KDDIとJR東日本、山手線車内で5Gミリ波をエリア化する実証に成功。車内ほぼ全域で1Gbps通信が可能に

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▲AI生成によるイメージ画像

KDDIと東日本旅客鉄道(JR東日本)は5月20日、5Gのミリ波(28GHz帯)を活用し、JR東日本の東京総合車両センターにて山手線の車両内をミリ波エリア化する実証実験に成功したと発表しました。実験は2026年3月3日から4月15日にかけて実施されたとのことです。

5Gのミリ波は、広い帯域幅を活かした高速・大容量通信が期待できる一方で、電波の直進性が強く遮蔽物の影響を受けやすいという課題があります。両社はこれまでにも、2025年4月の新宿駅ホームを皮切りに、高輪ゲートウェイ駅周辺や東京駅の新幹線ホームなどでエリアを拡大する取り組みを行ってきました。

今回の実証実験は、これまでの屋外や駅ホームからさらに一歩進め、金属で囲まれていて電波が届きにくい「鉄道車両の内部」を対象としたものです。屋外の基地局からのミリ波を車両内に引き込んで再放射する取り組みは、国内で初めての事例になるとのことです。

複数の最新技術で車両内に電波を引き込む

今回の実証実験では、AGCや京セラ、日本電業工作の協力を得て開発された、複数の技術を組み合わせたシステムが山手線の実車両に導入されました。具体的な仕組みとしては、車両の窓ガラスに設置したミリ波対応のガラスアンテナで屋外からの電波を受信し、それを高利得アンプで増幅します。

増幅された電波は、従来の同軸ケーブルに比べて1メートルあたりの損失を約83%低減できるという「誘電体導波路」と呼ばれる伝送路を通って、車両の天井へと運ばれます。ちなみに、誘電体導波路とは、電磁波を低い損失で効率よく伝えるための特殊な素材でできた構造のことです。この伝送路の途中や先端に設けられた漏洩アンテナとロッドアンテナから、車内へ電波を再放射する構成となっています。

車内のほぼ全域が1Gbps対応エリアに改善

このシステムを導入した結果、車内での電波環境は大幅に改善されるのを確認できたとのこと。これまで車両の金属による遮蔽などで電波が減衰し、通信速度1Gbpsを達成できるエリアは車両全体の約40%にとどまっていました。しかし、今回の構成を導入したところ、そのエリアが約97%へと拡大したとのことです。

これまでは場所によって電波が途切れがちだった車両内において、ほぼ全域で高速なミリ波の通信環境が確保できることが確認された形です。天井から電波を放射することで、車内の乗客などの遮蔽による影響も最小限に抑えられるようになっています。

両社は今後、この実験で得られた知見をベースに、鉄道車両だけでなく、同様にエリア化が難しいとされるあらゆる屋内環境へミリ波の活用を広げていくとしています。

日常の移動空間である電車内がより快適な通信環境になるよう、今後の実用化やさらなる展開に期待したいところです。

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