
NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は2026年7月23日、法人向けPCの新製品全7機種を発表しました。あわせて、これまでの法人向けブランド「Mate」「VersaPro」を「LAVIE」に統一し、新たなラインアップとして展開するとしています。新製品は2026年7月末以降、順次発売予定です。
同社は同日、ビジネスPC新製品発表・事業戦略説明会を開き、製品だけでなく2026年度の事業方針もあわせて示しました。
「Mate」「VersaPro」を「LAVIE」に統一
今回の発表で軸になっているのが、法人向けPCブランドの「LAVIE」への統一です。これまで「Mate」「VersaPro」として展開してきた法人向けラインを、順次「LAVIE」ブランドへ移行するとしています。
コマーシャル事業本部長の宮前豊氏は、その背景をこう説明しています。コロナ収束後に働く場所や時間が大きく変わり、働くことと生活の垣根が薄くなっている。そうした時代において、PCは生産性を支えるツールという位置づけから、価値創出と意思決定を支える「ビジネスユーザーの伴走者」へと役割を変えるべきだという結論に至った、というものです。

「LAVIE」はフランス語で「人生」を意味する言葉です。業務ツールにとどまらず、働く人の人生を支え続けるブランドとして最適だと判断した、と宮前氏は述べています。従来の「Mate」「VersaPro」が持っていた「プロフェッショナルのためのツール」というコンセプトは継承しつつ、コンシューマー向けで使ってきた「LAVIE」に一本化することで、法人・個人の双方に向けてアプローチできる狙いもあるとしています。

事業の背景:シェア回復と「推論」領域の拡大
ブランド統一の前提として、同社は事業の現状と市場観をあわせて説明しています。

代表取締役執行役員社長の檜山太郎氏によると、NECPCは2024年4月にNEC本体から法人向けの営業部隊が合流し、開発・生産・販売が一体となった「製販一体」の体制でスタートしました。この体制のもとで、事業開始時に6%程度だった国内PC市場での同社シェアが、1年で12%近くまで回復したとしています。

市場については、国内PCの出荷台数はWindowsのOS切り替えやGIGAスクール需要で2025年まで伸び、2026年以降は落ち着く見通しとしています。一方で、AIシステムへの投資額は拡大が続くとの予測を示しました。

檜山氏が強調していたのが、AI市場の中身が「学習」から「推論」へと移りつつある点です。これまでの生成AIはクラウドやデータセンターでの学習が中心でしたが、成長のけん引役は推論の領域に移ってきている。推論はクライアント端末やエッジ、オンプレミスの世界でもあり、ここをクライアントコンピューティングとして押さえることが大きなポイントになる、という見方です。
同社は、クライアントPCの役割の変遷を次のように整理しています。2023年ごろはブラウザ経由で生成AIにアクセスする「窓口」でした。2025年にはCopilot+ PCのように、一部の機能がローカルに実装される段階に入りました。そして2026年以降は、エージェントをローカルで動かすかクラウドで動かすかを、用途に応じて選ぶ時代になる、としています。

2026年度の事業方針は「パートナー・AI・ブランド」
宮前氏は、2026年度の事業方針として「AIを活用したクライアントコンピューティングで、お客様に寄り添う事業を拡大する」と示し、そのための取り組みを「パートナー」「AI」「ブランド」の3つに整理しました。
パートナーでは、取引ボリュームに応じた販売パートナープログラムを拡充するほか、医療・公共・教育といった特定業種に強みを持つアライアンスパートナーとの連携スキームを新設するとしています。さらに、未導入の顧客へ直接アプローチし、販売パートナーと一緒に導入まで支援する組織も設けるとのことです。
AIでは、AI PCのラインアップ拡充を掲げています。これまでAI PCはハイエンド中心で全体の約3割にとどまっていましたが、求めやすいスタンダードモデルまで広げ、将来的に約7割まで引き上げる方針です。質疑応答では、ここで言う「AI PC」はNPUを搭載したモデルを指すと説明しており、今回発表の7機種はいずれもAI PCに該当するとしています。あわせて、独自ソフト「AI Plus Biz」やAIバッテリーマネジメントの強化、ISVと販売パートナーを巻き込んだ3社協業なども進めるとのことです。
ブランドが、前述の「LAVIE」への統一にあたります。
発表された7機種
新しい法人向けLAVIEは、モバイルからA4ノート、タブレットまでの全7機種です。大きく「世界最長駆動のモバイルノート」「セルフメンテナンス設計のA4ノート」「AI対応2in1タブレット」の3カテゴリで構成されています。

世界最長バッテリーをうたうモバイル「BM94C」
シリーズの目玉が、モバイルノートのLAVIE BM94Cです。最軽量構成時で約999g、動画再生約30.5時間・アイドル時約50.8時間という「世界最長バッテリー」をうたっています(※)。プロセッサーはインテル Core Ultra シリーズ3で、Copilot+ PCに準拠します。

発表会で商品企画本部長の三島達夫氏は、この製品を社内プロジェクト「999(スリーナイン)」として開発したと説明。約99.9Whの大容量バッテリーを搭載し、実使用でも16時間以上の駆動を確認したとしています。5年後もバッテリー容量が70%以上残る設計や、約30分の充電で1日分の駆動をまかなえる急速充電、AIが電力消費の大きいアプリを検知して助言する機能なども挙げていました。

※世界最長の駆動時間は、Windows 11搭載かつ1kg未満の法人向けインテル製CPU搭載ノートPCにおいて。JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver.3.0に基づく測定。2026年7月時点、同社調べ。
モバイル2機種とA4ノート3機種
同じモバイル系のBM74Cは最軽量時約914g、最大約22.6時間の駆動で、ユーザー自身によるバッテリー交換に対応します。BM54Cはインテル Core シリーズ3を搭載したスタンダードなAI PCで、いずれも14型・16:10ディスプレイです。

A4ノートは16型のBN76C・BN56C・BN56Rの3機種です。BN76CはCore Ultra シリーズ3を搭載し、最軽量時で約2kgを切る設計。バッテリー・SSD・メモリーをユーザー自身で増設でき、防滴設計やMIL規格準拠の堅牢性も備えるとしています。BN56RはAMD Ryzen AI 400シリーズを搭載し、有線LANや光学ドライブを継続採用して既存環境との互換性を確保。BN56CはCore シリーズ3のスタンダードモデルです。3機種ともセルフメンテナンス設計を採ります。

13型タブレット「BT53C」
BT53Cは13型タッチディスプレイのWindowsタブレットPCです。500cd/㎡の高輝度液晶とCore Ultra シリーズ3を搭載し、自立スタンドを内蔵。5G通信や充電式キーボード、ペンをオプションで選べます。オフィスから外出先の現場まで、1台で使える製品と位置づけています。

主なスペックと価格
| 型番 | カテゴリ | ディスプレイ | プロセッサー | 特徴 | 価格(税込・PC-V1型番) | 発売時期 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BM94C | モバイル | 14型(16:10) | Core Ultra シリーズ3 | 約999g/世界最長バッテリー | 58万4100円〜 | 7月末 |
| BM74C | モバイル | 14型(16:10) | Core Ultra シリーズ3 | 約914g/バッテリー交換対応 | 55万6600円〜 | 7月末 |
| BM54C | モバイル | 14型(16:10) | Core シリーズ3 | スタンダードAI PC | 49万7200円〜 | 8月下旬 |
| BN76C | A4ノート | 16型/15.6型 | Core Ultra シリーズ3 | 約2kg切り/増設・堅牢性 | 48万8400円〜 | 8月下旬 |
| BN56C | A4ノート | 16型/15.6型 | Core シリーズ3 | スタンダード/防滴・MIL | 40万4800円〜 | 8月下旬 |
| BN56R | A4ノート | 16型 | Ryzen AI 400シリーズ | 光学ドライブ継続採用 | 46万9700円〜 | 8月下旬 |
| BT53C | タブレット | 13型タッチ(500cd/㎡) | Core Ultra シリーズ3 | 5G・ペン選択可 | 61万1600円〜 | 9月下旬 |
ソフトとサポートの強化
ハードウェアに加え、ソフトとサポート面の強化も示されました。
「AI Plus Biz」は、PCにトラブルが起きた際に、AIがチャット形式の対話でハードウェアの状況を自動的に把握し、原因の特定と自己解決を支援するソフトです。「PCが遅い」といった曖昧な質問に対しても、選択肢を提示しながら条件を絞り込む形に強化したとしています。IT管理者への問い合わせ削減にもつながる、という位置づけです。

「LAVIEスマートバックアップ」は、2nd SSDを搭載したA4ノート(BN76C/BN56R)で、ネットワーク接続なしに重要データを自動でローカルにバックアップする機能です。ファイルの優先度をアプリ側が判断し、スケジューラが管理するとしています。

このほか、ヤマハと共同開発したAIノイズキャンセルを内蔵マイク・スピーカーに加えてBluetooth/USB接続のヘッドセットにも対応させた「AIミーティング機能」(BT53Cは非対応)、F11キーで画面を拡大表示する「拡大キー」なども搭載します。
サポート面では、引き取り修理の保証期間をBTOメニューで最大7年まで延長できるようにしました。最短1日修理や、アクシデント・ダメージ・プロテクション(ADP)による盗難対応も用意します。設計・部品・製造・品質保証は米沢事業場で一貫して行う、いわゆる国産品質を引き続き前面に出しています。
