
ネスレ日本は2026年8月25日、コーヒーメーカー「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ kotone(コトネ)」を発表しました。発売日は2026年10月1日で、価格は2万2000円(税込)。カラーはプレミアムブラック、プレミアムホワイト、クールグレーの3色展開です。先行予約は発表と同じ8月25日から始まっており、販売はAmazonや楽天市場などの通販サイトと、全国の家電量販店で行われます。
「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」は2009年に発売されたシリーズで、累計出荷台数は約680万台(ネスレ日本調べ、2025年12月末時点)。前モデルの「バリスタ スリム」から3年ぶりの新機種にあたります。デザインはプロダクトデザイナーの深澤直人氏が手がけ、専用アプリはチームラボが開発しました。


シリーズ史上最もスリム。赤いバリスタからの方向転換
本体サイズは幅約10.8×高さ約35.0×奥行き約30.7cm、重量は2.9kg。ネスレ日本の説明では、シリーズ史上最もスリムなサイズだといいます。幅を10cm台に抑えたことで、キッチンやリビングの限られたスペースにも置きやすくなった、という位置づけです。

デザインの方向性については、深澤氏が発表会のトークセッションで背景を説明していました。従来のバリスタは、まず製品として認知されることが必要だったため、ネスカフェのロゴにあるアクサンマーク(フランス語のアクセント記号)をモチーフにした赤を中心に据えたデザインを続けてきたとのこと。認知が広がった今は、生活空間に置いても違和感のない形にしたほうがよいのではないか、という判断があったと話しています。

ネスレ日本 飲料事業本部 レギュラーソリュブルコーヒービジネス部長の吉永祐太氏からも、赤い本体には「可愛い」「職場でもどこにあるかわかる」といった声があった一方、近年は暮らしに馴染むものを求める声が増えてきたそうです。

静音化と、付け替えられるコーヒータンク
今回の変更点として説明されたのは、デザインのほかに静音性、サイズ、お手入れの3点です。吉永氏によれば、これらは既存ユーザーから寄せられていた要望に対応したものだといいます。特に音については、朝や夜に使うと家族や子どもが起きてしまう、という声があったとのことでした。
抽出音はシリーズ史上最も静かな設計としており、従来モデルに比べて静音化したとしています。会場では実際の動作音も確認できましたが、無音とは言えませんが、従来製品と比べると半分程度の音に抑えられていた印象です。
もうひとつの変更点が、コーヒータンクの付け替えです。従来は一度粉を入れると、なくなるまで同じ味を使い続ける形でしたが、kotoneではタンクごと交換できます。夜はカフェインレスにする、といった使い分けが想定されているとのこと。付け替え用の「コーヒータンク」は別売で、価格は3300円(税込)、発売日は本体と同じ10月1日です。

お手入れは、トレイと撹拌部を取り外して水洗いするほか、本体はふき取りのみ。抽出後の後片付けは不要としています。
ボタンを押すだけ、お湯だけも出せる
発表会では実機のデモが行われました。手順は、本体に水タンク(容量660ml)をセットし、コーヒータンクにネスカフェ ゴールドブレンドを充填してから、メニューボタンを押すというもの。電源を入れてから抽出できる状態になるまでは、20〜30秒程度とのこと。

抽出メニューはブラック系が3種類とカフェラテ、それに加えてスティックコーヒーなどに使えるお湯のみのボタンを備えます。アイスコーヒーを作る場合は、あらかじめカップに氷を入れたうえで、濃いめに出るメニューを選ぶ形です。ラテやアイスメニューには、別途クリーミングパウダーや氷が必要になります。ポンプ圧力は最大15気圧で、表面には「クレマ」と呼ばれる細かい泡ができ、これが香りを閉じ込めるという説明もありました。
「kotone」という名前は、琴の音から
製品名の由来は、質疑応答で吉永氏から説明がありました。バリスタは日本で開発・発売され、日本の住まいやライフスタイルに合わせて作られてきた経緯があるため、新モデルでも日本の名前を想起させるものがよいのではないか、という話になったとのこと。そこから、抽出時にコーヒーが落ちる音も含めて、日本の楽器である琴の音がコンセプトにふさわしいと考え、「琴音(kotone)」という名前になったそうです。
アプリ「NESCAFÉ」はチームラボが開発
本体と同じ10月1日には、専用アプリ「NESCAFÉ(ネスカフェ)」が公開されます。開発を担当したのはチームラボです。
アプリでは、コーヒーの濃さやお湯の量を細かく調整できるほか、抽出のおすすめやカスタマイズ、マシンの状態確認、メンテナンスのサポートといった機能が用意されます。ミッションをクリアするとポイントが貯まる仕組みもあるとのこと。対応機種はkotoneと前モデルの「スリム」です。
チームラボの堺大輔氏は、まず確実に動くことや止められることを土台に置いたうえで、その上にブランドの世界観を載せたと説明していました。アプリを開くと森を思わせる世界が広がり、パートナーとなるキャラクターが登場する。飲み方や回数によってその世界が変化していく、という作りだそうです。提供したかったのは機能そのものではなく、「飲んでよかった」「ほっとした」という瞬間を増やすことだとしています。

吉永氏は、このアプリを将来的にはコーヒーメーカー以外のネスカフェ製品にも広げたい考えを示していました。
主なスペック
| 項目 | 内容(仕様) |
|---|---|
| 製品名 | ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ kotone(コトネ) |
| 本体サイズ | 幅約10.8×高さ約35.0×奥行き約30.7cm |
| 本体重量 | 2.9kg |
| 水タンク容量 | 660ml |
| ポンプ圧力 | 最大15気圧 |
| 抽出メニュー | ブラック/ラテ/アイスメニュー/お湯 |
| 電源 | 100V 50/60Hz |
| 定格消費電力 | 1460W |
| 使用環境温度 | 5℃〜35℃ |
| 専用アプリ | NESCAFÉ(2026年10月1日公開予定、スリムにも対応) |
| カラー | プレミアムブラック/プレミアムホワイト/クールグレー |
| 価格 | 2万2000円(税込) |
| 発売日 | 2026年10月1日 |
※付け替え用「コーヒータンク」は別売で3300円(税込)、発売日は同じく2026年10月1日です。
2万円台の本体価格をどう見るか
質疑応答では、既存ユーザーの買い替えと新規ユーザーのどちらを狙うのかという質問が出ました。吉永氏の回答は両方というもので、長く使っている人からの買い替え需要と、新しい価値に反応する新規層の双方を見ているとのことです。サブスクリプションについては、コーヒーの定期便というモデルを引き続き提供していく、という回答でした。
本体価格が2万円台になることについては、カフェで1杯300〜400円のコーヒーを毎日飲む場合、50回程度で本体価格に相当するという説明がありました。吉永氏は発表会の冒頭で、バリスタで淹れた場合のコストを1杯20〜25円としています。
まとめ
kotoneの変更点は、デザイン、静音性、スリム化、コーヒータンクの付け替えの4つに整理できます。抽出の仕組みが変わったという説明はなく、ワンタッチでクレマのある一杯を淹れるという基本は据え置きです。そのうえで、赤を基調にした「目立つ家電」から、リビングに置いても浮かない形へ振り直した点が、今回の一番大きな変化だと感じました。深澤氏が話していた「キッチンツールではなくダイニングで使うマシン」という捉え方は、静音化やスリム化とも一貫しています。
トークセッションの終盤では、AIの話も出ていました。深澤氏は「これもコーヒーを淹れるロボットですよ」と言うと受け取られ方が変わってしまうとしつつ、機能的にはそうした方向も十分に考えられると話しています。堺氏はこれを受けて、AIで機能はいくらでも作れるものの、最後に残るのは「美味しかった」「楽しかった」という価値ではないか、という見方を示していました。
吉永氏は別の場面で、コーヒーの嗜好は濃さ、酸味、苦さといった要素の組み合わせであり、その変化に製品開発のサイクルで追いつくのは難しいけれど、アプリなら速く届けられる、と説明しています。
この2つを重ねると、その日の体調や気分に応じて濃さや酸味を調整してくれるという使い方も、この先はありうるのかもしれません。もちろん、今回のkotoneにその機能があるわけではありませんし、発表会でそこまで具体的に語られたわけでもありませんが、コーヒーメーカーが進む未来の姿としてはあり得そうです。

