
最近、AIを搭載したスマートグラスが続々と登場してきました。中でも注目を集めているのが、ディスプレイを内蔵したタイプ。Ray-Ban MetaのようにAIとカメラだけを搭載したモデルもありますが、ディスプレイがあることでAIの回答やナビゲーションを目の前に表示でき、活用の幅が格段に広がります。
現在Makuakeで先行予約販売中の「Rokid スマートAIグラス」も、そんなディスプレイ搭載モデルの1つです。ディスプレイに加えて1200万画素のカメラも備えており、写真や動画のハンズフリー撮影はもちろん、目の前にあるものをAIに質問することもできます。一般販売予定価格は10万9890円(税込)で、Makuakeでは執筆時点で8万9990円(税込)からの先行価格で購入可能です。
今回、レビュー用にお借りしたのでカメラとディスプレイ周りを中心にチェックしてみました。
軽量ボディに機能を凝縮。度付きレンズにも対応
まずは外観と基本仕様の確認から。本体重量は約49gで、一般的なメガネと比べるとやや重いものの、長時間かけていても大きな負担は感じません。フレームにはアルミニウム・マグネシウム合金を採用し、質感も悪くありません。

プロセッサはQualcomm Snapdragon AR1 Gen 1を搭載。音声処理用に別途NXP RT600も内蔵しており、右側のテンプル(つる)にこれらの基板が収められています。メモリは2GB、ストレージは32GBです。

レンズ部分に度は入っておらず、度付きレンズが必要な場合は別売りのクリップオン式フレームを使います。マグネットで着脱できる仕組みで、ディスプレイ搭載スマートグラスでは度付きレンズの対応が難しいケースが多いのですが、この方式なら比較的簡単にレンズを作成可能。ARグラス、スマートグラス界隈で有名な「JUN GINZA」でも度付きレンズの作成が可能です。

ディスプレイは緑の単色表示で、解像度は640×480ドット、最大輝度1500nit、視野角は30度。カラー表示ではないため写真や映像の表示には向きません(というかできません)が、テキスト情報の表示には十分です。実際に使ってみると、輝度を上げると明るい屋外でもしっかり読み取れるくらい見やすく、単色ならではのコントラストの高さが活きています。

操作は右側テンプルのタッチパッドで行います。前後のスワイプやタップで項目の選択や決定、戻るといった操作ができ、慣れてしまえば直感的です。左右のテンプルにはスピーカーも内蔵されており、4基のマイクと合わせて音声操作や通話にも対応します。

バッテリー容量は210mAhで、通常使用で8〜10時間、音楽再生で5〜6時間、連続動画撮影は約30〜45分(ただし、動画撮影自体は最長10分)。丸一日AI機能をフル活用するにはやや心もとないですが、別売りのバッテリーカプセル(1700mAh)を右側モダン(つるの先端)に取り付けることで駆動時間を延長できます。

カメラは1200万画素。見たままを記録できるFPV視点が魅力
本体の左側フレーム上部にカメラを搭載しています。1200万画素のSony製センサーにレンズ画角109度の広角仕様で、自分の視点そのままのFPV(一人称視点)映像を撮影できるのが大きな特徴です。

静止画の撮影はなかなか優秀で、暗所でもHDR処理によって比較的きれいに撮れます。アスペクト比は専用アプリから変更でき、デフォルトの3:4(縦向き)のほか、9:16、4:3にも対応します。

ただし、カメラがメガネの左端に付いている点には注意が必要です。視線の中心を狙っても、撮影された写真では被写体がやや右寄りに写ることになります。手元の料理やテーブル上のものを撮ろうとすると、意図したものが中心から外れてしまうことがあります。何度か撮ってコツを掴む必要がありますが、慣れれば大きな問題ではありません。

動画撮影は最大4K対応。歩きながらの撮影ではやや手ぶれが気になりますが、普段使いには十分な画質です。一方で、屋外での撮影では風切り音が入りやすい点は要注意。マイクにノイズリダクション機能はあるものの、風の強い日はそれなりに影響を受けます。音声をきれいに残したい場合は、風の当たりにくい場所で撮影するなどの工夫が必要です。
AIアシスタントと翻訳機能
Rokid スマートAIグラスのAI機能は、ChatGPTとGeminiに対応しており、専用アプリから使用するAIを選択できます。
「Hi Rokid」と話しかけるとAIアシスタントが起動します。「これは何?」と聞けば、カメラに映っているものを認識し、文字と音声の両方で解説してくれます。料理や建物、看板など、対象を問わず幅広く対応してくれるのは便利です。「撮影して」と言えば写真撮影も可能で、ハンズフリーでの操作がスムーズに行えます。

リアルタイム翻訳機能は89以上の言語に対応し、主要6言語(日本語・英語・中国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語)はオフラインでも利用可能。翻訳結果はディスプレイに字幕として表示されます。
実際に翻訳機能を試してみましたが、これはなかなか便利です。相手の発言がリアルタイムで目の前に表示されるので、内容を把握しやすいです。ただ、字幕の表示に集中してしまうと、どうしても相手から視線がずれてしまいます。1対1で対面して話しているときには、やや使いづらいかもしれません。翻訳は会議やセミナーなど、正面を向いていなくても不自然にならない場面のほうが向いているでしょう。

また、翻訳機能はバッテリー消費が大きい点も気になりました。使用中、およそ1分で約1%のバッテリーを消費するペースだったので、フル充電でも100分程度しかもちません。長時間の利用にはバッテリーカプセルの併用が必須と言えそうです。

ナビやテレプロンプターなど、多彩な機能
AI機能以外にも、実用的な機能が揃っています。
Googleマップと連携するARナビゲーション機能では、目的地までのルートをディスプレイに表示できます。歩きながらスマートフォンに目を落とす必要がなく、視線を前方に保ったまま移動できるのは、安全面でもメリットがあります。

テレプロンプター機能は、発表原稿やキーワードをレンズ内に表示するもの。プレゼンや撮影の際に、聴衆やカメラと目線を合わせながら内容を確認できます。
ほかにも、アイデアを音声で記録できるメモ機能や、会議の音声をワンクリックでテキスト化し要約を生成するレコーダー機能、スマートフォンの通知をレンズに表示する機能など、ビジネスシーンで活躍しそうな機能が充実しています。
なお、2027年3月まではフル機能を無料で利用できますが、それ以降は、オンライン翻訳やAI音声文字起こし、Googleナビゲーションの一部機能はポイント消費制で、無料枠を超える利用には追加購入やサブスクリプションが必要になるとのことです。

まとめ:実用性は想像以上。ただし”常用”には課題も
ディスプレイ搭載のAIスマートグラスと聞くと、まだ実験的なガジェットという印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、実際に使ってみると、ディスプレイ機能は想像以上に実用的。翻訳やナビの情報が視界に直接表示されるのは、スマートフォンを取り出す動作がなくなるだけでも体験として大きな違いがあります。
カメラも、両手がフリーの状態で自分の目線のまま撮影できるのは便利です。料理中の手元やアウトドアでの風景など、スマートフォンを構えにくいシーンでは使いやすさがあります。
一方で、カメラを内蔵している以上、公共の場での扱いには気を使います。本人にその気がなくても、公共の場で盗撮を疑われるリスクも否定はできません。これは日本に限った話ではなく、海外でもスマートグラスによる無断撮影やプライバシー面の懸念が報じられています。
現実的には、常時着用というよりも、必要な場面で装着して使うスタイルになるでしょう。キャンプやバーベキュー、顔見知りの集まりなど、撮影が自然に受け入れられるシーンでは特に楽しく使えそうです。発表会などのイベントやプレゼン時のテレプロンプターなど、用途が合えば、非常に使い勝手がいいデバイスだと感じました。

