
生成AIの普及とともに、一気に種類が増えてきたAIボイスレコーダー。録音してAIで文字起こし・要約してくれるという基本機能はどの製品もよく似ていますが、最近はメーカーごとに差別化の方向性が分かれてきた印象があります。
そんな中、新たに登場した「Comulytic Note Pro(コミュリティック ノートプロ)」は、基本機能(文字起こし・要約)が生涯無料という料金モデルを打ち出した製品です。米国カリフォルニアに本社を置くComulyticの製品で、日本では株式会社YScopeが代理店として、2026年4月2日からAmazonで販売を開始しました。価格は3万円(税込)。約2か月使ってみたので、その使用感をお伝えします。
カード型AIボイスレコーダー「Comulytic Note Pro」
Comulytic Note Proは、薄型のカードサイズAIボイスレコーダー。サイズは約3(厚さ)×52(幅)×86(高さ)mm、重さは27.6g。Plaud Note Proが厚さ約3mm・重量30gなので、本機のほうがわずかに軽い計算ですが、手に取った感覚では実用上の差をほぼ感じません。

カラーバリエーションはブラック、シルバー、オレンジの3色展開。シルバーとブラックは他社にもよく見るカラーですが、オレンジを用意しているのが特徴的。iPhone 17シリーズにも合いそうな色ですが、残念ながら専用ケースはブラックのみとなっています。また、執筆時点でオレンジの取り扱いはないようです。ちなみにシルバーは、Amazonでは「ギンイロ」と表現されています。

本体はマット仕上げ。ひんやりとした金属感と、サラッとした表面の質感が上質な印象を与えます。
スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| サイズ | 約3 × 52 × 86 mm |
| 重量 | 27.6g |
| マイク | MEMSマイク×2、VPU×1 |
| ディスプレイ | 0.78インチ(解像度128×80) |
| 接続 | BLE / Wi-Fi |
| バッテリー | 3.7V / 400mAh |
| 連続録音時間 | 最大45時間 |
| 充電時間 | 約1.5時間 |
| 待機時間 | 最大107日 |
| ストレージ | 64GB(内蔵) |
| 対応言語 | 113言語 |
| 価格 | 3万円(税込) |
連続録音45時間、待機107日というバッテリー性能なら、普段使いで「充電を忘れていて録れなかった」という事故は起きにくいでしょう。

同梱物は、本体、マグネットケース、マグネットリング×2、専用充電ケーブル(USB-A〜マグネット式)、USB-A to Cアダプター、クイックスタートガイドという内容です。

スマホ背面に貼り付け可能
他のカード型AIレコーダーと同様、専用のマグネットケースを介してスマートフォンの背面に装着できます。ただし、Galaxy系のスマートフォンの背面にはカメラ部が邪魔で貼り付けられないという制約は他社製品と同じです。

本体表面には0.78インチ(128×80)のディスプレイが搭載され、カバーガラスにはCorning Gorilla Glassを採用しています。Plaud Note Proが0.95インチAMOLEDを採用するのに対し、本機のディスプレイ方式は非公表(おそらく液晶)ですが、サイズ・解像度ともにやや控えめ。とはいえ、録音状態の確認用としては必要十分です。
録音中は経過時間が表示されますが、しばらくすると表示が消えてしまいます。ただ、これはアプリから常時表示にすることも可能です。録音しているつもりが実は止まっていた、という失敗を防ぐためには、常時表示がおすすめです。

録音性能とマイク構成
マイク構成はMEMSマイクが2基と、VPU(Voice Processing Unit)が1基。Plaud Note Proの4マイク構成と比べるとシンプルですが、メーカーによれば、VPUによる音声処理とAIノイズキャンセリングを組み合わせることで、室内であれば最大5mまでクリアに集音できるとのことです。
特徴的なのは、AIが自動でシーンを判別する「AI Adaptive Recording」を搭載している点です。電話、オンライン会議、対面会議のいずれでも、ユーザーが録音モードを切り替える必要はなく、ワンボタンで録音を開始するだけ。仕様の説明を読む限り、デバイス側のマイク集音動作自体は共通で、録音後のAI処理側で会話の状況に応じた最適化を行う仕組みと考えられます。

アプリと文字起こし機能
専用アプリ「Comulytic」と連携して、録音データの転送・文字起こし・要約を行います。文字起こしは113言語に対応。接続はBLEとWiFiの両対応で、WiFi経由ではBluetoothの最大10倍の速度で転送でき、クラウドへのリアルタイムバックアップも可能です。
メーカーは文字起こし精度について「最大98%」をうたっていますが、これは音声品質や話者の話し方に左右されるところでもあるので、参考程度に捉えるのが無難でしょう。文字起こしにはWhisper、要約にはGPT-5.2やGemini 2.5などが使われているとのことですが、要約時のモデルをユーザーが選ぶことはできません。
なお、ユーザーのプロファイルで職業を選択しておくと、その分野に応じた専門用語辞書により文字起こしや要約の精度が向上するとのことです。ただし、ユーザー側でカスタマイズできる辞書機能は搭載していません。

文字起こしは、話者識別機能により「話者_001」「話者_002」といった形で発言者ごとに区別されます。

実際に使った感想ですが、文字起こしの精度については正直、他社製品と横並びという印象です。ただ、日本語話者と英語話者が混ざった場合でも、それぞれの言語で問題なく文字起こしが行えたのは好ポイント。若干、同じ話者が連続して話している場面でも、発言が頻繁に区切られる傾向があり、読み返す際にやや煩わしさを感じる場面はあります。ただし、内容の理解に支障が出るほどではありません。
データの同期はスマートフォンとしか行えませんが、クラウドバックアップを有効にしていれば、Web上(web.comulytic.ai)からも操作できます。
最大の差別化ポイント:基本機能が生涯無料
Comulytic Note Proの大きな特徴が、料金体系です。
多くのAIボイスレコーダーは、本体購入後にAIによる文字起こしや要約を使うために、月額数百円〜数千円程度のサブスクリプションが必要です。たとえばPlaudは無料枠が月300分までで、それを超えると有料プランへの加入が必要になります。
これに対しComulytic Note Proは、基本的な文字起こしと会議要約機能を生涯無料で使えます。生涯無料の「スタータープラン」で使えるのは、無制限の文字起こし、基本的な要約、コンタクト管理機能。さらに高度分析が月3回、インサイト要約が月10回、AIへの質問が月10回までは、スタータープランの枠内でも試せます。
それ以上の上位機能(無制限の高度分析、AI質問の無制限利用、360°顧客分析、適応型要約テンプレートなど)は、有料の「プレミアムプラン」に含まれます。価格は月額2980円(月払い)、または年払いで月額1733円相当。本機購入後、2026年6月2日までにアクティベートすれば、プレミアムプランを90日間無料で試せる早期購入特典も付いています。

まとめ
基本機能が生涯無料という料金体系は、長く使うほど効いてくる強みです。サブスクの月額負担を避けたい人、複数のAIサービスのサブスクが積み重なって悩ましいという人にとって、本機は十分に検討する価値があります。
テンプレートを自身の業務に合わせて細かくカスタマイズしたい場合はPlaud Note Proのほうが向きますが、「とにかく会議を録音して、文字起こしと要約だけ使えればいい」というシンプルな用途であれば、Comulytic Note Proで十分でしょう。
