
NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は2026年10月27日、個人向けモバイルPCの新モデル「LAVIE S13」「LAVIE N13」「LAVIE X14」を発表しました。いずれも10月29日に発売します。価格はオープンで、店頭モデルの市場想定価格はS13が31万3000円(税込)前後から、N13が28万6000円(税込)前後、X14が41万8000円(税込)前後です。
3機種は、学生向けのS13、働き始めたばかりの人やPCに不慣れな人に向けたN13、移動の多いビジネスパーソン向けのX14と、想定するユーザーを分けた構成です。

LAVIE S13:LAVIE SOLから約1割薄く、軽く
LAVIE S13は、学生を中心としたZ世代に向けた13.3型のCopilot+ PCです。カラーはプラチナシルバー、ムーンブラック、アイシーパープルの3色。プロセッサーはIntel Core Ultra 7 355またはCore Ultra 5 322で、メモリは16GB、ストレージは約512GBです。

開発の前提として挙げられたのが、従来モデルにあたるLAVIE SOLの販売実績です。2024年11月に初代LAVIE SOLを発売して以降、NECPCは新生活シーズン(1〜3月)のモバイルPCシェアで2年連続1位を獲得したとしています(GfK調べ、14型以下液晶搭載ノートPC。2025年は25.9%、2026年は26.7%)。
あわせて紹介されたのが、大学生を対象にした同社の独自調査です。13型と14型のどちらを買いたいかという問いには76%が13型と回答。「約990gで約17時間駆動」と「約1.1kgで約23時間駆動」の比較では、65%が後者を選んだとのことです。この結果から、毎日持ち運べるコンパクトさと、多少重くても安心して使えるバッテリー持ちの両立が求められていると説明していました。

S13はこの方向で、筐体を一から設計し直しています。LAVIE SOLとの比較は以下のとおりです。
| 項目 | LAVIE S13 | LAVIE SOL(従来モデル) |
|---|---|---|
| 重量 | 約1088g | 約1197g |
| 薄さ | 約12.9mm | 約14.3mm |
| バッテリー容量 | 76.1Wh | 64Wh |
| 駆動時間(動画再生時) | 約22.9時間 | 約17.7時間 |
| 駆動時間(アイドル時) | 約41.0時間 | 約34.3時間 |
重さは109g、厚みは1.4mm減り、いずれも約1割の削減です。そのうえでバッテリー容量は約2割増え、動画再生時の駆動時間は約5時間延びています。薄型化にあたっては、ディスプレイやカメラ、キーボード、ヒンジ、タッチパッドの各部品を見直し、0.1〜0.5mm単位で構造設計を詰めたとしています。

NECPCは、授業と帰宅後のレポート作成を合わせて1日約7時間PCを使う大学生を想定し、充電なしで2日間使えるとしています。30分の充電で約8時間使える急速充電にも対応します(PC電源オフ時、Officeアプリの利用を想定)。薄型化で性能を落とさないよう、冷却はデュアルファン構成です。

ネジも通気孔もない底面、着せ替えケースにも対応
デザイン面では、底面にネジ穴や通気孔を見せない構造や、段差の少ないガラス面の液晶、筐体色に合わせたカラーキーボード、ラベルを使わないレーザー刻印など、細部の見え方を整えています。アルミボディの天面・パームレスト・底面にはシルクタッチコートを、タッチパネルやキーボード、タッチパッドには防指紋コーティングを施しています。

caseplayとのコラボで、1500種類以上のデザインから選べる専用の着せ替えケース(別売)も用意します。壁紙やフォルダー、マウスカーソルをカスタマイズできるアプリ「LAVIE deco」と合わせて、外側と画面の中の両方を自分好みにできるという提案です。
入力まわりでは、静音キーボードを採用。大学生はマウスを使わない人が多いという聞き取り結果を踏まえ、タッチパッドは大型化したうえで、AI学習により手のひらが触れたときの誤操作を抑える機能を加えています。ディスプレイはタッチ対応で、カバーガラスにはGorilla Glass 5を採用。MIL規格(MIL-STD-810H)準拠の試験もクリアしています。
LAVIE N13:Type-AやHDMIを備えた実用モデル
LAVIE N13は、「スマートフォンの次の1台」として、働き始めたばかりの人などを想定した13.3型のモバイルノートです。カラーはライトシルバーとセージグリーンの2色。プロセッサーはIntel Core 5 320(NPUは最大16TOPS)で、メモリ16GB(シングルチャンネル)、ストレージ約256GBの構成です。重量は約1177g、薄さは約15mmで、MIL規格準拠の試験もクリアしています。

S13との違いが大きいのはインターフェースです。USB Type-C×2に加えてUSB Type-A×2、HDMI出力、microSDカードスロットを備えます。キーボードはバックライト付きで、Webカメラにはプライバシーシャッターを付けています。

バッテリー容量は54Whで、駆動時間は動画再生時約15.9時間、アイドル時約21.9時間です。S13やX14と比べると控えめですが、ロングバッテリーモードには対応します。
LAVIE X14:約1021gに99.9Wh、動画再生約30.1時間
LAVIE X14は、移動の多いビジネスパーソン向けの14型Copilot+ PCです。カラーはタイタニウムシルバーのみ。プロセッサーはIntel Core Ultra 7 355(NPUは最大49TOPS)、メモリは32GB、ストレージは約512GBです。

最大の特徴はバッテリーです。約1021gの本体に99.9Whのバッテリーを搭載し、駆動時間は動画再生時約30.1時間、アイドル時約51.0時間。NECPCはこれを世界最長としています。99.9Whは航空会社の事前承認なしで機内に持ち込める容量の範囲に収まる、という説明もありました。
同社の想定では、朝9時から18時まで会議や資料作成をしても、AI制御によってバッテリー残量が63%残るとのことです。

バッテリーの運用面でも、いくつかの機能を用意しています。
- AIスマート充電:バッテリーの劣化を抑え、5年後の容量を約72.7%と想定(劣化対策なしの場合は約50%)。公式リリースでは「5年後もバッテリ容量を7割以上に保つ」としています(2日に1回充電、25℃での同社基準による測定・予測)
- 急速充電:30分の充電で約8時間使用可能(PC電源オフ時、ロングバッテリーモード使用を想定)
- ロングバッテリーモード:F10キーでオン。Web会議や動画視聴時の省電力制御、予定終了時刻までのバッテリー残量予測に加え、外部ディスプレイや起動したままのアプリなど消費電力の大きい項目を検知して、ユーザーに助言します
筐体は、天板に東レの最新軽量カーボン素材を使い、底面もカーボン、本体にはマグネシウム・アルミニウム合金を採用しています。カーボン素材はLAVIE NEXTREMEで使ったものから進化させたとのこと。MIL-STD-810H準拠の17項目の試験をクリアし、天板とパームレストには防指紋・耐擦傷コーティングを施しています。
インターフェースはThunderbolt 4(Type-C)×2、USB Type-A×2、HDMI出力、microSDカードスロット、有線LANと、14型モバイルとしては一通りそろっています。
なお、NECPCは7月に法人向けモバイルノート「LAVIE BM94C」を発表しており、こちらも99.9Whのバッテリーで世界最長の駆動時間をうたっていました。個人向けにも、同じ99.9Whクラスの長時間駆動モデルが加わった形です。
3機種の主な仕様
| 項目 | LAVIE S13 | LAVIE N13 | LAVIE X14 |
|---|---|---|---|
| ディスプレイ | 13.3型 WUXGA IPS、タッチ、光沢(スーパーシャインビュー) | 13.3型 WUXGA IPS、タッチ、ノングレア | 14.0型 WUXGA IPS、タッチ、ノングレア |
| プロセッサー | Core Ultra 7 355/Core Ultra 5 322 | Core 5 320 | Core Ultra 7 355 |
| NPU | 最大49TOPS/最大46TOPS | 最大16TOPS | 最大49TOPS |
| Copilot+ PC | 対応 | ― | 対応 |
| メモリ | 16GB(LPDDR5X) | 16GB(LPDDR5X、シングルチャンネル) | 32GB(LPDDR5X) |
| ストレージ | 約512GB | 約256GB | 約512GB |
| インターフェース | USB Type-C×3、ヘッドフォンマイクジャック | USB Type-C×2、USB Type-A×2、HDMI、microSD、ヘッドフォンマイクジャック | Thunderbolt 4×2、USB Type-A×2、HDMI、microSD、有線LAN、ヘッドフォンマイクジャック |
| 無線LAN | Wi-Fi 7 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 7 |
| カメラ/生体認証 | フルHD・IRカメラ/顔認証 | フルHD・IRカメラ(プライバシーシャッター付き)/顔認証 | フルHD・IRカメラ/顔認証 |
| 重量 | 約1088g | 約1177g | 約1021g |
| 薄さ | 約12.9mm | 約15mm | 約18.9mm |
| バッテリー容量 | 76.1Wh | 54Wh | 99.9Wh |
| 駆動時間(動画再生/アイドル) | 約22.9時間/約41.0時間 | 約15.9時間/約21.9時間 | 約30.1時間/約51.0時間 |
| カラー | プラチナシルバー、ムーンブラック、アイシーパープル | ライトシルバー、セージグリーン | タイタニウムシルバー |
※仕様は公式リリースの代表モデルのもの
LAVIEは法人・個人をひとつのブランドに
ここからは、発表会の前半で示されたブランド戦略です。

常務執行役員の安田氏はまず、NECのPCの国内出荷台数が累計1億台に達したことを紹介しました。そのうえで、コロナ禍以降の働き方の多様化や生成AIの普及によって、PCは作業を効率化する道具から、一人ひとりがやりたいことを形にするためのパートナーへと役割が変わってきていると述べています。

これを受けてNECPCは、LAVIEブランドを法人向けと個人向けで切り分けず、ひとつのブランドとして展開する決断をしたとのことです。安田氏は、これまで追求してきた「ビジネスを止めない」ことは今後も変わらないとしつつ、AI時代にはそれだけでは十分ではなく、働く人の成果や新しい挑戦を支える存在でありたいと話していました。LAVIEはフランス語で「人生」を意味し、その言葉の意味を見直したことが今回の再定義につながったといいます。7月に法人向けの「Mate」「VersaPro」をLAVIEに統一した流れを、個人向けも含めたブランド全体に広げた格好です。

個人向け営業を率いる神崎氏は、販売チャネルの強化を挙げました。PCを選ぶ方法や購入する場所が多様化しているため、販売パートナーとの取り組みを深めつつ、直販のLAVIE Directも含めて、LAVIEを「知る・触れる・相談する・購入する」接点を広げていくとしています。

新タグラインは「あなたの可能性を、一歩先へ。」
CMOのルービン氏は、新しいタグライン「あなたの可能性を、一歩先へ。」を発表しました。主語はLAVIEでもテクノロジーでもなく「あなた」であり、大きな飛躍を押し付けるのではなく、本人が踏み出す一歩を支える距離感を表したものだと説明しています。

同氏は、ブランドとしての約束を3つに整理しました。
- 日本の働き方・暮らしに寄り添う:通勤・通学時の満員電車でカバンの中のPCが圧迫されることを想定し、耐久性を高めるための7種類の試験を実施。変換・確定の操作が多い日本語入力を考慮して、Enterキーの大きさや押し心地にもこだわっている
- 時代に合わせて進化し続ける:1995年のブランド誕生以来の歴史を踏まえ、変化を恐れずに進化する
- すべての人に使いやすく:初めてPCを使う人から慣れた人まで安心して使えるよう、24時間365日のサポートなどを提供する
新CMは森七菜さんと黒川想矢さんが姉弟役
新しいブランドの顔には、俳優の森七菜さんと黒川想矢さんを起用しました。家族の日常を描いたTVCM「ただの家族」篇を10月27日から全国で放送するほか、WEBCM「令和と私」篇、「レポート」篇、「ポスター」篇の3本も公開しています。
発表会のトークセッションでは、2人がフリップの代わりにLAVIE Tab EXへペンで回答を書き込む形式で進行しました。森さんはデータで受け取る台本への書き込みを実演し、高校2年生の黒川さんは学校の課題を想定したデモで、画面上の対象を囲んで調べる「かこって検索」を試していました。2人とも、ペンの書き心地が紙に近い点を挙げていました。

まとめ
今回の3機種は、学生、働き始めの人、移動の多いビジネスパーソンと、想定ユーザーをはっきり分けたラインアップです。S13はLAVIE SOLの路線をさらに薄く軽くしつつバッテリーを増やし、X14は約1kgの14型に99.9Whを積んで駆動時間を前面に出しています。N13は性能面では控えめですが、ポート類とAIによるサポート機能で、PCに不慣れな人が使い始めやすい構成をとっています。
店頭モデルの市場想定価格は、N13の28万6000円(税込)前後からX14の41万8000円(税込)前後までで、モバイルノートとしては高めの価格帯です。少しでも抑えたい場合は、店頭モデルより安い構成から選べるNEC Directのモデルも比較対象になりそうです。

