いという印象ですが、後述する3DMarkとAnTuTuでは、少し違う結果が出ています。

Geekbench AI:AI性能は、一方的な差にはならなかった

Geekbench AIarrows Alpha2Pixel 11 ProGalaxy S26 Ultra
CPUSingle Precision156518162603
Half Precision182121584187
Quantized257528805939
GPUSingle Precision10039482961
Half Precision12609114622
Quantized10087163947
NNAPISingle Precision1042539705
Half Precision42415186678
Quantized422176931506

FCNTが「AI体験の質」を軸に据えると説明していただけに、気になっていた項目です。

CPUを使う処理ではPixel 11 Proが12〜19%ほど上。GPUを使う処理では逆にAlpha2が上回り、Half PrecisionとQuantizedでは1.4倍前後の差がついています。NNAPIは項目ごとに勝ち負けが分かれました。

▲Geekbench AI(NNAPI)の結果。Single PrecisionはAlpha2(左)が上回り、Quantizedでは逆にPixel 11 Proが上回っています

なおNNAPIはAndroid 15以降で非推奨とされているAPIで、実装の差でスコアが大きく振れます。Galaxy S26 Ultraの値が低く出ているのもそのためで、機種間の絶対比較には向かない数値です。

描画性能と日常操作

arrows Alpha2Pixel 11 ProGalaxy S26 Ultra
3DMarkWild Life Extreme309329224875
Steel Nomad Light124311241921
PCMarkWork 3.1149441666521056
AnTuTu v11.1.5総合161061418100283515895
CPU4609657565731075294
GPU3754974248851340800
MEM355741260301398471
UX418411368269701330

3DMarkのWild Life ExtremeはAlpha2が「3093」、Pixel 11 Proが「2922」でほぼ互角です。ところがAnTuTuのGPUスコアでは「375497」対「424885」で、逆にPixel 11 Proが上回りました。Geekbenchも含めると、3つのテストで3つの違う答えが出たことになります。

GeekbenchのGPUテストはコンピュート性能を、3DMarkは描画性能を測るもので、そもそも測っている対象が違います。とはいえ、それだけで説明がつくかは分かりません。ここは「ベンチマークによって結果が割れた」という以上のことは言えないと思います。少なくとも、GPUで大きな差をつけられているわけではなさそうです。

日常操作の指標であるPCMarkのWork 3.1は、Alpha2が「14944」、Pixel 11 Proが「16665」で差は11%ほど。AnTuTuの内訳を見ると、UXは「418411」対「368269」、メモリは「355741」対「260301」で、いずれもAlpha2が上回っていました。

▲AnTuTu(V11.1.5)の結果。総合ではPixel 11 Pro(右)が上ですが、MEMとUXはAlpha2(左)が上回っています

ひとつ断っておくと、同じ機種の同じテストでも、測る日が違うと10%前後は動きます。今回もAlpha2の3DMark Wild Life Extremeは、単発では3093、次のストレステストの最高ループでは3020という値でした。このため、10%前後は測定誤差の範囲とみなして、ほぼ互角と見ていいでしょう。

負荷が続いたときの落ち方

3DMark Wild Life Extremeを20回連続で回して、性能がどこまで落ちるかを見ました。

Wild Life Extreme Stress Testarrows Alpha2Pixel 11 ProGalaxy S26 Ultra
Best loop302033646862
Lowest loop196720933749
Stability65.1%62.2%54.6%
温度29℃→38℃29℃→43℃32℃→44℃
フレームレート8〜22fps9〜23fps15〜53fps

最高ループのスコアはAlpha2が「3020」、Pixel 11 Proが「3364」。ところが最低ループでは1967対2093まで差が縮まります。負荷が続くほど差が小さくなる方向です。

温度の上がり方には、はっきり違いが出ました。Alpha2は29℃から38℃で9℃の上昇。Pixel 11 Proは29℃から43℃で14℃、Galaxy S26 Ultraは32℃から44℃で12℃です。3台のなかではAlpha2がいちばん冷えていました。

Stabilityの数値はAlpha2が65.1%で最も高く出ていますが、これは最高ループに対する最低ループの比率なので、そもそも絶対性能が低いほど高く出やすい指標です。Galaxy S26 Ultraの54.6%は落差が大きいというだけで、落ちきったあとのスコアは「3749」とAlpha2の1.9倍あります。この数字だけで「Alpha2がいちばん安定している」とは言えません。

なお表のフレームレートはベンチマークの描画fpsで、ゲームのフレームレートではありません。

▲Alpha2(左)は4ループ目まで3000前後を保ってから落ちてフラットになり、Pixel 11 Pro(右)は1ループ目から下がり続けます。落ち方の形が違います

ゲームも試してみました

比較ではありませんが、試しに原神を30分ほどプレイしてみました。原神をやり込んでいるわけではないので、激しい戦闘になった時の追従性や、他機種と比べて動作がどうなのかなどは述べることができませんが、プレイした範囲ではカクツキなどを感じることもなく、普通にプレイできました。

▲原神のデフォルトのグラフィック設定は「中」でした
▲簡易ですが、ゲーム向けのメニューも用意されています。最大144Hzに対応

差がついたのはCPUだけだった

一通り測ってみて、はっきり差がついたのはCPUのシングルコアとマルチコアだけでした。GPUはベンチマークによって結果が割れ、AI処理は項目ごとに勝ち負けが分かれ、日常操作の指標は10%以内。発熱はむしろAlpha2のほうが小さいという結果です。

Alpha2はPixel 11 Proより7万9900円安い機種です(256GB構成での比較)。その価格差が、CPU以外の項目にはあまり表れませんでした。

FCNTは発表会で、ハイエンドはハードウェアのスペックだけでは定義できない段階に来ている、と説明していました。今回の結果は、少なくともベンチマークで測れる範囲では、その説明とそれほど矛盾しない内容だったと思います。ただ、これはあくまでベンチマークが測れる範囲の話です。

一方で、Galaxy S26 UltraはAnTuTu総合でAlpha2の2.2倍のスコアを出しています。ハイエンドとひとくくりにされる価格帯のなかにも、はっきり2段の差があるということかもしれません。

もうひとつ、性能の数字には表れない差があります。OSアップデートの期間です。Alpha2は最大3回・セキュリティ更新5年、Pixel 11 Proは7年。発表会では商品企画の担当者が、価格上昇で端末の利用期間が延びればアップデート期間もハイエンドの要素になり得る、と補足していました。その基準で見ると、この項目ではPixel 11 Proが上回ります。

まとめ:CPU性能を最優先しないなら

arrows Alpha2は、CPU性能では上位のハイエンド機に届いていないものの、それ以外の項目では価格差ほどの開きはありませんでした。

11万8800円(512GBモデル)という価格は決して安くはありません。ただ、17万円台のPixel 11 Proと日常操作でほとんど差が出ない性能を持ち、そのうえで1.8mの落下耐性とIP66/68/69、最大2TBのmicroSD対応が付いてきます。発熱が小さいのも、長く握っている端末としては効いてくるところではないでしょうか。

向いているのは、現場作業や水回りで端末を使う人、microSDでデータを持ち歩きたい人、そして10万円前後の予算で性能に妥協したくない人だと思います。

一方で、望遠カメラを使う人、ワイヤレス充電を日常的に使っている人、端末を5年以上使い続けたい人にとっては、検討すべきポイントがあります。特にOSアップデートが最大3回という点は、購入前に確認しておいたほうがよさそうです。

「手が届くハイエンド」という言葉をそのまま受け取れるかどうかは、どの項目を重視するかによって変わります。ただ、CPU性能を最優先しないのであれば、有力な選択肢のひとつだと言えそうです。ほとんどの人にとっては、「これで十分」という端末だと思います。

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