
谷村実業は2026年7月29日11時から、米カリフォルニア発のブランド「Brezi(ブレジー)」の「Brezi 自動コールドブリューコーヒーマシン(低温抽出機)」を、応援購入サービス「Makuake」で先行販売します。一般販売価格は9万9800円(税込)。Makuakeでは、執筆時点で7万1800円からとなっています。カラーはオブシディアン・ブラックとシルバー・ホワイトの2色展開です。
Breziは2023年に設立されたブランドで、2024年にKickstarterで資金調達を実施した後、米国や中国、タイなどで販売されてきました。累計販売台数は約1万2000台で、米国での販売価格は399ドル。iF DESIGN AWARD 2025のキッチン家電部門も受賞しています。今回、谷村実業が日本総代理店となり、同社の自社ブランド「T-WONDER」の企画として日本に上陸する形です。
7月22日にメディア向けの体験会が開かれ、私も招待いただいたので、その場で見聞きしたことと、試飲した印象をまとめます。
水出しコーヒーの面倒なところ
コールドブリューは、熱を加えずに水で抽出する方式のコーヒーです。日本では水出しコーヒーと呼ばれることが多いです。低温で抽出するため苦味や渋味のもとになる成分が溶け出しにくく、まろやかな味わいになるとのこと。

ただ、時間がかかります。一般的な器具では8〜12時間。前の晩に仕込んで翌朝に飲む、という運用になるので、飲みたいと思ったときに作れません。
また、粉を水に漬けておくだけの方式だと、抽出ムラや水っぽさが出やすく、同じ豆でも仕上がりが揃いにくいという目デメリットがあります。

一方、市販のアイスコーヒーやカフェで出てくるアイスコーヒーは、お湯で抽出してから氷で冷やす方式が中心です。コクはしっかり出るのですが、個人的には、淹れた直後は立っていた香りが、冷えて薄まる過程で弱まってしまうと感じます。
5分で出せる仕組み
Breziは、低温抽出のまま時間を短縮したマシンです。抽出は3つの工程に分かれています。

1つ目はブルーミング(蒸らし)。抽出を始める前に、コーヒー粉を55℃で蒸らします。旨味とコクを引き出しつつ、苦味を出しすぎない温度だという説明でした。蒸らしの温度は豆の量や焙煎度、抽出モードによって変わります。
2つ目が5℃での低温抽出。蒸らしを終えた粉に、5℃の水を流して抽出します。氷で薄める工程がないので、抽出したものがそのまま飲める濃度で出てきます。

3つ目が精密抽出です。一定の水流と速度で、一滴ずつ落としていきます。水流の太さ・高さ・スピードの3要素がコーヒーの味を左右する、というのがメーカー側の説明で、そこを機械で固定することで味を安定させる狙いだそうです。

冷却には半導体(ペルチェ素子)を使っています。冷蔵庫や業務用サーバーのような大型コンプレッサーを使わずに冷却系をまとめた点が開発上の課題だった、と創業者のジャクソン・ホン氏は説明していました。同氏はカリフォルニア大学バークレー校で機械工学の学士と修士を取得し、シリコンバレーの半導体企業でエンジニアを務めた経歴の持ち主です。

消費電力は最大120W。ペルチェ素子は冷却する側と反対の面が熱を持つので本体が温かくなるかと思っていたのですが、抽出中に触れても発熱はほとんど感じませんでした。なお、抽出方式については国際特許を出願中とのことです。
「最短5分」はどのモードの話か
抽出モードは5つ。所要時間は次のとおりです。
| モード | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| レギュラー | すっきり飲みやすい定番 | 10〜11分 |
| コンセントレート(濃縮) | エスプレッソのような濃厚さ。ミルク割り向け | 約5分 |
| スロードリップ | 専門店寄りの味わい | 粉18gで53分、16gで47分 |
| ティー | 粉茶・粉末茶向け | ─ |
| カスタム | 各項目を自分で設定 | ─ |
「最短5分」の5分は、コンセントレートモードの数字です。定番のレギュラーは10〜11分かかります。
スロードリップはさらに時間がかかり、粉18gで53分、16gで47分。時間は粉の量で決まり、浅煎りか深煎りかでは変わらないそうです。8〜12時間と比べれば大幅に短いのは確かですが、専門店寄りの味を狙うなら、朝の身支度中に終わるという話ではありません。
カスタムモードでは、ブルーミングの比率・温度・水流、抽出温度、抽出水流、粉と水の全体比率をそれぞれ設定でき、最大10プロファイルまで保存できます。プリセットだけで完結させることもできるし、詰めたい人は全部いじれる。この二段構えは良い設計だと感じました。

幅9cm、そしてほとんど無音
本体サイズは高さ25.8×幅9.0×奥行き28.8cm、質量は2.3kg。水タンクの容量は1000mLです。筐体はアルミニウム、ドリッパー部はステンレスを採用しています。
外観はかなりスタイリッシュです。金属の質感とダイヤルの操作感があり、家電というより道具に近い印象を受けました。幅9cmは確かに細いのですが、奥行きは28.8cmあるので、奥行きの浅い場所だと置き場所は選ぶかもしれません。

動作音については、会場で説明が続いている間もずっと抽出していたのですが、ほとんど音がしませんでした。話し声にかき消されるレベルで、言われるまで動いていることに気付かないほどです。早朝に回しても問題になりにくそうです。
操作はアプリ不要で、水を入れる、コーヒー粉をセットする、モードをタッチする、の3ステップ。ドリッパーはマグネット式で、外してお湯ですすぐだけです。なお、紙フィルターは必要ですが、市販のものが使えるとのことでした。

試飲して感じた、香りの残り方
体験会で試飲したのは、下北沢と日本橋三越本店に店を構える「Belleville Brûlerie TOKYO」の豆です。浅煎りと深煎りの2種類をいただきました。

はっきり違うと感じたのは香りです。先ほど書いたとおり、アイスコーヒーはコクなどの味わいは出るものの、香りが飛んでしまうと感じることが多くありました。水出しも、8〜12時間かけて抽出する間に香気成分が抜けていくので、事情は似ています。その点、Breziで淹れたコールドブリューは香りが残っていて、そこが一番の魅力だと感じました。数分から数十分で抽出を終える設計なので、香りが抜ける時間そのものが短い、ということなのでしょう。
味の方向性としては、酸味やフルーティーさが出やすい設計です。正直なところ、私は酸味よりもコクのあるコーヒーが好きなので、浅煎りのすっきりした一杯は好みの中心からはやや外れます。ただ、これは豆と設定で寄せられる範囲でもあります。メーカーの資料では、コク寄りが好みなら深煎りの極細挽き(エスプレッソ用)でコンセントレートモード、という組み合わせが案内されていました。
体験会には、Belleville Brûlerie TOKYOの佐藤成実氏のコメントも紹介されていました。佐藤氏は2016年のWorld Siphonist Championshipで優勝したバリスタで、短時間で抽出しても香りが飛ばず、まろやかさと甘みを保っている点はハンドドリップでは再現しにくい、という評価だったそうです。
メーカー資料には、Jack Simpson氏(2025 World Barista Championship)、Frank La氏(2024 US Barista Championship)、Elysia Tan氏(2022 World Brewers Cup)のコメントも掲載されています。

オレンジ割りとラテブリュー
会場では、ミルク、炭酸水、オレンジジュースの3種のアレンジも用意されていました。

オレンジ割りは、香りが残っているぶん柑橘と喧嘩せず、思っていたよりもよく合いました。コーヒーとオレンジジュースという組み合わせは身構えるところがありますが、これはおいしかったです。

もうひとつ試したのが、メーカーが「ラテブリュー」と呼んでいる飲み方です。コンセントレートモードで抽出した濃いエッセンスを、冷たいミルクに落とします。エスプレッソを使っていないのにラテに近い濃度感が出ていて、こちらも香りが残っていました。

抽出したコールドブリューは冷蔵で最大2週間保存できるとのことです。ただ、作り置きと淹れたてで香りの残り方が同じかどうかは、その場では確かめられませんでした。
主なスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | Brezi 自動コールドブリューコーヒーマシン(低温抽出機) |
| 電源 | 100V、50/60Hz |
| 消費電力 | 最大120W |
| 抽出モード | レギュラー/コンセントレート(濃縮)/スロードリップ/ティー/カスタム |
| 対応焙煎度 | 浅煎り/中煎り/深煎り |
| カスタム抽出項目 | ブルーミング比率・温度・水流、抽出温度、抽出水流、粉と水の全体比率(最大10プロファイル保存) |
| 本体寸法 | 高さ25.8×幅9.0×奥行き28.8cm |
| 本体質量 | 2.3kg |
| 水タンク容量 | 1000mL |
| カラー | オブシディアン・ブラック、シルバー・ホワイト |
保証とサポートは、日本総代理店の谷村実業が担当します。同社は1896年創業で、今年が創業130年目。生活家電やアウトドア用品などを扱っており、Makuakeでの累計調達額は8億円を超えているとのことです。
まとめ:香りの残る水出しコーヒーを、朝の10分で
Brezi 自動コールドブリューコーヒーマシンは、「水出しコーヒーは飲みたいときに作れない」という一点を、低温抽出のまま短時間化することで解いた製品です。時短だけの製品ではなく、香りが残る点にこそ価値があると感じました。
浅煎りやフルーティー系のコーヒーが好きな人、前の晩に仕込む運用が続かなかった人、抽出条件を自分で詰めたい人には、検討する価値がありそうです。幅9cmという設置面積の小ささも効いてきます。
一方で、抽出時間の「最短5分」はコンセントレートモードの数字で、レギュラーは10〜11分、スロードリップに至っては50分前後。専門店寄りの味を狙うなら、思っているほど時短ではありません。深煎りの濃いアイスコーヒーが好みの中心にある人は、豆と挽き具合を合わせにいく前提になりますし、紙フィルターも別途必要です。

このあたりを踏まえたうえで、水出しコーヒーの香りに心当たりがある人は、Makuakeのプロジェクトページで条件を確認してみてはいかがでしょうか。
