Genspark「AIワークスペース 6.0」発表 ─ 記憶するAIとカード型ボイスレコーダー

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Genspark株式会社は2026年7月21日、AIワークスペース「Genspark」の大型アップデート「AIワークスペース 6.0」を発表しました。同日、都内で開催されたローンチイベントで世界初公開されたものです。

今回のアップデートでは、ユーザーのあらゆる知識や仕事の文脈(コンテクスト)を統合・記憶する永続的クラウドメモリー「SecondBrain(セカンドブレイン)」を中核に据え、リアルな音声をナレッジ化するハードウェア「SecondBrain Note」や、デザイン生成・独自CRM構築・AIメールクライアントといった各種新ツールが一挙に公開されました。

Gensparkは、ChatGPTやGemini、Claude、Nano Bananaなど70以上のAIモデルを統合し、指示内容に応じて最適なモデルを自動で選ぶオールインワン型のAIサービスです。2023年12月設立の米カリフォルニア州拠点の企業で、2026年1月28日に日本市場へ本格参入しています。

▲左からCTO カイ・ジュー(Kay Zhu)氏、COO ウェン・サン(Wen Sang)氏、CEO エリック・ジン(Eric Jing)氏、CRO ジェイミソン・パウエル(Jamison Powell)氏

6.0の軸は「毎回説明し直さなくていいAI」

CEOのエリック・ジン(Eric Jing)氏

CEOのエリック・ジン(Eric Jing)氏は、現在のAI利用の課題を「毎回自分が誰かを説明し直し、同じ資料を貼り直している」状態だと説明。SecondBrainは、メール・議事録・カレンダー・Notion・CRMなどの情報源をつなぎ、クラウド上に更新され続ける「持続的な脳」として蓄積するとしています。

▲「今日のAIは賢いが、金魚並みの記憶力しかない」とのこと

同氏はこれを検索エンジンの索引づくりになぞらえ、Webページをインデックス化して誰もがすぐアクセスできるようにしたのと同じことを、個人の知識に対して行うものだと説明しました。

▲6.0の構成。中心にスーパーエージェント、その上にビルドスイート・AIオフィススイート、土台にSecondBrainが置かれる

追加された各機能は次のとおりです。

機能内容
SecondBrainメール・議事録・CRM等を横断して記憶し続けるクラウドメモリー
SecondBrain NoteSecondBrainと自動連携するカード型AIボイスレコーダー
GenTeam人とAIエージェントが同じチャットで協働するコミュニケーション空間
GenMail文体まで学習する「メールブレイン」と定型業務の「スキル」を持つメールクライアント。デスクトップ/モバイル対応
AgentBaseSalesforce・HubSpot・スプレッドシート等を取り込みダッシュボードを作成(プレビューから正式提供へ)
Designサイト・アプリ・画像・ポスターなどの制作(プレビューから正式提供へ)

GenTeamについては、CodexやClaudeレベルのエージェントをチャットグループに招待し、それぞれに役割や専門性を持たせられるとしています。

試しに、GenMailを使ってみましたが、かなり自然に私のメールの文体を再現し、返信メールを作成してくれました。返信メールの作成はGeminiなどに頼むこともできますが、どうしても自分の文体とは違うと感じ、修正が必要になりますが、GenMailでは手直しすることなく送信できました。

SecondBrain Note ─ カード型AIボイスレコーダー

同社初のハードウェアであるSecondBrain Noteは、厚さ2.95mmのアルミ合金製ボディにマイク4基と骨伝導マイク1基を搭載したAIボイスレコーダーです。2秒間の長押しで録音を開始し、最大35時間の連続録音に対応します。

▲ディスプレイもない、シンプルなAIボイスレコーダー。充電は専用のPOGOケーブル(反対はUSB-C)を使用します

主な仕様は以下のとおりです。

項目仕様
サイズ85.6×54.1×2.95mm(キャッシュカードとほぼ同寸)
重量26g
ストレージ64GB
バッテリー500mAh/連続録音35時間
マイク4基+骨伝導マイク1基
対応言語112言語
接続Bluetooth 6.0、Wi-Fi転送、オフライン録音対応
認証SOC 2 Type 2、ISO/IEC 27001:2022
付属品マグネット式カードホルダー、Type-Cマグネット充電ケーブル
価格199ドル(発表時点でセール価格179ドル)

付属のカードホルダーは、カード2枚と本体を収納できる財布として使えるほか、MagSafeでiPhone背面に貼り付けたり、スタンドとして立てたりできます。

▲カメラが邪魔で、Galaxyなどには貼り付けられないのが残念

購入者には月300分の文字起こしと要約が付属し、Gensparkの有料会員(Plus/Pro)であれば1日24時間まで無制限に使えるとのことです。日本への発送に対応しており、初回ロットは数量限定、2回目のロットは8月出荷予定としています。

ラウンドテーブルでは「AIレコーダーとしては後発では」という質問が出ました。これに対しジン氏は、録音は終点ではなく起点だという立場だと回答。録音後に文字起こしし、記事やSNS投稿、提案書へ展開する部分までワークスペース内で完結する点が、ハードウェア専業の各社とは層が異なるとしています。他社レコーダーの音声をSecondBrainへアップロードすることも、逆にデータをエクスポートすることも可能だと説明しました。

日本市場での展開とデータレジデンシー

日本市場については、エンタープライズプラン利用企業を対象に国内データレジデンシーの提供を開始したことが明らかにされました。CROのジェイミソン・パウエル氏は、リセラーやシステムインテグレーターとのパートナーシップ、東京オフィスの機能拡張も併せて進めるとしています。

COOのウェン・サン氏によれば、同社のARRは2025年4月のAIワークスペース公開から約9か月で1億ドル、さらに3か月で1億5000万ドルを追加。法人向けプランは提供開始から8か月で7000社超が利用しているとのことです。企業評価額は26億ドルで、今後3年間で日本市場に1億ドルを投じると表明しました。

導入企業としては、カンリー、KDDI Biz Edge、協和キリン、コメ兵ホールディングス、東洋経済新報社、日総工産、パソナグループ、ホリプロデジタルエンターテインメント、Ridgelinezの9社が新たに公表されています。

プライバシー、ハルシネーション、コスト効率

イベント後のラウンドテーブルでは、記者から実務上の懸念がいくつか投げかけられました。

データの取り扱いについて、同社はすべての情報をMicrosoft Azure上に保存し、モデル提供各社とはゼロデータ保持契約を結んでいると回答。オープンウェイトモデルを使う場合もFireworks.aiやTogether.aiなど米国の推論事業者経由で利用しており、ユーザーデータが学習に使われることはないとしています。外部ツールとの連携は個別にオン/オフを設定できるとのことです。

ハルシネーションについては、CEOのエリック・ジン氏が「すでに解決した問題」と述べる一方、COOのウェン・サン氏は「発生はする」と補足。複数モデルを並列で走らせて相互にファクトチェックさせる「Mixture of Agent」構成と、出力をピクセル単位で検証するツール群、さらにPitchBookやCrunchbaseなど有料データセットの併用で抑え込んでいると説明しました。

コスト面では、円安を背景に日本のユーザーがクレジット消費に敏感になっているとの指摘が出ました。CTOのカイ・ジュー氏は、タスクに応じた最適モデルの自動選択、オープンウェイトモデルのファインチューニング、通常は安価なモデルで処理し重要な判断点だけフロンティアモデルに切り替えるハーネス、という3点でコスト効率を上げていると回答。

また、AIに不慣れな人が高機能についていけるのかという質問に対しては、作りたいものが固まっていなくてもGenspark側から用途や長さ、想定読者を質問し返す設計にしていること、Genspark自身にGensparkの使い方を聞けることを挙げていました。

まとめ

6.0の中身を一言でまとめると、これまで単発のタスク処理だったGensparkに「記憶」を持たせたアップデートだと言えそうです。SecondBrainが土台にあり、その情報を集める手段としてハードウェアとメールクライアントが加わった、という構造になっています。

SecondBrain Noteは、AIボイスレコーダー単体としては後発です。ただ、録音した内容がそのまま資料作成やダッシュボードにつながる点は、PLAUDやNottaといった既存製品とは設計思想が異なります。(Gensparkの有料ユーザーなら)月額サブスクを別途契約せずに無制限で文字起こしできる点も、サブスク疲れを感じている人には検討材料になりそうです。

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