レノボ、ThinkPad Pシリーズ2026年モデルを発表——大和研究所が語る、熱設計・軽量化・5G対応への取り組み

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レノボ・ジャパンは6月2日、ThinkPad Pシリーズのモバイルワークステーション5機種を含む全7製品を発表しました。前回のモバイルワークステーション単独発表会から約8年ぶりとなる開催で、製品担当だけでなく横浜・大和研究所の開発担当者も登壇し、設計思想と技術的な取り組みについても説明が行われました。

ワークステーションに求められるものの変化

ワークステーション事業部長の小林直樹氏は、この8年間の変化として2つのトレンドを挙げました。ひとつはコロナ禍によるリモートワークの定着です。複数アプリを並走させながらオンライン会議をこなすような使い方が日常になり、PCのコンピューティング性能への要求が高まりました。もうひとつはAIの実用化で、クラウドで処理されていたAI処理がエッジ側に近づいており、ローカルLLMへの関心も高まっています。どちらの変化も「端末にかかる熱をどう処理するか」という問いに直結します。

▲ワークステーション&クライアント AI事業部 事業部長 小林直樹氏

「熱との戦い」を設計の軸に

レノボのワークステーション開発で一貫して重視されているのが、高い性能を安定して長時間維持できるかどうかという点です。大和研究所でモバイルワークステーション開発を担当する渡邉大輔シニアマネージャーは、ThinkPad Pシリーズの開発軸を「パフォーマンス」「可搬性」「信頼性(Dependability)」の3本柱で整理しています。注目したいのは「信頼性」の定義で、ハードウェアが壊れないという話にとどまらず、LinuxのOSサポートや周辺機器のエコシステムまで含めた「プロフェッショナルの現場で実際に使えること」を意味するとのことです。

▲大和研究所 モバイルワークステーション開発 シニアマネージャー 渡邉大輔氏

冷却機構の強化は、今年の新製品で特に大きなテーマのひとつです。ThinkPad P16s Gen 5で新たに採用された「AeroCore冷却テクノロジー」は、従来のヒートシンク排熱に加え、ファンから外気を直接CPU・GPUの熱源に当てるレノボ独自の設計です。P1 Gen 7で初めて採用されて以来改良を重ねており、P16s Gen 5では前世代比でCPU TDPが約16%向上、GPUパフォーマンスが約14.5%向上したとしています。また、Teamsなど比較的負荷の軽い状況でも、表面温度が約6.7%、ファンノイズが約6.6%低下したとのことです。

LPCAMM2の採用拡大も今年の注目点

今年の新Pシリーズでは、LPCAMM2と呼ばれるメモリモジュールの採用が拡大されています。LPCAMM2はLPDDR5Xメモリをベースにしたモジュールで、従来のSODIMMのようにスロットに差し込む方式ではなく、600本以上のピンを持つコネクターを介してマザーボードに圧着する構造です。P1 Gen 7でPCとして初めて採用されており、メモリの高速化に加え、モジュール自体の面積がSODIMM 2枚より小さいため、空いたスペースを冷却機構に活用できるという利点もあります。

▲LPCAMM2メモリモジュール
▲メモリモジュールの裏側とマザーボード側。600以上のピン数で接続されています

今回のP16s Gen 5では、P1で培ったノウハウをP16sシリーズに展開する形でLPCAMM2を初採用しました。特にAMDプロセッサを搭載するP16s Gen 5 AMDは、AMD搭載モバイルワークステーションとしては業界初の実装とのことです(2026年6月時点、同社調べ)。メモリの交換性は維持しつつ、コンパクトな筐体内でRTX PRO 2000 Blackwellを搭載できる設計余地を生み出した点で、今年のPシリーズを語るうえで外せない技術です。

1.29kgを実現した地道な積み上げ

可搬性の面での今年の成果のひとつが、ThinkPad P14s Gen 7 AMDが達成した約1.29kgという重量です。業界最軽量クラスとされるこの数値は、前世代から約100gの削減によって実現しています。

その内訳を開発マネージャーの神永惇氏が説明していましたが、ベゼルと天板の接合方法の変更で約15g、ワンバーヒンジ構造の変更で約10g、マザーボードの0.2mm薄型化で約14g、といった大小さまざまな工夫の積み上げです。冷却ファンの素材を銅からアルミニウムに変更したことも軽量化に寄与しており、熱伝導率の差を別の設計で補いながら表面温度の低下とCPU TDPの向上を同時に達成しています。

▲大和研究所 P1 モバイルワークステーション開発マネージャー 神永惇氏

今年ついに全シリーズで5G対応可能に

ハイブリッドワークの定着やクラウドAIの普及を受けて、2026年のPシリーズ全モデルで5G対応が選択可能になりました。薄型・軽量・高性能のバランスを優先してきたP1シリーズは数世代にわたり5G非対応でしたが、P1 Gen 9でついて対応を果たしています。スペースを確保するためにスピーカーを筐体内側に移動しつつツイーターを追加することでオーディオ品質を維持するといった工夫が施されています。また、P1 Gen 9の冷却ファンには不等角ブレード設計を採用しており、冷却性能を落とさずに高周波ノイズを50%以上削減したとのことです。

デスクトップには液冷設計の新モデルも

デスクトップワークステーションとして発表されたThinkStation P4は、Lenovoワークステーションとして初めて液冷設計(リキッドクーラー)に対応したモデルです。最大170W TDPのAMD Ryzen PRO 9000シリーズを搭載でき、CPU100%負荷時の社内検証では空冷比で最大約4dB(A)の静音化を実現したとしています。最大NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell、最大256GBメモリに対応し、AIモデル開発や高度なシミュレーション・レンダリング用途を想定した構成が可能です。

今回発表の製品と価格

今回発表された各製品の価格は下記の通りです(税込)。

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