
眼鏡市場を展開するメガネトップは9月24日、ブランド誕生20周年を記念した体験会「あなたが知らないメガネの世界」を開催し、スマートグラス「Linse(リンゼ)」の後継となるARグラス「Linse Display(リンゼ ディスプレイ)」のプロトタイプを初披露しました。価格は10万8182円(税別)の予定で、2026年10月23日からクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で先行予約を開始し、その後は全国の眼鏡市場店舗で販売する予定とのことです。
初代Linseに「表示」が加わったARグラス
Linseは、眼鏡市場が2026年2月に発売したカメラ付きスマートグラスです。撮影や耳元での音声アシスト、通話、音楽再生が主な機能でした。Linse Displayはこれらの機能を引き継ぎつつ、視界に文字や映像を表示できるARグラスへと進化しています。

製品名の「Linse」は、Luminous(明瞭で)、Interactive(双方向な)、Next-Gen(次世代の)、Smart(スマート)、Eyewear(アイウェア)の頭文字から取ったもので、今回はそこに表示機能を持つことを示す「Display」を加えたとのことです。

発表会で紹介された新機能は、翻訳、ナビゲーション、テレプロンプター(原稿表示)、文字起こしです。資料では、通知の確認やAIアシスタントも機能として挙げられていました。なお、掲載されている機能は現時点の予定で、今後のアップデートなどで追加・変更される場合があるとしています。

- 翻訳:相手が話した外国語をその場で翻訳し、レンズ上に表示します。デモでは英語と中国語を日本語に翻訳する様子が紹介されました。テンプルのタッチパッドをシングルタップすると表示・非表示を切り替えられます。
- ナビゲーション:徒歩や自転車での移動中に、進行方向や目的地までの距離、次に曲がる方向などを視界に表示します。電車での移動には現時点で対応していません。体験コーナーでの説明によると、専用アプリ内からGoogleマップを呼び出して使う仕組みとのことです。
- テレプロンプター:スマートフォンなどから取り込んだ原稿を視界に表示し、タッチパッドのタップやスワイプでページを送れます。画面下部には「1/3」のように現在のページと総ページ数が表示されます。
- カメラ:1200万画素のカメラをレンズの間に搭載し、自分の目線に近い視点で写真や動画を撮影できます。

両眼で見る表示、見え方は「1〜2m先に浮かぶ」感覚
ディスプレイは片眼ではなく両眼に表示する方式です。質疑応答では、表示はレンズ上にありますが、体感としては1〜2mほど先に文字が浮かんで見えるとの説明がありました。手元に焦点を合わせる必要がないため、老眼の人でも比較的楽に読めるのではないかとしています。
競合製品との違いを問われた際にも、同社は両眼表示で楽に見られる点を機能面での特徴として挙げていました。
「デバイスである前にメガネ」というこだわり
同社が特に力を入れたと話したのが、デバイスでありながらメガネとしてきちんと使えることです。鼻パッドはクリングス(パッドアーム)付きで、顔に合わせた細かなフィッティングが可能です。度付きレンズにはインナーフレームを使って対応します。

単焦点レンズで店舗に在庫があれば即日加工して渡せるほか、それ以外のレンズでも1週間程度で度付き対応の製品を提供できるとのことで、これを他社との違いとして説明していました。全国に店舗網を持つメガネ専門店ならではのポイントといえそうです。
プライバシーへの配慮として、初代Linseと同様に、カメラやマイクが動作しているときはフロントのLEDが点灯・点滅し、周囲に撮影中であることを知らせる仕組みを備えています。資料では「気づかれずに撮れる構造にしない設計」と表現されていました。

主な仕様(初代Linseとの比較)
| 項目 | Linse Display | Linse(Linse-01) |
|---|---|---|
| 価格(税別) | 10万8182円(予定) | 5万円 |
| 種類 | ARグラス | スマートグラス |
| 重量 | 約50g | 約45g |
| 鼻パッド調整 | ○(クリングス付き) | ○ |
| 度付き対応 | ○(インナーフレーム使用) | ○ |
| モダンの調整 | × | × |
| バッテリー(本体) | 200mAh | 173mAh |
| バッテリー(ケース) | 調整中 | 3000mAh(約10回充電可能) |
| ノイズキャンセリング | ○ | ○ |
| 防水 | なし | 本体のみ生活防水 |
| 無線通信 | Bluetooth/Wi-Fi | Bluetooth/Wi-Fi |
| カメラ | 1200万画素 | 1200万画素 |
| タッチパッド/音声操作/アプリ連携 | ○ | ○ |
※体験会で展示されたのは開発中のプロトタイプで、発売までに仕様が変更になる可能性があるとのことです。
眼鏡市場20周年、「視生活のトータルアドバイザー」として
眼鏡市場は2026年10月6日にブランド誕生20周年を迎えます。現在は全国で1000店舗以上を展開し、2024年度には国内のメガネ業界で初めて小売ベースの売上高が1000億円を突破。2011年度から15年連続で国内売上高業界1位を維持しているとのことです。

メガネトップ 商品開発グループ グループ長の早田氏は、この20年間一貫して大切にしてきたのは「お客様一人ひとりの視生活を支えるトータルアドバイザーであること」だと説明しました。見え方の快適さだけでなく、ファッション、価格や保証による安心、自社工場での一貫生産による品質、紫外線やデジタル環境といった目の健康への対応、そしてスマートグラスなどのテクノロジーまで、提供する価値を広げてきたとのことです。一方で、その中心にあるのはいつの時代も「人」による価値創出だとしています。

20周年の今年は、2月のLinse発売、3月のデザインレーベル「QRO」の展開、6月に発表した「一億総サングラス計画」と、新しい取り組みを続けてきました。体験会では歴代のプライベートブランド商品も展示され、商品開発部の担当者が「お客様の『もっとこうしてほしい』という声に耳を傾けながら試行錯誤を重ねてきた」と、開発の背景を紹介していました。
これからの取り組みとして強調されたのが、国内のものづくり基盤を守ることです。国内で販売されるメガネフレームの約95%は外国産とされ、鯖江市の眼鏡関連事業所数(従業員4人以上)も2003年の296から2023年には160へと、20年で45.9%減少しています。

同社はこれを業界の課題と捉え、鯖江の自社工場を全面リニューアルし、国内最大級の「新マザー工場」を建設中です。2027年7月の稼働開始を予定しており、レストランや体験コーナーを併設して一般の人も無料で見学できる施設にする計画とのことです。

同社はプレスリリースで、これまでメガネづくりで培ってきた掛け心地やデザイン、商品開発・販売の知見を新しいテクノロジーと掛け合わせ、より多くの人が日常的に使える次世代アイウェアの実現を目指すとしています。Linse Displayは、20年間の「メガネ屋としての知見」を新しい領域に広げる取り組みの一つとして位置付けられているようです。

