
Sonosのポータブルスピーカー「Sonos Play」が4月23日に発売されました。価格は4万9800円。最大24時間駆動のバッテリーとIP67の防塵・防水性能を備え、Wi-Fi接続時はSonosシステムの一員として、外ではBluetoothスピーカーとして使える1台です。
すでに3月の体験会レポートで主要機能には触れていますが、今回は実機を一定期間使って感じたことをお届けします。結論を先に言うと、低音の効きが想像以上に強く、特徴のひとつである「Automatic Trueplay」の効果は、個人的には少しつかみづらいという印象でした。

Sonos Playは「アウトドア用」というより「持ち歩ける」スピーカー
Sonos Playは、Sonosが「ホームサウンドシステムで最も汎用性の高いスピーカー」と位置付けるモデルです。サイズは192×113×77mm、重量は約1.3kg。Roam 2より大きく、Moveよりかなりコンパクトという、両者の中間にあたる立ち位置です。

ポータブルスピーカーというと屋外利用がイメージされがちですが、Sonos Playの設計思想はそれとは少し違います。付属の充電ベースに乗せて家の中の定位置で使いつつ、必要に応じて風呂場やベランダ、寝室、キッチンへ持ち運ぶ──そういう日常導線で使うことが想定されているようです。

実際、本体には取り外し可能なストラップが付いており、片手で気軽に持ち上げて移動できます。1.3kgという重さは、片手で長時間持ち歩くにはやや重く感じますが、家の中での移動程度であれば気になりません。

主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 寸法 | 192×113×77mm |
| 重量 | 約1.3kg |
| バッテリー駆動時間 | 最大24時間 |
| 防塵・防水 | IP67 |
| 無線 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.3 |
| カラー | ブラック、ホワイト |
| 価格 | 4万9800円(税込) |
音質:低音は強めで、中音域はやや控えめ
Sonos Playの音響構成は、角度のついたツイーター2基、ミッドウーファー1基、デュアル・フォースキャンセリング・パッシブラジエーター2基。3基のクラスHデジタルアンプで駆動します。
実際に何曲か聴いてみてまず感じたのは、低音の存在感がかなり強いということです。音量を絞った状態でも、曲によっては低音が体に伝わってきます。一方で中音域はやや控えめで、ボーカル曲では声が少しこもって聞こえる場面もありました。高音はそれなりに伸びがあり、いわゆるドンシャリというほど派手ではないものの、EQで例えるなら緩やかな谷型といった印象です。
使うシーンとの相性で言えば、ピアノ曲などをBGMとして流すぶんには低音が良い意味で空間を埋めてくれて心地よく聴けます。一方で、PCやスマートフォンに繋いでデスク上のスピーカーとして使うと、机がそれなりにしっかりした作りであっても、低音の振動が伝わってきて少し疲れるように感じました。本体の作りとしても、近い距離でじっくり聴くというより、距離を取って部屋全体に音を回す使い方が向いているスピーカーだと思います。
なお、Sonosアプリから低音・高音・ラウドネスを個別に調整できます。試しに低音を少し下げてみたところ、ボーカルのこもり感がやや改善されたので、標準の音作りが強すぎると感じた場合は、ここで自分の好みに寄せていく余地があります。

Automatic Trueplayの効果はつかみにくかった
Sonos Playの特徴的な機能のひとつが「Automatic Trueplay」です。本体マイクで周囲の反響を検知し、置き場所に応じてリアルタイムで音を補正していくという仕組みで、従来のように都度キャリブレーションを走らせる必要はありません。
実際に設置場所を机の上、棚の上、テーブルの中央、壁際などに変えながら同じ曲を聴き比べてみたのですが、正直なところ「明らかに違う」と言えるほどの変化は感じ取れませんでした。
もっとも、これは私が違いを聞き分けられるほど音楽に精通していないからかもしれず、耳の良い人なら別の感想になる可能性は十分あります。また、効いていないというより、効いているからこそ「どこに置いても破綻しない」状態が維持されている、という見方もできるでしょう。実際、置き場所をかなり雑に変えても音のバランスが大きく崩れる場面はなく、その意味では機能しているのだと思います。
なお、マイクは本体背面のスイッチで物理的に電源を切れます。プライバシーが気になる場合でも、ハードウェアレベルで遮断できるのは安心材料です。

Sonosシステムの一員としての強み
単体でも十分に実用的なSonos Playですが、その真価が出てくるのは、Sonosシステムの中に組み込んだときでしょう。
Wi-Fi接続時は、家にある他のSonosスピーカーとグループ再生したり、2台でステレオペアを組んだりできます(今回は1台のみのレビューのため、ステレオペア時の音質は未検証)。再生ソースもSonosアプリ、Spotify Connect、Apple AirPlay 2、Bluetoothと幅広く、再生手段の自由度は高いです。Sonosアプリ自体もAmazon MusicやYouTube Musicといった主要なストリーミングサービスに対応しており、複数のサブスクを横断して使う場合でもアプリを切り替えずに済みます。

音声アシスタントとしては、Sonos Voice ControlとAmazon Alexaに対応しています。ただしSonos Voice Controlの言語対応は英語とフランス語のみのため、日本語環境では実質的にAlexaを使うことになりそうです。Sonosアプリから設定を行えば、本体に話しかけて再生コントロールができ、遠距離対応のマイクアレイにより少し離れた場所からの操作にも応答します。音声アシスタントを使わない場合は、前述の背面マイクスイッチでマイクを物理的に切っておくこともできます。

充電ベースが生む「常時待機」の快適さ
充電ベースの存在も地味に効いてきます。使い終わったらベースに戻すだけで自動的に充電されつつ、Sonosアプリから即座に再生開始できる「常時待機」状態が保たれます。ポータブル機にありがちな「使うたびに電源を入れる、Bluetoothを繋ぎ直す」という手間がなく、据え置きスピーカーに近い感覚で扱えるのは想像以上に快適でした。
複数のスマートフォンを使っている場合、いちいちBluetoothのペアリングを行う必要がなく、Sonosアプリさえインストールしておけば、同じネットワークに繋がっているどの端末からでも操作できるのも魅力です。
外出先でのグループ再生
外出先での使い方としては、Bluetooth接続時のグループ再生も用意されています。スマートフォンとSonos Playをペアリングし、Play/Pauseボタンを長押しすることで最大4台まで同期再生が可能。AuracastではなくSonos独自のPeer-to-Peer方式とのことで、複数台を持ち寄ったときの選択肢として機能します。
まとめ:すでにSonosを使っている人、これから始める人に向く1台
Sonos Playは1台だけでも、Sonosアプリを介したネットワークスピーカーとして十分に機能します。Spotify ConnectやAirPlay 2、Amazon MusicやYouTube Musicといった主要サービスへの広い対応、そして充電ベースに戻すだけで「いつでも再生できる」状態を保てる手軽さは、単体で見ても一般的なポータブルBluetoothスピーカーとは少し違う価値があります。
そのうえでSonosシステムの中に組み込み、家の中で音を持ち運んだり、他のSonosスピーカーと家中で同期させたりという使い方をすれば、その魅力はさらに広がります。
すでにSonosユーザーで「もう1台」を考えている人、これからマルチルーム環境を整えていきたい人にとって、最初の1台にもなり得る汎用性の高いモデルだと思います。一方で、純粋に屋外で音楽を鳴らしたいだけなら、もっと安い選択肢はあります。
低音強めのチューニングと、個人的には効果をつかみにくかったAutomatic Trueplay。多少のクセはありますが、Sonosの「ホームサウンドシステムをそのまま外へ持ち出す」という思想が、ポータブルという形でよくまとまった1台だと感じました。
