指輪型AIレコーダー「Vocci」日本上陸、9月30日からクラファン開始

当ブログの一部のリンクはアフィリエイトリンクです。これらのリンクから商品を購入された場合、当サイトは一定の報酬を得ることがあります。

シンガポールのGyges Labs(ジャイジス・ラボ)と国内販売代理店のフォーカルポイントは2026年9月25日、東京・六本木で発表会を開き、指輪型のAIデバイス「Vocci(ヴォッチ)」を日本で展開すると正式に発表しました。まず9月30日11時からGREEN FUNDINGでクラウドファンディングを始めます。希望小売価格は4万9990円で、クラウドファンディングでは2万9990円からの設定です。

両社の代理店契約は9月初めに発表されていましたが、その時点では国内価格や重量、料金プランは明らかになっていませんでした。今回の発表会で、これらの条件がひと通り出そろったかたちです。

ChatGPTやClaudeと連携する指輪型AIレコーダー「Vocci」が国内登場
フォーカルポイントは2026年9月1日、シンガポールのGyges Labs Pte. Ltd.と日本国内における販売代理店契約を締結したと発表しました。国内で扱うのは、Gyges Labsが2026年1月に発表した指輪型のAIデバイス「Vo…

健康計測ではなく「録音」に絞ったスマートリング

Vocciは、睡眠や心拍の計測を主目的とする一般的なスマートリングとは異なり、会話の記録に機能を絞った製品です。素材は航空宇宙グレードのチタンで、重量はサイズによって3〜5g。防塵防水はIP67に対応しており、指に着けたまま手を洗えます。カラーはLumen(シルバー)とMidnight(ブラック)の2色、サイズはUS規格の6〜15号が用意されています。

操作はリングのボタン1つで行います。人差し指に着けて親指で押す想定で、ダブルクリックで録音の開始と停止、録音中のシングルクリックで「ハイライト」(重要な場面へのマーク付け)、長押しで独自AIの「Vocci AI」を呼び出す仕組みです。

リング本体に64MBのストレージを内蔵しているため、録音そのものにスマートフォンは必要ありません。連続録音はリング単体で最大8時間。充電ケースはリングを3回フル充電でき、併用時は最大32時間使えるとしています。急速充電にも対応します。マイクは高感度のMEMSマイクで、集音範囲は最大5m。大人数の会議でも、離れた席の声まで拾えるとのことです。

文字起こし・要約から、MCPでChatGPTやClaudeへ

録音した音声はスマートフォンのアプリを経由してクラウドにアップロードされ、サーバー側で文字起こしと要約が行われます。100以上の言語に対応しており、日本語と英語が入り交じるような多言語の会話も文字起こしできるとのことです。

文字起こしの結果は「メモ」として保存され、概要、トピック、チャプター、キーポイント、ToDo、未解決事項、決定事項、過去の記録を踏まえた分析といった項目に自動で整理されます。複数の会話履歴を横断した検索や要約にも対応。Markdown形式でのエクスポートも可能です。

外部サービスとの連携では、GmailやOutlookのほか、MCP(Model Context Protocol)に対応するアプリと同期できます。ChatGPTやClaudeから、Vocciに蓄積した記録を参照させることも可能です。Gyges Labsはこの仕組みを、現実世界の文脈(コンテキスト)をAIにつなぐ「リアルワールド・コンテキスト・レイヤー」と位置づけています。

共同創業者兼COOのDomingo Deng氏は、AIはパソコンやチャット画面の中にとどまらず、日常の文脈を理解して必要なときに手助けする存在であるべきだと述べました。そのうえで、ウェアラブルAIこそがAIエージェントに欠けていたコンテキストを補うものになる、というのが同社の考えです。

▲Gyges Labs 共同創業者兼COO Domingo Deng氏

質疑応答では、要約の言語についての補足もありました。フォーカルポイントの田中氏によれば、要約には原則として会話の中で主に使われた言語が使われます。英語が主と判定された場合は英語で要約されますが、あとからVocci AIに日本語への翻訳を頼めば対応できるとのことです。Vocci AIの基盤モデルについては「オリジナルのAI」とするにとどまり、詳細は明かされませんでした。

料金プラン:無料のStarterと有料2プラン

Vocciはリング本体とは別に、文字起こしやAI機能の利用量に応じたサブスクリプションを用意しています。無料のStarterプランでも使えますが、文字起こしは300分(5時間)までです。有料プランはPlusとProの2種類があります。

プラン月額年額文字起こしクラウドストレージ
Starter無料―300分2GB
Plus3000円2万2000円未公表10GB
Pro6000円4万5000円未公表20GB

※プランごとに、文字起こし時間の上限、Vocci AIとの会話の上限、クラウドストレージ容量が異なる。Starterの300分が月あたりの上限かどうか、Plus/Proの文字起こし上限は発表会では示されていない。

質疑応答では、Proの月額6000円はサブスクリプションとして高めではないかという質問も出ました。これに対して田中氏は、競合他社と比べて高くはないとの認識を示しています。AIボイスレコーダー各社の料金体系は、以下の記事でも比較しています。

AIボイスレコーダーの選び方2026——タイプ別に比較・実機レビュー
生成AIの普及とともに、ここ数年でAIボイスレコーダーというジャンルが一気に広がりました。1〜2時間の会議も数分でテキスト化され、要約まで自動生成される。一昔前なら半日仕事だった文字起こしが、デバイス1つで完結する時代になっています。PLA…

プライバシー:録音はボタン操作時のみ

常に身に着ける録音デバイスだけに、発表会ではプライバシーへの説明にも時間が割かれました。フォーカルポイントの説明では、録音は利用者がボタンを押したときだけ始まり、勝手に記録されることはありません。データはローカルで暗号化され、クラウドへの同期も利用者が管理できます。自動同期を使うこともできますが、アプリが勝手にサーバーへアップロードしないよう止めることも可能です。

認証面では、Gyges LabsはGDPR(EU一般データ保護規則)への準拠をうたっています。SOC 2の認証は現在申請中で、2027年の取得を予定しているとのことです。Deng氏は、Vocciが録音中かどうかを常に利用者に示していることに触れ、日本の法律や慣習に沿った責任ある使い方を呼びかけていくとしました。

他の録音デバイスに対する強みを問われた田中氏が挙げたのは、指輪が相手からも見える位置にある点です。腕時計型のデバイスでは録音しているかどうかが相手に伝わりにくいのに対し、指輪なら握手の際などに相手が気づき、「今から録音してもいいですか」と一言断るきっかけになる、という説明でした。ただし、リング側に録音中であることを相手へ示す表示があるかどうかは、発表会では説明がありませんでした。実際の運用では、口頭で断ることが前提になりそうです。

Gyges Labsと、日本での展開体制

Gyges Labsはシンガポールに本社を置き、シリコンバレーにAI・ソフトウェアの開発拠点を持つ企業で、2022年に設立されました。社名はプラトンの『国家』に登場する「ギュゲスの指輪(GYGES・RING)」に由来し、「すべての人をスーパーヒーローに」をミッションに掲げています。

共同創業者は4人です。CEOのJY氏はスタンフォード大学で博士号を取得し、先端ディスプレイと半導体の分野で経験を積んだ人物で、東京大学で客員研究員を務めたこともあります。CPTO(最高プロダクト技術責任者)のFelix氏も同大学の博士課程を修了し、AppleではApple Vision Proの開発に携わりました。チーフサイエンティストのSiyuan氏はUCLAでコンピューターサイエンスの博士号を取得し、Googleでシニアリサーチサイエンティストを務めていました。COOのDeng氏は、コンシューマーエレクトロニクスのオペレーションやサプライチェーンに約20年携わり、これまでに1000万台以上のデバイスを市場に送り出してきたと自己紹介しています。

同社は、ディスプレイ内蔵スマートグラス「Halliday」に使われている光学技術「DigiWindow」も手がけています。質疑応答によると、HallidayはGyges Labsの顧客にあたるブランドで、同社はDigiWindowのコア技術を提供する立場です。Deng氏は今後について、リングやグラスに特化するのではなく、さまざまなフォームファクターの製品をフォーカルポイントやGREEN FUNDINGとともに日本へ届けたいと述べました。

Halliday AIグラスレビュー|グリーン単色ディスプレイとプロアクティブAI搭載の新型スマートグラス【Makuake先行販売中】【PR】
最近は各メーカーから様々なAR/XRやAIグラスが登場していますが、また1つ、新たなAIグラスが登場します。「Halliday AIグラス」が、Makuakeで先行予約販売を開始しました。価格は、初日限定32.1%オフの5万9790円から。…

販売モデルは米国と日本で異なります。米国ではD2C(直販)で市場に参入した一方、日本ではローカルパートナーを介するB2B2Cモデルを採ります。Deng氏はフォーカルポイントを選んだ理由として、37年にわたって日本市場で事業を続け、古い製品のサポートも継続している点を挙げました。

製品名の表記についても補足がありました。Vocciは「Voice(ボイス)」をマスコット的にもじった名前で、日本ではすでに「ボッチ」の表記で商標を取得しています。ただ今後は「ヴォッチ」の表記で展開し、この表記でもあらためて商標を取得する方針とのことです。

クラウドファンディングの内容

GREEN FUNDINGでのクラウドファンディングは9月30日11時に始まります。リターンにはリング本体とサイズ計測用のサイジングキットが含まれ、サイジングキットを先に送付。支援者が指のサイズを測ったうえで、あらためてリングのサイズを指定する流れです。

加えて、支援者全員に通常6000円のProプラン1カ月分が付きます。支援価格は2万9990円からで、フォーカルポイントはこれらを含めて「実質最大43%オフ」としています。

主な仕様

項目内容(仕様)
製品名Vocci(ヴォッチ)
タイプ指輪型AIレコーダー
素材チタン(航空宇宙グレード)
重量3〜5g(サイズにより異なる)
サイズUS規格6〜15号(内径16.5〜23.8mm)
カラーLumen(シルバー)、Midnight(ブラック)
防塵・防水IP67
マイクMEMSマイク×1
集音範囲最大5m
ストレージ64MB(リング本体)
連続録音リング単体で最大8時間(充電ケース併用で最大32時間)
充電ケースリングを3回フル充電可能、急速充電対応
対応言語101言語(133地域)
接続Bluetooth 5.4
対応OSiOS、Android
AI連携MCP対応(ChatGPT、Claudeなど)、Gmail、Outlook
保証購入から1年
希望小売価格4万9990円
クラウドファンディング2万9990円から(GREEN FUNDING、9月30日11時開始)

※仕様は発表会での説明と日本語公式サイトの公表値による。

ジャンルガイド

AIボイスレコーダーの選び方2026——タイプ別に比較・実機レビュー

タイプ別の違いと選び方を実機レビューを交えて整理しています。

タイトルとURLをコピーしました