
HOVERAir(ZERO ZERO ROBOTICS)から、3軸ジンバルカメラと自律飛行カメラを1台にまとめた「HOVERAir VERSA」が登場しました。2026年9月29日からMakuakeで先行予約販売中で、数量限定価格はスターターセットが12万7900円(税込)、オールインワンセットが16万2600円(税込)。プロジェクト期間は11月13日22時までです。

HOVERAirは、これまでもさまざまな飛行カメラ(同社はドローンではなく、飛行カメラという言葉を使っています)をリリースしていますが、2024年に日本でも発売された「HOVERAir X1」シリーズで一躍有名になった印象があります。

日本限定モデルのHOVERAir X1 Smartは、国内での航空法を考慮し重さ99gとなっていました。これにより、機体登録などが不要となっていたのですが、それでもなかなか気軽に飛ばすことができないというのが、日本(特に都市部)の現状です。せっかく購入したのに活用シーンが少ないと感じた人も多いのではないでしょうか。
これに対してVERSAは、普段は3軸のジンバルカメラとして活用し、必要なシーン・飛ばせる環境ではフライトキットを装着することで飛行カメラとして利用できるという構成になりました。これなら、飛ばせる場所がなく活用できないということはなさそうです。代わりに、飛行状態での重さは230gとなり、屋外での利用には機体登録やリモートIDの搭載が必要になっています。
今回、メーカーから製品を送っていただいたのでレビューします。といっても、東京都内(23区内)では屋外で気軽に飛ばせる場所がほとんどないため、本記事ではスマホと比べたときのジンバルカメラとしての使い勝手を中心に、室内でのフライトを簡単に紹介します。
外観と操作系:回転する画面とジョイスティック
VERSAの本体は、DJI Osmo Pocket 4などと似たスタイルの3軸メカニカルジンバルカメラです。センサーサイズは1/1.3インチで、4K/60fpsや10-bit HDRに対応します。

本体ジンバルカメラのサイズは148×38×38mmで、重さは163g(実測で162.2g)。フライトキット(重さ67g、実測68g)を装着することで飛行カメラ(約230g)として利用できます。
1.64インチのOLEDタッチスクリーンを搭載しており、これを回転すると電源が入る仕様。録画ボタンの長押しでも電源を入れられますが、スクリーンを回転させた方が手軽です。なお、電源オフもスクリーンの回転で行えます。

ボタンは、録画ボタンと、その横の5方向ジョイスティックの2つだけです。背面に補助カメラ(飛行モード時に利用するようです)、スライドカバーで覆われたポゴピンがあります。このポゴピンはフライトキットとの接続用です。

底面にはUSB-Cポートと、microSDスロット。64GBのストレージを内蔵(利用できるのは約44GB)しているので、microSDがなくても録画は可能です。4K/30fps設定での録画可能時間は1時間52分、128GBのmicroSDカードで6時間56分となっていました。

バッテリーも底面から挿入します。バッテリー持ちは手持ちでのジンバル撮影時で最大3時間、飛行状態で最大14分(いずれも公称値)。

底面に一般的な三脚穴がなく、そのままではスタンドなどの装着ができませんが、アクセサリーの多機能三脚には三脚穴があるので、カメラスタンドなどを装着することが可能になります。ただ、ここは素直に本体に三脚穴が欲しかったところです。

| 項目 | HOVERAir VERSA |
|---|---|
| イメージセンサー | 1/1.3インチ |
| 焦点距離 | 手持ちカメラモード:19mm/飛行カメラモード:16mm |
| 絞り | f/2.0 |
| フォーカス | 0.1m〜∞ |
| 画角(FOV) | 手持ちカメラモード:98°/飛行カメラモード:110° |
| ISO感度 | 標準:100〜12800/夜景強化:100〜25600 |
| シャッタースピード | 動画:1/8〜1/8000秒/写真:1/30〜1/8000秒 |
| 写真の最大解像度 | 12MP |
| ズーム | 最大2倍(ロスレスズーム) |
| 動画(通常モード) | 4K(16:9)・3K(9:16):最大60fps/1080P:最大60fps |
| 動画(HDRモード) | 4K(16:9)・3K(9:16):最大30fps/1080P:最大30fps |
| 動画(低照度強化モード) | 4K(16:9)・3K(9:16):最大60fps/1080P:最大60fps |
| スローモーション | 1080P/120fps・60fps(手持ち・飛行とも対応) |
| 縦向き撮影 | 対応(最大3K/60fps) |
| 最大ビットレート | 120Mbps |
| 記録形式 | 写真:JPEG/動画:MP4(HEVC/H.265) |
| カラーモード | 標準、10-bit HDR |
| ジンバル | 3軸メカニカル |
| 画面 | 1.64インチOLED、90度回転 |
| ストレージ | 内蔵64GB+microSD |
| 重量 | 本体163g/フライトキット67g/飛行カメラモード230g |
| 同梱(スターターセット) | 本体、フライトキット、予備バッテリー1個 ほか |
| 手持ち撮影時間 | 最大3時間(公称) |
| 飛行時間 | 最大14分(公称) |
| 最高速度 | 36km/h |
| 価格(Makuake) | スターター12万7900円/オールインワン16万2600円(税込) |
| 一般販売予定価格 | スターター13万9800円/オールインワン17万7800円(税込) |
ジンバルカメラとしての画質
ここでは実際に、ジンバルカメラとして撮影してみました。
まず、階段での揺れぐあい。撮影は4K/30fps/HDRで行っています。見た感じ、振動はほとんど気になりません。
続いて、4K/30fps/HDRと4K/30fps/標準(HDRオフ)での比較。この動画では差はあまり感じませんでした。
水の流れ具合の確認。これも4K/30fps/HDRです。
スマホで撮るのと何が違うか
続いて、比較のためにiPhone 17 Proでも撮影して比較してみました。
まず、VERSAでの映像。
次がiPhone 17 Proで撮影した映像。
iPhoneのほうが色味があっさりしているのと、わずかに見える空が白飛びしています。VERSAはiPhoneよりもダイナミックレンジが広い(最大17.5ストップ)とのことで、このあたりが効いているのかもしれません。
また、VERSAはさっと取り出してすぐに水平が合うのも魅力。地味なところですが、歩きながらの撮影などでは、やはりジンバルカメラが使いやすそうです。
屋外で飛ばすには何が必要か
VERSAは手のひらから離陸して、被写体を自動で追いかけてくれます。そのため、ドローンを操縦しているという感覚はあまりないのですが、法律上の扱いは一般的なドローンと同じです。

飛行カメラモードのVERSAは230gあり、航空法上の「無人航空機」に該当します。2022年6月20日から100g以上の機体が無人航空機として扱われるようになり、屋外で飛ばすには機体登録とリモートIDの搭載が必要になりました。私も登録だけは済ませています。なお、900円の登録料が必要です。
また、機体登録を済ませても、どこでも飛ばせるわけではありません。人口集中地区(DID)の上空で飛ばすには国土交通大臣の許可が必要で、東京23区はほぼ全域がこのDIDに含まれます。DIDの範囲は、国土地理院の地理院地図で確認できます。

このルールは、自宅の庭など自分の敷地内でも変わりません。国土交通省の通達「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」では、DID内の私有地での飛行についても、強風などで予期せぬ場所に飛ばされることが想定されるため、DID内である限り飛行の禁止空域に該当するとしています。自宅の庭で少し試してみる、という使い方も、DID内では許可なしにはできないということになります。
また、第三者や第三者の建物・車などから30m未満の距離で飛ばす場合も、別途承認が必要です。VERSAは被写体の近くを追いかけながら撮るのが基本なので、周囲に人がいる場所ではこの条件も関わってきます。さらに東京都は、都立公園でのドローンの飛行を禁止しています。

一方、屋内での飛行には航空法の規制は適用されません。同じ通達に、「建物内等の屋内での飛行については、航空法上の各規制は適用されない」と書かれています。
正直なところ、東京(23区内)で日常的にVERSAを飛ばすのは、手続きの面でもハードルが高いと感じます。機体登録を済ませたうえで、旅行先などDIDの外に出たときに飛ばすのが、現実的な使い方になりそうです。
室内で飛ばしてみる
外でダメなら屋内で。ということで、室内で実際に飛ばしてみました。HOVERAir VERSAの飛行はとても簡単です。フライトキットを取り付けて展開し、画面に表示される離陸ボタンを長押しすれば、そのまま離陸します。

デフォルトでは、離陸時に正面にいる人(基本的に離陸操作をしているユーザー)の顔をとらえ続ける「ホバリング」モードですが、ほかにもユーザーを追いかける「フォロー」、被写体を中心に円を描くように撮影する「オービット」など、いくつかの撮影モードがあります。
ただ、室内で使うには「ホバリング」か、スマホアプリや「MiCoミニコントローラー」で操作する「マニュアル」モードになるでしょう。注意点として、HOVERAir VERSAには障害物検知などのセンサーは搭載されていません。マニュアル操作で天井や壁、家具などにぶつかると墜落の危険があるので注意してください。

室内で撮影する場合、イベントなどでの集合写真などが使いどころだと思いますが、マニュアル操作で頑張れば、机上でホバリングさせつつ、手元の俯瞰撮影も行えます。

ただし、めちゃめちゃうるさいのと、結構な勢いで下向きの風が来るので、机上の紙類は吹き飛ばされます。

以下は普通に室内撮影した動画です(マニュアルモードで撮影。音はありません)。
実際の動作音は以下のような感じです。
まとめ:普段はジンバルカメラ、飛ばせる場所では空撮
HOVERAir VERSAは、ジンバルカメラと飛行カメラを1台にまとめた製品です。飛行カメラには「飛ばせる場所に行ったときしか出番がない」という弱点がありますが、それを普段使いのカメラとしての役割で埋めようとしています。東京のように屋外で気軽に飛ばせない環境では、出番の大半はジンバルカメラとしての利用になります。
ジンバルカメラとしての性能も十分で、飛ばすための手順も非常に簡単です。必要なときにさっと取り出して飛ばせる手軽さは魅力があります。
価格は、Makuakeの数量限定価格でスターターセットが12万7900円(税込)です。フライトキットに加え、予備バッテリーと充電ハブも付属します。手持ち専用のジンバルカメラであるDJI Osmo Pocket 4は、スタンダードコンボが7万9200円(税込)です。差額は約4万9000円で、これがそのまま「飛べること」の値段と考えると分かりやすいと思います。

一般販売価格の13万9800円(税込)で比べると、差額は約6万円です。なお、Osmo Pocket 4は1インチセンサーや4K/240fps撮影に対応しており、手持ち撮影のスペックではVERSAを上回る部分もあります。手持ちでしか使わないのであれば、こちらも比較対象に入ってくるでしょう。
また、今回の評価機では、AI自動フレーミングなど、まだ使えない機能もありました。製品版やアップデートでどこまで対応するのかは、今後に期待したいところです。
旅行やアウトドアなど、飛ばせる場所に出かける機会がある人には、有力な選択肢のひとつだと思います。一人で撮影することが多く、スマホの自撮りでは画角に限界を感じている人や、ジンバルカメラと飛行カメラを別々に持ち歩きたくない人にも合っています。一方で、都市部での手持ち撮影が中心で、飛ばす予定がほとんどない人にとっては、飛行機能の分だけ割高になります。機体登録などの手続きを負担に感じる人も、購入前に考えておきたいポイントです。
飛ばせない日はジンバルカメラとして持ち歩き、飛ばせる場所に行ったら空撮もする。そういう使い方を思い描けるなら、VERSAは検討する価値のある1台だと思います。Makuakeでのプロジェクトは11月13日22時までです。

