
米Microsoftは2026年11月3日(現地時間)、メモリ8GBのWindows 11 PCの動作改善について、公式ブログ「Windows Experience Blog」で詳細を公開しました。執筆したのはWindows + Devices担当エグゼクティブバイスプレジデントのPavan Davuluri氏で、8GB PCでは応答性が最大20%、ラボテストでのマルチタスクが最大40%速くなったとしています。改善はWindows 11 バージョン26H2のビルド26300.9818以降で利用できます。
Microsoftは7月31日のブログで、Windowsの品質改善の重点領域のひとつに「8GB以上のメモリ最適化」を挙げていました。今回はその進捗報告で、取り組みを「搭載メモリをより有効に使う」「負荷が高いときでも即応が必要な操作を守る」「主要アプリとWindows自体のメモリ使用量を減らす」の3つに分けて説明しています。
圧縮の調整で、最大2GB多くのデータをメモリに保持
Windowsは以前から、使用頻度の低いデータを圧縮してメモリ上に置き、それでも足りないときはストレージへ退避させています。今回、8GB PC向けに、どれだけ圧縮するか、いつストレージへ退避するか、いつメモリへ戻すかを調整したとのこと。その結果、作業中のデータを最大2GB多くメモリ上に保持できるようになったとしています。
Davuluri氏は、メモリ使用量が多く見えても、必ずしもメモリが逼迫しているわけではないと述べています。評価の基準は空きメモリの量ではなく、PCが応答し続けるかどうかにあるとしています。
スタートや右クリックの応答は最大20%速く
スタート、検索、右クリックメニュー、設定、Snipping Tool、エクスプローラーの応答は、2026年1月の更新時点と比べて最大20%速くなったとしています。ユーザーが操作している間は検索インデックスの作成などのバックグラウンド処理を控えるようにしたほか、更新後に再起動した直後の動作も改善の対象にしています。
アプリ単位では、すでに起動しているEdgeをスタートなどから呼び出すとき、Windowsが既存のEdgeプロセスに直接つなぐ仕組みを導入しました。Edge開発チームのブログによれば、大半のユーザーで起動が約15%、高負荷のマルチタスク時には最大33%速くなります。Teamsは8GB PCで効率モードを既定でオンにし、起動が最大20%速くなるとのことです。
マルチタスクの検証は、Edgeのタブ20個、4K動画、大きなWord・PowerPoint・Excelファイル、Outlook、エクスプローラーを同時に開いた状態で実施しました。メモリ8GBのHP OmniBook 3で、作業の完了が最大40%速くなったとしています。
アプリ側でもメモリ使用量を削減
8GB PCでのマルチタスク検証では、コミットメモリ(WindowsがRAMまたはページファイルで確保を約束したメモリ量)の増加を最大900MB抑えたとしています。Word、PowerPoint、Excel、Outlookの改善を合計すると360MBの削減になり、WindowsアプリのWhatsAppもメモリ面で2桁台の改善があったとしています。
メモリ8GB以下のPCでは、ウィジェットを開いたときにだけ読み込むよう変更し、閉じている間のメモリ確保を約200MB減らしました。Edgeは、使っていないタブがスリープするまでの時間を、既定の2時間から15分に短縮しています。
今後数か月のうちに、メモリ圧縮のさらなる改善、検索とウィジェット・OneDriveとフォトでのWebエンジンの共有、エクスプローラーやメモ帳などWinUI 3ベースのアプリの省メモリ化を進める予定です。PCメーカーやチップメーカーと組んで、ハードウェア用に予約されるメモリの最適化にも取り組むとしています。
16GB・32GBのPCにも効果はある?
今回のブログが「8GB PC」と明記している改善と、搭載メモリの条件を付けていない改善を分けると、次のようになります。
| 改善内容 | Microsoftが示した数値 | 対象(ブログの記載) |
|---|---|---|
| メモリ圧縮・退避の調整 | 最大2GB多くメモリに保持 | 8GB PC向けに調整 |
| スタート・検索・右クリックなどの応答 | 最大20%高速化 | 8GB PCで測定 |
| マルチタスク | 最大40%高速化 | 8GB PCで測定 |
| コミットメモリの増加抑制 | 最大900MB | 8GB PCで測定 |
| Teamsの効率モード既定オン | 起動最大20%高速化 | 8GB PC |
| ウィジェットの遅延読み込み | 約200MB削減 | 8GB以下のPC |
| 操作中のバックグラウンド処理の抑制 | 記載なし | 容量の記載なし |
| Edgeの高速起動 | 約15%、高負荷時最大33%高速化 | 容量の記載なし(KB5127936以降、Edge 150以降) |
| Microsoft 365アプリの省メモリ化 | 合計360MB削減 | 容量の記載なし |
| Edgeのスリープタブ | 2時間→15分 | 容量の記載なし |
Edgeの高速起動やMicrosoft 365アプリの省メモリ化は、アプリ自体の動作や使用量が変わる改善なので、16GBや32GBのPCでも同じように適用されるはずです。一方、看板となる2GB・20%・40%の数値は、いずれも8GB PCでの調整や測定に基づくものです。圧縮の調整が16GB以上のPCにも入るかどうかはブログに書かれておらず、Microsoftは16GB以上のPCでの効果を数値で示していません。
仕組みから考えると、16GB以上のPCはもともとデータをストレージへ退避させる場面が少ないため、圧縮まわりの調整で体感が変わる余地は8GB PCより小さいとみられます。Davuluri氏もブログで、16GBや32GBのPCのほうが多くの作業をこなせるとし、3Dモデリングや高度な動画編集、大規模なデータ処理には16GB以上を勧めています。
第三者の実測としては、海外メディアのWindows Latestが、筆者の16GBノートPCで26H2への更新後に再起動直後のメモリ使用量が最大2GB減ったと報告しています。同メディアによれば、起動時の使用量が1〜2GB減ったというユーザーの報告も、16〜48GBのPCが中心です。ただし、これはメモリ使用量の数値で、応答性の変化を測ったものではありません。数か月分の更新をまとめて比べているため、今回の8GB向けの調整による変化かどうかも切り分けられていません。
入手するには「最新の更新プログラム」をオンに
対象はWindows 11 バージョン26H2のビルド26300.9818以降です。10月28日に配信が始まったオプションの更新プログラム「KB5127936」を適用すると、26H2のPCはこのビルドになります。26H2は25H2と共通の基盤で、多くのPCは小さな有効化パッケージで移行できます。
設定アプリの「Windows Update」で「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」をオンにし、「更新プログラムのチェック」を実行すると入手できます。オプション更新を避けたい場合でも、11月10日の月例更新で配信されるるはずです。
Source:Raising the bar for 8 GB Windows 11 PCs: what’s improved and how to get it | Windows Experience Blog
