
STYLY、ローソン・ユナイテッドシネマ、KDDIの3社は2026年8月3日、次世代シアター「Immersive Zero(イマーシブ・ゼロ)」の上映を9月25日から開始すると発表しました。第一弾はLDH JAPAN所属の7人組ダンス&ボーカルグループ「BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE」が主演するVR体験コンテンツ「BALLISTIK BOYZ SHOOTING STARS」で、神奈川・大阪・東京の3劇場で順次上映します。料金は4900円(税込)です。
Immersive Zeroは、映画館の座席に座ったままVRゴーグルを装着して体験する興行形態です。プロジェクトの始動は今年5月。このときは事業展開の第一歩として、BALLISTIK BOYZのファンクラブ会員限定の無料試写会を8月上旬に実施し、体験満足度や全席VR運用における劇場導線、応募・受付フローの受容性を検証すると告知されていました。

その試写会が8月3日、ユナイテッド・シネマ豊洲で開かれ、同じ日に秋からの有料上映が発表されました。会場には報道関係者とファンクラブ会員が招かれています。以下は、発表会での各社の説明をもとに整理したものです。
「メイキングカメラマン」として撮影現場に立ち会う
「BALLISTIK BOYZ SHOOTING STARS」は、ライブをそのままVRで見せる形式ではありません。体験者はプロデューサーから撮影を依頼された“メイキングカメラマン”という役どころで、BALLISTIK BOYZのミュージックビデオ(MV)撮影現場に立ち会います。
STYLYの渡邊遼平氏は、見どころとして3点を挙げました。1つ目は撮影現場に入り込むストーリー体験で、撮影直前のメンバー同士のやり取りなど、完成したMVには残らない場面を見られるとしています。2つ目はカメラマンという設定だからこそ成立する至近距離の視点。3つ目は、体験の途中で特定のメンバーを選ぶインタラクティブな演出です。選んだメンバーの「専属カメラマン」として、共演しているような感覚を味わえるとのことです。
なお、3つ目のメンバー選択パートは今回の先行試写版には含まれておらず、本上映で提供されます。体験内容と演出は、上映版の最終仕様に基づいて変更となる場合があるとしています。

KDDIは3D音響とAI運用基盤で支える
KDDIの増田達哉氏は、同社が提供する技術として2点を説明しました。
1つ目は、KDDI総合研究所が開発した次世代3D音響技術です。映像を3D解析して演者の位置や顔の向きを把握し、それに合わせて声の聞こえ方を再現するというもの。増田氏は、第一弾の上映開始後、早ければ導入に向けた検討を進めたいと述べています。裏を返すと、9月25日からの第一弾には搭載されないことになります。
2つ目は、AIを活用した遠隔監視運用システムです。全国の複数拠点にあるシアターの運営状況を通信とクラウドでつなぎ、システムの異常予兆の検知やトラブル復旧支援をAIで行う運用基盤を想定しています。こちらは半年以内の実装に向けて開発・実証中とのことです。

全席にVRゴーグルを配置する興行は、1劇場だけなら人手で回せても、拠点数が増えるほど運用負荷が効いてきます。この遠隔監視の仕組みは、後述する「全国展開」のフェーズに直結する部分と言えそうです。
増田氏はこのほか、将来的にはリアルタイム連携によってパーソナライズされた体験の提供も視野に入れていると話しました。
劇場側の狙いは、客席と時間帯の有効活用
ローソン・ユナイテッドシネマの川辺淳雄氏は、劇場側の狙いを説明しました。同社はローソングループのエンタテインメント部門として全国41劇場を運営しており、これまでもIMAXや4DX、ScreenX、音響体感プレミアムシート「FLEXOUND」など、体験価値を高めるラージフォーマットを導入してきています。
そのうえで川辺氏は、従来の映画興行の枠を超えてXRを活用した興行を定期的に展開することで、劇場の客席や時間帯の有効活用を進めたいとしています。今回は音楽ライブから始めますが、今後はスポーツやアスリートのコンテンツ、アニメなど、ファンの熱量が高い領域へ広げる方針とのことです。

映画館を「映画を鑑賞する場所」から「ファンが能動的に没入できる場」へ進化させる、というのが川辺氏の説明でした。個人のデバイスでは味わえないプレミアムな体験空間を作る、という言い方もしています。5月のプロジェクト発表時の資料では、映画館ならではの遮音性と音響環境を強みに挙げていました。
なお5月のプロジェクト発表時には、昨年末にローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらいで実施したVRショーケース『ULTRA EXPERIENCE PERFORMANCE TOUR』で約500名が来場し、アンケートで99%が次回参加への意欲を示したと公表されています。今回の事業化は、この実証の延長線上にあると見てよさそうです。
フェーズ2は全国展開、その先は商業施設や移動体も
渡邊氏は、事業のロードマップにも触れました。現在はフェーズ1として、複数公演を通じた事業性の検証段階。フェーズ2で全国の映画館へ展開し、その先に海外を含むグローバル展開を見据えています。
もう一つ挙げられたのがマルチロケーション展開です。映画館に限らず、商業施設や、飛行機・電車といった移動体まで含めて体験を広げる構想だとしています。上映のたびに専用設備を作り込むのではなく、VRゴーグルとコンテンツで完結する形式だからこそ出てくる話で、現実にどこまで広がるかは今後の検証次第でしょう。

上映概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 次世代シアター Immersive Zero「BALLISTIK BOYZ SHOOTING STARS」 |
| 出演 | BALLISTIK BOYZ |
| 神奈川会場 | 2026年9月25日(金)〜10月4日(日)/ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい |
| 大阪会場 | 2026年10月16日(金)〜10月22日(木)/ローソン・ユナイテッドシネマ岸和田 |
| 東京会場 | 2026年10月30日(金)〜11月8日(日)/ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場 |
| 料金 | 4900円(税込) |
| チケット販売 | 各劇場の窓口および公式ウェブサイト |
| 販売開始 | ネット購入はメンバーズカード会員が鑑賞日3日前の21時、会員以外は2日前の0時から。劇場窓口・券売機は会員・非会員を問わず2日前の劇場オープン時 |
| 主催 | STYLY、ローソン・ユナイテッドシネマ、KDDI |
| コンテンツ協力 | LDH JAPAN |
| 公式サイト | https://immersive-zero.com |
上映時間、1回あたりの定員、対象年齢、利用上の注意事項は公式サイトで案内されるとのことです。
先行試写会にはBALLISTIK BOYZ本人が登場
8月3日の先行試写会では、事前抽選で当選したファンクラブ会員がVRゴーグルを装着してコンテンツを体験しました。上映後にはBALLISTIK BOYZのメンバーがサプライズで登場し、会場からは歓声が上がりました。

メンバーからは、自分たちのライブを客席側の視点で見る機会は普段ないため、それが叶ったという趣旨のコメントがありました。撮影時には、通常のカメラ位置ではVRで見たときに遠く感じるため、実際に撮ってその場でVRで確認しながら立ち位置や構成を変えていったという話も出ていました。
実際に体験した感想としては、映画館の音響を利用してVRを楽しめるという点では没入感は高めです。あえて映画館でなくてもいいのではとも感じましたが、この音響のメリットをどう受け取るか次第でしょう。その意味では、今回のような音楽コンテンツとの相性は良さそうです。

